プロカメラマン山田久美夫のPMA 2003レポート

300万画素EXILIM初登場、国内未発表機も多数展示


カシオブース
会場:ラスベガス
会期:3月2日~5日(現地時間)


●カシオ、300万画素の単焦点EXILIMと、小型水中ハウジングを公開

 カシオは今回、PMAにあわせて、単焦点タイプの300万画素版EXILIMである「EX-S3」を発表した。

 このモデルは、前面から見ると、人気単焦点モデルである「EX-S2」のCCDを300万画素タイプにアップしただけのモデルのようにも見える。

 だが、背面にはズーム版の「EX-Z3」で搭載された巨大な2型液晶モニターが備わっており、明らかにこれまでの単焦点EXILIMとはひと味違った、第三世代モデルに仕上がっている。

 私自身、EX-Z3を初めて見たとき「よくこのサイズで2型液晶を搭載したなあ~」と感心したもの。このところ、「EX-Z3」を常時携帯機として愛用していることもあって、この液晶モニターの見やすさに、きわめて大きな魅力を感じていた。

 だが、さすがに単焦点EXILIMの薄さで2型液晶が収まるとは想像していなかっただけに、今回のモデルはうれしい“誤算”だった。

 今回の「EX-S3」では、ケースレスでも気軽に持ち歩けるよう、メインスイッチに連動して、ほぼ瞬時に自動開閉するレンズバリアが新設された。実際に従来型EXILIMを持ち歩いてみると、レンズに指が触れたりすることで、知らぬうちに画質の低下を招くケースが意外に多かったこともあって、このレンズバリアはなかなか実用に即した改良といえる。

 また、液晶モニターは2型と大きい上、EX-Z3で搭載されたカレンダー機能も盛り込まれている。これは再生時に画像の検索を容易にする優れた機能で、その日に撮影した最初のコマのサムネールが、カレンダー上に表示されるもの。この機能を使えば、以前に撮影したコマを容易に探し出すことができるわけだ。

 さらにクレードルも変更されており、ズーム版の「EX-Z3」と同じように、液晶が手前になるスタイルとなっている。また、クレードル本体にスライドショー表示用スイッチを配置するといった機能アップが図られている。

 ただ、単焦点EXILIMのウイークポイントである、近距離撮影への対応については新提案が無く、これまでと同じ固定焦点式となっている点は実に残念だ。

 米国での価格は349ドルとアナウンスされており、4月頃から販売が開始されるという。

 もちろん、ブースには1月のCESで先行発表されたズーム版EXILIMである「EX-Z3」も出展されており、なかなかの人気を博していた。

 また、カシオは今回、純正アクセサリーとして水深10フィート(約3m)まで対応できる、簡単な水中ケースを新たに出展していた。

 これまでの水中用ケースというと、かなり大きくて大げさなものが多かった。だが、EXILIMはもともとボディが小さく、しかも、水深3mまでに限定したこともあって、今回のケースも112.5×65.5×23mm(幅×奥行き×高さ)で重さ76gと、きわめてコンパクトなものに仕上がっている。これなら、水中ケースに入れたままでも気軽に持ち歩けるレベルで、水中撮影をしない人でも、水辺に遊びに行くときにも便利そうだ。

 ネーミングもあえて“水中ハウジング”ではなく“水中ケース”と銘打っている。実売価格も1万円前後となかなかリーズナブル。これなら日本でも人気アイテムになりそうだ。

 カラーリングも透明なパープル系がベースで、なかなかオシャレな印象。もちろん、外部からほとんど全ての操作をすることができる。ただ、対応機種は現行の「EX-S1」「EX-M1」「EX-S2」「EX-M2」用で、今回発表された「EX-S3」やズーム版の「EX-Z3」には対応していない。

□関連記事
【3月3日】カシオ、「EXILIM」単焦点機に320万画素/2型液晶搭載モデル
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2003/0303/casio.htm


 また、偶然、カシオブースのすぐ隣にあったOEM専門メーカー「トダ精光」ブースでは、現行の単焦点EXILIM用のマクロレンズを展示していた。これはレンズ部に被せて簡単に着脱できるマクロレンズで、約50cm前後の近接撮影に対応できるもの。実際にはピントの合う範囲が結構広いため、名刺の撮影などにも使えるという。

 このアダプターはすでに欧米でOEM先ブランドの製品として、日本円にして6,000円前後で販売されているという。同社はOEM専門メーカーであり、残念ながらこの製品については日本国内でのOEM先が確定してないため、発売の予定はないという。だが、EXILIMユーザーの多い地元日本でこそ発売してほしい、魅力的なアイテムだ。


●ソニー、「DSC-V1」「DSC-P10」など小型500万画素機を発表

 ソニーは今回、国内未発表の新製品を出品していた。

 まず、先だって国内発表されたPシリーズの300万画素モデル「P8」とほぼ同じボディに、1/1.8インチ500万画素CCDを搭載した「DSC-P10」。

 レンズは1/1.8インチCCD用に開発されたものだが、それ以外の諸機能については、先行発表された「P8」に準ずる仕様となっている。

 個人的にはスタイリッシュなPシリーズに500万画素機が本当に必要かという疑問は残るが、米国ではいま、デジタルカメラの高画素信仰が高まりつつあり、フラッグシップ機として500万画素機をラインナップする必要があったのだろう。

