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JEITA、コンピュータ市場は2年で3分の2に縮小と発表
~秋以降の地上波デジタル放送に期待

社団法人電子情報技術産業協会 谷口一郎会長

3月26日発表



 社団法人電子情報技術産業協会(JEITA)の谷口一郎会長(=三菱電機代表取締役会長)は、会長定例会見を行ない、そのなかで、2003年の国内電子工業生産高が前年比3.8%増になると予測した。

 2002年の実績は、前年比10.8%減の18兆8,372億円。2001年に続いて、2年連続の2桁減となったのに加えて、通信機器の売れ行き不振などによって、当初予測の8.5%減をさらに下回る結果。「2002年は、遺憾ながら、15年前の生産規模とほぼ同等。2000年実績に比べて、26.4%減と大幅な落ち込みになった」と谷口会長は、電子工業生産の低迷ぶりを懸念した。

 なかでも、パソコンは、前年比19.7%減の1兆3,522億円。電子計算機全体および関連製品を含めると、前年比23%減の3兆4,600億円という大幅な落ち込みとなった。「コンピュータ全体では、2000年から比較すると33.6%減という大きな減少幅になった」と言及。2年で市場規模が3分の2に縮小したことを示した。

●イラク戦争の影響は現時点では軽微

 谷口会長は、「1月には鉱工業生産が5カ月ぶりにプラスに転じたが、失業率は依然として高水準にあり、個人消費の低迷も改善が見られない。決算期を前にして、株価が20年ぶりに8,000円台を割り込むなど、企業の決算にも大きく影響する要因もある。さらに、日米欧の景気低迷の長期化、イラク戦争の影響など、不安定材料が数多く、2003年は、プラスになるといっても、予断を許さない状況であるのは変わりない。業界としてあらゆる努力で取り組んでいく」とコメントした。

 とくに、イラク戦争の影響については、「どれぐらいの影響があるのかははっきりいってわからない。現段階では、まだ経済への影響は少ないと見ている。だが、消費マインドが高揚することは考えられず、戦争が長期化すればするほど消費マインドは冷え込むことになる。イラク戦争が早い段階で終結してもらうことを期待したい」と話した。

 一方、2003年のプラス成長の要因としては、民生用電子機器のなかで、液晶テレビ、PDPテレビ、カーナビゲーションシステム、デジタルカメラなどのデジタル機器の成長率が見込めること、電子デバイスの伸びが期待できることなどをあげた。

 さらに、e-japan戦略の見直しに伴って、IT基本戦略フェーズ2がスタートすることにも触れ、「広義の情報デジタル機器を広めていくチャンス。さらに、IT投資促進税制なども企業のIT化促進の効果をもたらすだろう。IT活用の浸透と次世代情報基盤の整備といった面で積極的な提案をしていくことで需要を活性化したい」と話した。

 しかし、谷口会長は、慎重な姿勢を崩していないことを示した。

 「一部のデジタル家電が好調ではあるが、裏を返せば、伸びているのはこれだけともいえる。さらに、PDPは、前年同月比で5倍という伸びを見せているが、月6,000~8,000台程度であり、絶対数が少ない。また、DVDも1.8倍の伸びを見せているが、VTRが20%減という状況も考えなくてはならない」として、手放しでは喜べないことを示した。

●地上波デジタル放送の周知活動がカギに

 一方、谷口会長は、今年12月にも、東京、名古屋、大阪で開始される地上波デジタル放送に関しても言及。「本格的なデジタル放送時代の幕開けといえ、今年秋にはBSとCSとの共同受信が可能な地上波デジタル受像機が投入されることになるだろう。国や放送局などと連携して国民に対して、地上波デジタルの普及に向けた周知活動を行なっていきたい。普及すれば、より廉価な受像器の開発が可能になり、ユーザーにもメリットが大きい」とした。

 だが、「もともと周知活動については、我々は上手ではないという反省がある。もっと効果的にやっていかなくてはならないと考えている」との弱気のコメントも聞かれた。

 また、「BSデジタル放送は、2年半が経過して、約380万台の受像器が出荷されたが、当初計画の1,000万台には及ばない。地上波デジタル放送が同じ目にあわないためには、機器を提供するメーカーが、高機能、高性能を適正な価格で提供できるように努力すること、それに見合ったコンテンツが必要であると考えている。JEITA加盟各社がいいものを提供することで、なんとか地上波デジタル放送を軌道に乗せたい。安閑としてはいられない」と話した。

 地上波デジタル放送の受像器の生産見通しについては、「現在、目標数値を策定している段階」として明言を避けた。

 パソコン関連では、今年秋にも実施に移される個人向けのパソコンリサイクルに関しても質問が出たが、「4月には、正式な事業開始時期や指針などが何らかの形で発表されることになるだろう。既存のパソコンについては、排出時でのリサイクル費用の徴収、施行以降に販売されるものについては販売時点での徴収となる。これを前提に収集、運搬をどの事業者に委託するかといった問題も含めて検討している段階。こうしたことも近日中に明らかになるだろう。4月以降、秋にかけて周知活動を徹底したい」とした。

 一部では、廃棄パソコンの収集、運搬については、4月に発足する日本郵政公社への委託などが取り沙汰されており、郵便局の窓口も利用できる可能性が指摘されているが、この点についても、「近日中に明らかになる」とコメントするだけに留まった。

□JEITAのホームページ
(3月26日現在、この件に関する情報は掲載されていない)
http://www.jeita.or.jp/

(2003年3月26日)

[Reported by 大河原克行]


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