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日本IBM、パソコン事業戦略を大きく転換
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橋本孝之取締役 |
3月19日発表
3月19日に行なわれたプレス向けラウンドテーブルのなかで、同社取締役 橋本孝之氏が言及したもので、「クライアントPC事業においては、従来からのThinkVantageによる付加価値路線と、Webを通じた販売を中心とする低価格路線の2つの戦略を打ち出す」とした。
日本IBMでは、昨年11月、パソコン事業において、ThinkVantage戦略を打ち出し、オートノミックコンピューティングの採用や、セキュテリィチップを搭載するなど、付加価値を追求した製品戦略に特化してきた。
3月12日に発表したThinkPad X31や、ThinkPad T40は、5時間以上のバッテリー連続駆動時間の達成や、筐体の薄さを狙った付加価値型製品となっており、従来の方針を継承したもの。
だが、今回の方針変更では、新たに低価格路線にパソコンを追加することで、「幅広いユーザーに選択肢を与えることが可能になる」という。
低価格路線では、具体的には、当初は、159,000円からとしていたThinkPad R40シリーズに加えて、109,800円からの低価格を実現したThinkPad R40eを追加、さらに、77,800円からのデスクトップパソコンNetVista A30を投入し、今後も製品ラインナップを広げる考え。
これらの製品は、基本的にはWeb販売である「IBMショッピング」を主要ルートとして販売する計画で、「Webを多用することで、経費をかけずに販売していく」(橋本氏)という。
日本IBMでは、クライアントPCに限らず、低価格路線を追求する姿勢を強めている。メインフレームであるzSeriesでは、Linux専用とすることで最小構成において3,700万円からの価格を実現したIBM eServer zSeries800 Linuxモデルを新たに追加した。
もともとIBMではメインフレームの価格を公式発表していないことから、既存製品との直接の比較はできないが、関係者などの声をまとめると約半額という意欲的価格設定の製品となっている。
「Linux専用メインフレームを低価格で投入したことで、UNIXからの置き換えや、サーバーコンソリデーション(サーバー統合)の需要などが期待できる。また、国産メインフレームからの置き換えにもフォーカスできる。これまでは、zSeriesというとDB2だったが、Linuxになったことで、Oracle9iにも対応でき、SUNで動いていたものが、そのまま移行できる。他社のUNIXサーバーやメインフレームに比べて、企業におけるTCOが大幅に削減でき、そのメリットは大きい」と自信を見せる。
これは、オフコンのiSeries、UNIXサーバーのpSeries、IAサーバーのxSeriesでも同様だ。例えば、iSeriesでは、サーバー統合・強化の需要などに支えられて、引き合いが増加。他社からの置き換えはiSeries全出荷量の40%を占めるという。
また、xSeriesでは、80万台ともいわれるWindows NT 4.1ユーザーをターゲットに、ブレードサーバーや、先頃発表した79,800円からのエントリーサーバーxSeries205などの低価格サーバー製品群によって、既存サーバーからの移行提案を促進する考え。Windows NT 4.1は、今年中にマイクロソフトのサポートが切れることから、IBMにとっても大きな狙い目だと考えている。
このように、日本IBMは、従来の付加価値路線だけでなく、低価格路線を追求する姿勢をハードビジネスの重要な方針に掲げた。
「SCMの見直しや、生産量の増大によるコスト削減が低価格化を可能にした。昨年は、ハイエンドサーバーが当社のシェアを押し上げたが、今年は、“攻めのハードウェア事業”の方向に大きく軸足を移して、サーバー分野でのトップェア獲得を目指す」を橋本氏は宣言する。
日本IBMが、低価格路線を強く打ち出したのはデルコンピュータ対抗の側面が強いことはいうまでもない。
IAサーバー分野では第2位、パソコン分野では第4位と、急速にシェアを拡大するデルは、まさに直販による低価格戦略が功を奏している。
橋本氏は、「サーバーメーカーが作ったサーバーと、パソコンメーカーが作ったサーバーとではスペックや信頼性が違うことがユーザーが見えてきたはずだ」とし、暗にデルコンピュータとの製品格差を強調して見せる。それに加えて、追い打ちをかけるように低価格戦略で、デルと正面から対抗する考えだ。
パソコン分野においても同様で、これまでは「デルと一線を画す」としていた戦略が大きく変更されたことになる。
ThinkVantageの発表からわずか半年で、パソコン事業の方針を付加価値戦略から、二極化戦略へとシフトした日本IBM。企業向けパソコン市場におけるデルとの争いが注目されるところだ。
□日本IBMのホームページ
http://www.ibm.com/jp/
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(2003年3月19日)
[Reported by 大河原克行]
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