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JEITA発表、2002年度国内PC出荷は8%減の984万台
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JEITA パーソナルコンピュータ事業委員会 篠崎雅継委員長 |
4月23日発表
社団法人電子情報技術産業協会は、2002年度(2002年4月から2003年3月)のパソコン出荷実績を発表した。
これによると、国内のパソコン出荷は、前年比8%減の984万台と1,000万台の大台を割り込んだ。また、金額ベースでは、前年比9%減の1兆6,167億円となり、台数、金額ともに前年割れとなった。
平成14年度パソコン総出荷実績 |
同協会では、今年1月の段階で、国内出荷が1,000万台以上に達するとの見通しを示していたが、「企業向けがもう少し善戦すると思っていたが、結果はそれほどでもなかった。また、コンシューマ向けも芳しくない」(同協会・パーソナルコンピュータ事業委員会・篠崎雅継委員長)としており、具体的には、事実上、1月から開始しているIT投資減税が、国会通過が3月末となったことで、出足が鈍くその効果がでなかったこと、1月の予測時点では折り込まれていなかったイラク戦争、株価の低迷などによる経済環境の悪化に伴う企業のIT投資意欲の減退などが影響していることをあげた。
形状別では、ノートパソコンが、全体の56%を占める551万2,000台、デスクトップパソコンは、432万8,000台となった。
注目されるのが平均単価の推移である。四半期ごとの推移を見ると、1~3月期は、ノートパソコンで前年同期に比べて1万円下落の15万9,000円。デスクトップパソコンは、2万円下落の14万8,000円。全体の平均単価も15万4,000円となり、1万1,000円下落した。
ノートパソコンは、昨年4~6月には、液晶価格の高騰などもあって、18万3,000円となったが、四半期ごとに平均単価は下降。その一方で、デスクトップパソコンは、7~9月に下落後、10~12月にはAV機能を強化した製品の売れ行きに支えられて16万5,000円にまで急上昇。それが1~3月は、一転して14万8,000円と1万7,000円も下落した。
この背景には、低価格デスクトップの売れ行きに加えて、外資系メーカーを中心としたサーバーの価格下落が影響している。サーバーを除いたデスクトップ型のクライアントPCだけの集計では、10~12月には15万1,000円だったものが、1~3月は13万6,000円となっている。
一方、2003年度の国内のパソコン需要については、前年比4%増の1,020万台と予測した。
「2002年度に比べて暗い材料が多いものの、下期からの需要回復が期待できる」として、上期は前年割れが続くものの、下期にはプラスに転じると予測している。
篠崎委員長によると、「イラク戦争に続く戦争の勃発の可能性、SARSによる中国生産の減少、企業のIT投資が投資効果が見込める案件のみへの投資に限定されること、厚生年金制度の変更や株価の低迷による企業利益の圧迫など、暗い材料は山積み。だが、その一方で、今年度中の景気回復の期待感や、IT投資減税効果によって年間30万台程度の上乗せが期待できること、'97~'99年に企業に導入されたパソコンのリプレース需要、個人需要においては、本格的なオーディオ・ビジュアル用途の利用拡大、アクティブシニア層および小中学生といった有望潜在顧客層の開拓などが見込める」とした。
なかでも、IT投資減税については、「1~3月はPRが徹底していなかったこと、運用面でどこまでが対象の範囲になるのかが明確でなかったこともあって効果がなかった。今年度は、これをPRを徹底して、企業向け需要600万台のうち5%程度の押し上げ効果を見込みたい」とした。
2002年度は、個人向けと企業向けの比率は41%対59%だったが、2003年度は個人向けは前年並みに留まると予測しており、若干企業向けの比重が高まる可能性が強いとした。
また、個人向けパソコンのリサイクルが今年10月からに開始されることによる影響に関しては、「パソコンの平均単価が減少傾向にあり、2003年度も4%程度の価格下落が想定される。リサイクル費用の上乗せは、この下落分で吸収できることから、施行前の駆け込み需要や、その後の購買意欲をそぐということはないだろう」とした。
今回の会見ではSARSの影響にも言及した。
篠崎委員長は、「現時点では大きな影響が出ているわけではないが」と前置きしながらも、「各社ともに中国への生産移管や部品調達を拡大する傾向があり、すでに一部メーカーでは、部品調達や生産などが滞ったという例も出ている。生産で問題が起こった際に、現地に飛んでいって対策を行なうといったことができず、テレビ会議などに頼る例もあるが、効率は明らかに落ちる。また、患者が発見された段階で工場が閉鎖されることから、部品調達や生産数量の面で、今後も影響がないとはいえない。現段階では、各社ごとにセカンドソースを利用したり、別の部品を調達したりといった対策をとっており、品薄や品質低下といった問題にはつながらないだろう」と見ている。
しかし、その一方で、「部品や生産拠点のレベルであればなんとか対応は可能だろうが、シリコンなどの材料にまで影響が及んだ際には、なにかしらの影響が出る可能性がある」ともコメントした。
また、同協会では、パソコン未購入層を対象とした調査結果を発表した。
これは、昨年12月に520人を対象に実施したもので、パソコン未購入者の現状を把握することを目的としたもの。
これによると、パソコンを所有していないという回答者のうち、34.2%が自宅以外でパソコンを利用していると回答。使用経験ありの21.7%を含めると約55%がパソコンを使ったことがあることがわかった。
パソコンを自宅で保有していない理由としては、パソコンが高価であるとの回答が46.2%に達し、最も多かったが、「使いこなせるか自信がない」(38.1%)、「PCの使い方がわからない」(35.6%)、「PCの役立て方がわからない」(29.0%)などとなり、使うまでの敷居が高いことが示された。
また、パソコンを生活に使うことに評価については、38.2%が「きっと楽しいと思う」、33.5%が「少しは楽しいと思う」と回答しており、7割の回答者がパソコンは楽しいだろうという期待感を持っている。
さらに、約50%の回答者がパソコンを購入したいと回答していることからも、購入意欲が高いことがわかる。
しかし、「パソコンが自宅にないことで不便や不満を感じることはあるか」との質問には、76.3%が「不便・不安なし」と回答しており、パソコンが生活の中に浸透していないことがパソコンの購入を進展させていないことが浮き彫りなった。
同協会では、「使いこなせないといった回答者が多いものの、購入意欲は高い。社会生活のなかでの必要性と、すぐに使えるという点での工夫とサービスを整えれば、需要が顕在化するはず。そのための努力に力を注ぎたい」としている。
□JEITAのホームページ
http://www.jeita.or.jp/
□平成14年度出荷実績
http://it.jeita.or.jp/statistics/pc/h14_4q/index.html
(2003年4月23日)
[Reported by 大河原克行]
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