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企業のIT投資意欲は鈍化、JUASが調査
4月30日 発表
社団法人日本情報システム・ユーザー協会(JUAS、河野俊二会長=東京海上火災保険相談役)は、ユーザー企業のIT投資動向調査を発表した。 同調査は、情報処理振興事業協会(IPA)からの委託事業として実施しているもので、今年で9回目の調査。今回は、昨年12月から今年2月にかけて、上場企業の情報システム部門などを対象にアンケートを実施。1,075社から有効回答を得ている。 これによると、2003年度にIT投資を増加させるとした企業は35%を占めた。2002年度の投資計画では39%がIT投資を増加させると回答していたことに比較すると、投資意欲はやや減退の方向に向かっている。 また、IT投資を減少させると回答した企業は30%に達しており、昨年度の調査に比べても増加傾向にある。 同調査では、IT投資が増加するとした企業の割合から、減少するとした企業の割合を引いて算出するDI(デフュージョンインデックス)値を発表しているが、「依然として増加すると回答している企業の割合が多いものの、DIは、前年度の12から、今年度は5に減少しており、景気の不透明感が払拭されない状況が続くと、IT投資意欲は一層減退する可能性も否めない」としている。 だが、売上高が減少しているにも関わらず、IT投資を増加させると回答した企業も36%に達しており、「これまでは、IT投資を管理部門のコストとして削減対象としていた企業が多かったが、最近では、こうした指標からはずして、自社の優位性を発揮したり、売上げを増加させるためには戦略的にIT投資をする必要があると判断する企業が増加していることの表れ」(調査部会 浜田達夫部会長=日本航空)と分析している。 また、今回のアンケート調査が、IT投資促進減税の導入が発表される前であったことから、「この部分を加味すれば、IT投資意欲はもう少し上向くのではないか」とも見ている。同協会では、5月にも、IT投資促進税制に関するアンケートを実施する考えで、この裏付けを図る予定。 IT投資のなかで最も大きいのはハードウェアで全体の28.3%、続いて人件費の19.6%、ソフトウェアの19.2%。前年に比べてソフトウェア投資を拡大する傾向があるという。
一方、社員向けの電子化業務(BtoE)に関しては、ほとんどの企業が導入している。アンケートの対象としている企業が情報システム部門を有している企業であることから、必然的に大手企業が多くなるため、中小企業などを対象とした調査結果よりも導入率は高いといえる。 なかでも、電子化による社内情報共有は80%の企業が行なっており、スケジュール管理では64%、施設予約についても63%の企業で実施している。その一方で、稟議処理、福利厚生、人事管理などでの利用が少ない。
今回の調査では、SOHOの実施に関する調査も行なわれている。ここでは、ITを活用した在宅勤務やモバイル環境での勤務形態のことを指しているが、実施段階あるいは試行段階という企業は少なく、10%未満にとどまっている。 同協会では、「技術的には可能になっていても、企業の体質が変わらないと進展しない例のひとつといえる。社内の人事制度や、社内の管理制度、成果に対する評価基準の変更といった仕組みを改革する必要があり、厚生労働省などにも積極的に取り組んでもらわなければ普及はままならない」とした。 □JUASのホームページ (2003年4月30日) [Reported by 大河原克行]
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