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気分はマイノリティ・リポート?
~グローブ型ゲームインターフェイス「P5」試用レポート

発売中



 秋葉原のPCパーツ/ゲームショップOVERTOPに新手のグローブ型インターフェイス「P5」が入荷した。見るからにゲーマーのサイバー魂をくすぐるこの製品を早速購入したのでその使用感をお届けしたい。


●グローブ型インターフェイス「P5」

 P5は、米Essential Realityが製造するゲーム用のグローブ型インターフェイス。PCとのインターフェイスはUSB 1.1で、対応OSはWindows 95以降となっている。実売価格は10,800円。

P5のグローブ。指の部分はゴム製なので、自由に曲がる

 センサーの信号を受信する受光部と、グローブ型のコントローラの2つで構成されており、受光部をPCのUSBポートに、コントローラを受光部正面のコネクタに接続する。

 受光部はかなり大型で高さは35cm弱ある。ただし、土台部分は9cm×13cm程度なので置き場にはそれほど困らない。

 本製品のキモとなるコントローラだが、外見からすぐ分かる通り手にはめて利用する。指の部分にはリングがつけられており、ここに指を通し、最後にバンドを手の平に締めて装着完了となる。

 コントローラの甲の部分は樹脂製で、素材に安っぽさが残るものの、受光部と同じ紫色を基調に銀色の塗装があしらわれており、どことなくサイバー感を演出している。

リングに指を通し、バンドで手の平を絞めるだけで装着完了 コントローラの表面(左)、裏面(右)。指のリングは前後に移動可能するほか、親指のパーツが可動式になっているなど、たいていの人の手にあうように設計されている

 指の部分は黒いゴム製で、中に薄い金属の板が入っており、グニグニと曲げられる。リングは前後に移動可能なので、手の大きさや指の長さに応じて調整できる。

 編集部で何人かに装着してみてもらったところ、一般的な手の大きさの人なら問題ないようだ。手の小さな人や、指の細い人だと幾分もてあまし気味になるが、それでも使用する上でたいした障害にはならない。

甲の部分には4つのボタンがあり、A~Cは一部のゲームで利用する。DはP5の電源ボタン コントローラには前部でセンサーと思しき突起が8つある 受光部。高さは約35cmと結構でかい。正面下部のコネクタはコントローラの接続用


●腕の動きでマウスカーソルを移動

 さて、本製品で最も重要かつ疑問なのは“どうやって使うのか”ということに集約されるだろう。P5は、一言で言うなら、5つのアナログボタンを備えた3次元マウスということになる。

ユーティリティで指の曲げる範囲を調整できる

 指の部分は、キャリブレーションユーティリティの表示を信じるなら、指によって10~15段階程度に曲げ具合を検出できる。

 デフォルトでは人差し指に左クリック、中指に右クリックが割り当てられており、ある程度曲げるとクリックしたことになる。

 甲の部分には、無線のセンサーが内蔵されており、手を上下左右に動かすと、受光部がコントローラの移動を検知し、それに併せてマウスカーソルが動く仕組みになっている。コントローラと受光部が有線で接続されているのは、コントローラの電源供給用と思われる。

 マイノリティ・リポートでは、グローブ型インターフェイスを装備した登場人物が、手の動きで画面を操作するシーンがあるが、まさにその感覚だ。最初のウチは、自分の手の動きだけでカーソルや、ウインドウをグリグリ動かしているだけで面白い。

 ちなみに、薬指と小指を同時に握ると、コントローラを動かしてもマウスカーソルが動かなくなる。普通のマウスを使う時、マウスが机の端まで来てしまってこれ以上移動できなくなるとマウスを持ち上げて元の場所に戻すが、これと同じように、P5でカーソルを大きく動かしていて、受光部の受光範囲外に出てしまった際などは、いったん薬指と小指を握って手を戻し、指を開いてまた動かすことでさらにカーソルを動かせる。

 しかし、通常のウインドウ画面を操作するだけでは、このデバイスの半分も使ったことにならない。P5には、Eidos Interactiveのアクションゲーム「Hitman 2: Silent assassin」ほか2本の体験ゲームが付属しており、より広範な操作ができる。

この画面では、ダブルクリックの間隔や、クリックを検知する感度、ボタンの割り当て、通常ウインドウ画面でのマウス機能のON/OFFを設定できる この画面ではボタンの押下をチェックできるが、機能の割り当てなどはできない 【動画:WMV/8.6MB】コンフィギュレーションユーティリティおよび通常ウインドウの操作の模様


●ゲームでは指の曲げ具合やZ軸の動きを活用

 付属のHitman 2は、市販されているものと基本的に同一のものだが、P5の設定用ユーティリティが同梱されている。これにより、ゲーム内での動作にP5のアクションを割り当てられる。

【動画:WMV/5.9MB】Hitman 2のプレイの模様。地図を出したシーンではZ軸の動きを試している
Hitman 2: Silent Assassin (c) I.O Interactive A/S, 20021.
Developed by IO Interactive A/S Published by Eidos Interactive Limited.

