アップルコンピュータ株式会社は2月10日、同社の1Uサーバー「Xserve」の新製品を発表した。新しいXserveは1.33GHzのPowerPC G4とFireWire 800のポートを新たに搭載し、1Uユニット内に最大720GBのストレージを納めることができる。 同時に3Uサイズのストレージシステム「Xserve RAID」も正式に発表された。Xserve RAIDは、昨年5月に最初のXserveが発表された当初から開発途上の製品として公開されており、Apple expoやMacworldの会場などでもXserveと一緒に一般向けにもデモンストレーションが行なわれていた。新しいXserveとXserve RAIDは、いずれも3月下旬の出荷を予定している。 13日には、同社セミナールームにて両製品の報道関係者向け説明会が行なわれた。通常こうした説明会には製品あるいはプロトタイプが用意されていることがほとんどだが、両機種は製品出荷時期まで間があるせいか、今回はスライドによる説明だけとなった。
■コンボドライブやRADEON 8500に対応した「Xserve」 Xserveは、スペックのバンプアップを中心としたマイナーチェンジである。プロダクトマネジャーの鯉田潮氏によると、従来モデルに対して10個の改善ポイントがあるという。10個の中には従来よりも静音化が進んだというような要素も含まれているので、きっちり10個が揃うわけでないが、新旧モデルの差違をわかりやすくするために表にしてみた。
従来どおり、BTOオプションはメモリやストレージの増量が中心だが、他にも標準ではCD-ROMの光学式ドライブをコンボドライブにするといったオプションも盛り込まれている。また、もともとヘッドレス運用が可能なXserveだが、VGA出力のオプションとしてATI RADEON 8500のビデオカードが加わっていることも見逃せない。
■565円/GBのコストパフォーマンス「Xserve RAID」 正式発表された「Xserve RAID」は、2Gbitファイバーチャネルによって接続するXserve向けのストレージシステム。ラックマウントする3Uサイズのユニットに、最大2.5TB(180GB×14)のストレージを収納する。 鯉田氏によれば、最大のセールスポイントは優れたコストパフォーマンスということで、ストレージ1GBあたりの単価は565円と同社が挙げる競合製品に対して約1/3の価格を実現している。 Xserve RAIDの特徴は完全な冗長化を実現するストレージユニットということで、ノンストップ運用のためにさまざまな部分が二重化されている。ユニット内の2つのバンクにはそれぞれ1つずつのRAIDコントローラがあり、各7個のATAコントローラを制御している。ユニット内の電源も2つあり、通常は1つ1つのバンクにそれぞれが電力を供給しているが、一方になんらかのトラブルが発生したときには自動的に1つの電源から両方に電力を供給することができる仕組みだ。 ほかにも冷却モジュール、UPSに対応するキャッシュバックアップモジュール(オプション品)、シングルポートの2Gbitファイバーチャネルインターフェースを2枚搭載する機器構成になっている。これらの機器はすべてユニット化されており、特別な工具を必要とせず、ホットスワップが可能になっている。 それぞれのバンクには各7台までのストレージを搭載可能。ハードウェアRAIDはRAID0、1、3、5、0+1をサポートし、Mac OS X Server(およびMac OS X)のソフトRAIDを併用してRAID5の2バンクによるストライピング(RAID50)も可能となっている。
■PowerPC G4でも使える2Gbitの「Fibre Channel PCIカード」 コストパフォーマンスという点で同氏がもう1つ強調するのは、Xserve RAIDに接続するために必要なデュアルチャネルの「2ギガビット Apple Fibre Channel PCIカード」だ。他社製の同等製品との比較においても圧倒的な低価格を実現したうえ、接続ケーブルも同梱するというコストパフォーマンスの良さをスライドによる他社製品との比較で図示した。 この「2ギガビット Apple Fibre Channel PCIカード」は、Xserveに対応するのはもちろんだが、PowerPC G4 800MHz以上を搭載するPowerMac G4でも利用が可能ということだ。対応するOSは現時点では未リリースとなるMac OS X 10.2.4以降となるが、製品出荷までにはソフトウェアアップデート機能によるメンテナンスリリースが行なわれるとしている。 Xserve RAIDは奥行きがおよそ45cm、14台のハードディスクモジュールを搭載すると重量は約45kgになる。ラックマウント部分などを考慮すると60cm以上の奥行きがあるラックでの運用が必要だが、PowerMac G4を使った大容量のビデオ編集など利用目的次第でそのコストパフォーマンスの良さをかなり発揮しそうだ。
Xserve RAIDの価格、スペックは以下のとおり。なお、Xserve、Xserve RAIDにはともに「AppleCare Premium Service and Support Plan」が提供され、129,800円で週7日24時間のサポート(原則30分以内のメール対応、4時間以内の現地サービスなど)が提供される。
□アップルコンピュータのホームページ (2003年2月13日) [Reported by 矢作 晃(akira@yahagi.net)]
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