 また、やや大柄な普及型Pシリーズでは、国内未発表となる320万画素2倍ズーム機「DSC-P52」も出展されていた。日本国内ではすでに3倍ズームが完全に主流となっているため、2倍ズームはインパクトが薄く、日本国内でラインナップされる可能性は少なそうだ。

 一方、なかなか魅力的なモデルに感じられたのが、500万画素光学4倍ズームを搭載した本格派指向の「DSC-V1」だ。本機は、いまや風前の灯となっている「Sシリーズ」の後継機として開発された新シリーズの第一弾として登場したモデルだ。

 スタイリングはセンターレンズタイプ。カメラ中央にレンズを配置した、ごくオーソドックスなもの。このデザインは従来からの銀塩カメラに近い雰囲気を備えているため、意外に保守的な米国市場で人気の高いものだ。

 この「V1」は先のPシリーズとは対照的に、従来の銀塩カメラユーザーを意識した本格派指向のモデル。ただ、Sシリーズに比べ、大幅な小型化が図られているのが大きな特徴といえる。

 写真で見るとその小ささが伝わりにくいかもしれないが、実機はかなりコンパクト。このサイズのボディで500万画素の光学4倍ズームを実現している点は驚きだ。

 基本仕様としては、CCDは1/1.8インチ500万画素タイプを採用。レンズはカールツァイスブランドのバリオゾナー7~28mmF2.8~4.0。露出モードを始めとした基本機能も充実。ホログラムAFやナイトショット機能も搭載しており、画像のコントラストやシャープネスの調整機能も搭載するなど、本格的な作品造りにも対応できるレベル。最新の動画撮影機能「MPEG VX」も搭載している。

 本機はPMA直前に、欧米ですでに正式発表されているが、日本国内での発表が待ち遠しいモデルといえる。


●松下電器、DSC-F1ベースの普及型300万画素3倍ズーム機

 松下電器は今回、人気の「DMC-F1」の主要ユニットを使い、単三電池2本での撮影を可能にした普及型モデル「DMC-LC33」を発表した。

 このモデルは、「F1」と同じレンズやCCD、処理システムを使ったもので、実力的にはほぼ「F1」と同等となるもの。だが、スタイリングはいわゆるコンパクトカメラ風の親しみやすいものになっており、バッテリーも専用充電式ではなく、汎用の単三アルカリ電池2本で撮影できるものになっている。

 米国ではここに来て、デザインや質感、小型軽量化といった部分へのプライオリティーが高まりつつあるが、それでもやはりコストや使いやすさをより優先させたモデルに人気が集まる傾向がある。このモデルはそんな米国市場の独自性に対応した新展開といえる。

 日本国内での展開は未定だが、実用機としての完成度はなかなか高く、画質や機能面が「DMC-F1」と同等であれば、なかなかお買い得なモデルといえそう。ぜひ早期に、できるだけ手頃な価格で国内展開することを期待したい。


●オリンパス、国内未発表の400万画素光学10倍ズーム機を出品

 オリンパスは今回、話題のレンズ交換式一眼レフ「フォーサーズ」に注目が集まったが、それ以外にも新ラインナップとなる新製品を数機種発表している。

 なかでも注目されるのは、一昨年話題になった光学10倍ズーム機「C-700 UltraZoom」の後継機となる新シリーズ「C-750 UltraZoom」と「C-740 UltraZoom」だ。750と740の違いは画素数で、前者が400万画素、後者は320万画素となっている。

 今回の新シリーズは同じ10倍ズームを搭載しながらも、C-700系よりもボディを一回りコンパクトにして、より気軽に携帯できるモデルへと進化している。

 また、「C-750UZ」では1/2.5インチの400万画素タイプを搭載することで、このサイズで400万画素光学10倍ズームという魅力的なスペックを実現している。

 10倍ズーム機だけに、最新の3倍ズーム機のような超薄型化は望めないが、十分気軽に持ち歩けるレベルに収まっている。

 国内展開は現時点では未定というが、そう遠くない時期に正式発表される可能性が高そうだ。

 また、PMA開催と同時に日本国内でも発表された、1.8型液晶モニターを搭載した300万画素3倍ズーム機「X-200」(米国名 D-560)も出展されていた。このモデルは、スペック的には先行発表された「μ10 Digital」に近いものがあるが、スタイリッシュで高品位な外装や生活防水機能よりも、実用本位なローコスト指向のモデル。μ10よりも一回り大きな液晶モニターを搭載することで、なかなか使い勝手のいい実用機に仕上がっている。

 昨年は新製品も少なく、あまりパッとしなかった同社だが、ここに来て、意欲的な新製品を続々投入しており、以前の活気を取り戻しつつある印象を受けた。

□関連記事
【3月3日】オリンパス、xD対応320万画素エントリーデジカメ「CAMEDIA X-200」
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2003/0303/olympus.htm

□PMA 2003のホームページ(英文)
http://pma2003.pmai.org/

(2003年3月6日)

[Reported by 山田久美夫]


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