 Hitman 2は、三人称視点のゲームだが、内容はQuakeに代表されるFPSに近い。P5を使うと、手を動かすと視点が移動し、人差し指を曲げると弾を撃ち、親指を曲げると弾丸を再装填というようになる。

 P5ならではの操作として、ライフルの照準を覗いたり、地図を見る際に、中指・薬指・小指を曲げた状態で手を受光部に近づけると画像が拡大され、逆に遠ざけると縮小されるようになっている。

 もう1つの付属ゲーム「Tiger Hunt」は、戦場でジープや戦車を操り、敵を撃破するミリタリーアクションゲームで、こちらはP5をよりうまく活かした操作が可能となっている。

 中指と親指はそれぞれ前進/後退に割り当てられており、指の曲げ具合によって乗り物の速度が変化する。

 手の動きが視点の変更というのはHitman 2と同じだが、Tiger Huntではこれに加えて、手のひねりでステアリング操作ができ、手の甲が上になるように手首をひねると左ハンドルを切り、手の平が上になるようにひねると右ハンドルを切る。つまり、片手だけで視点変更/前進/後退/方向転換/弾丸の発射ができるようになっている。

 先ほど、P5は3次元マウスと書いたが、このように本製品はX軸/Y軸に加え、Z軸に対するマウス操作が可能となっている。


●操作性のほどは……

 さて、一通り付属のゲームを試してみての感想だが、その操作性はというと、残念ながら非常に悪いと言うほかない。センサーの感度の問題からか、うまくキャラクタを操れないことが多い上、手を動かしていないのにカーソルがいきなり違うところに飛んだりする。

 P5は、1,024×768ドットの画面が最適なように調整されているのだが、一部のゲームはメニュー画面などが低解像度になっており、特にこの時の操作性が悪い。

 いきなりカーソルが5cm四方くらいの範囲で暴れ始めることがあり、こうなるとタイミングを見計らって、薬指と小指を握ってカーソルを止め、人差し指でクリックという妙技が要求される。

 指側のセンサーについても、人差し指だけを曲げたつもりが、ほかの指も同時に若干曲がったのが検知されるためか、うまく弾を撃てないことが多い。

 この辺りは、慣れやユーティリティでの調整次第で変化する部分もあるだろうが、根気の必要な作業だと思われる。

 そして、本製品で最大の問題点が、対応するゲームの少なさだ。Essential RealityのHPでは市販ゲームへの対応パッチが配布されているのだが、7月8日現在では、「Black & White」と「SERIOUS SAM II:THE SECOND ENCOUNTER」の2つのパッチしか用意されていない。

 P5は基本的にマウスなので、マウスを使うゲーム全てに対応するとも言えるが、マウス代わりにしかならないのであれば、最初からマウスを使った方がマシと言えよう。

 なお、同社ではP5のSDK(Software Development Kit)を無償で配布しており、これを用いてLinux用ドライバや、他のゲームのパッチを開発している有志もいる。


●ジェスチャー機能などを期待

 結論としては、狙い所は面白いが、操作性(感度)が悪いがために、その魅力がそがれてしまっているといったところ。

 細かいところで改良の余地はあるものの、装着してニギニギしている際の感触は割と快感で、なによりサイバーだ。

 もし次期製品があるとするなら、ジェスチャー機能などがあるとさらに面白くなるだろう。例えば、ブラウザを使っている時に、親指と人差し指でつまんでページをめくるように手首を返すと前のページに戻ったり、ファイルを選択して、クシャっと握りつぶすとゴミ箱に入れるいう具合だ。

 次期クライアント向けWindows「Longhorn」では3Dインターフェイスが搭載される。3Dといっても、基本的には描画がDirect3Dベースになるだけで、実際の画面が3Dになるかどうかは不明だが、3次元マウスという強みを活かして、奥にあるウインドウを手前に引っ張り出すといった操作ができるとさらに楽しいだろう。

□Essential Realityのホームページ
http://www.essentialreality.com/
□関連記事
【7月5日】グローブ型のユニークな入力装置が登場、マウスと互換(AKIBA)
http://www.watch.impress.co.jp/akiba/hotline/20030705/etc_p5.html

(2003年7月10日)

[Reported by wakasugi@impress.co.jp]


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