プロカメラマン山田久美夫の

200万画素「Cyber-shot U」ファーストインプレッション



 今年9月のフォトキナで欧米向けの発表された、待望の200万画素版Cyber-shot Uこと「DSC-U20」が、ようやく国内向けに正式発表された。

 現行のU10は今後も継続して販売されるため、本機はその後継機ではなく、U10の上位機種としてラインナップされるモデルといえる。

 そこで今回は「U10」に対して、どんな点が変わったのか?という側面から、この「U20」をレポートしよう。


●高級感のある上位モデル

 「カッコイイ!」。これが今回の「U20」をフォトキナで初めて見たときの印象だった。これは、国内発表され、実機を持ち歩いて見ても、その印象は変わることはなく、むしろ、さらに強まるばかりだ。

 とくに、今回は比較の意味も含めて、130万画素版である「U10」と一緒に持ち歩いたわけだが、一度「U20」の外観に慣れてしまうと、発売当初は結構高品位に見えた「U10」が貧相な感じに見えてくるから不思議だ。とくに、発売日にブルーのU10を購入し、愛用していた私としては、これは結構大きなショックだった。

 今回試用したのは、コズミックブルーのボディだったが、このカラーリングがなかなか絶妙。しかも、U20のデザインともマッチしており、とても高級感がある。シルバーやブラックタイプもなかなか高品位で、“モノ”として魅力が十分に感じられる。

 もともと、Cyber-shot U自体、完全な実用機というよりも、むしろ、アクセサリー的な感覚が強いモデルなだけに、外観の高品位化は既存の「U10」ユーザーはもちろん、購入を検討している人にとっても、インパクトのあるものに仕上がっている。

 なぜ、それほど外観の質感の話をするのかというと、本機と「U10」の違いは、外観とCCDの高画素化を除けば、ほとんど同じもの。もちろん、サイズも機能も同じで、使用感もきわめて近いもの。

 ただ、実際に手にしてみると、一カ所だけ、大きな違いがある。それはメインスイッチ兼用のスライド式レンズバリアの動きだ。

 実は、私が「U10」を気に入っていた理由の一つが、このレンズバリアの開き方にある。このバリアの動きは、スムーズななかにも、ヌメッとした得も言われぬ感触がある。この雰囲気は他社の高級機といえども、なかなか得られないもの。これを文章で詳しく説明するのは難しいのだが、興味のある人は店頭で実際に操作してみて欲しい。価格が2~3倍もする高級機でも、これだけ感触のいいバリアには、なかなかお目にかかれないことを実感できるだろう。

 だが、今回の「U20」では、携帯や収納時に、レンズバリアが不用意に開かないよう、バリアが最初に開くときの動きを意識的に硬くしている。もちろん、今回持ち歩いて見ても、U10に比べて、不用意にレンズバリアが開く確率は低くなっている。だが、そのぶん、U10のような、滑らかな動きはスポイルされている。個人的にはこの点が実に残念だった。

 反面、安心感という観点から見れば、大きな改良点といえそうだ。ただし、U10/U20ともオートパワーオフ機能があるので、バリアが開きっぱなしになっても、一定時間でOFFになる。そのため、私の経験では、それによる明確なバッテリの消耗を体感することはこれまでもなかった。

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●U10と同サイズの1/2.7型で200万画素化

 もちろん、本機の最大の特徴は、「U10」と同じ超コンパクトモデルでありながらも、200万画素CCDを搭載した点にある。

 200万画素化という点では、事実上のライバル機である「カシオ EXILIM EX-S2」が、一足先に実現している。だが、こちらはプログレッシブ式の1/1.8型という大きめのCCDを搭載したのに対して、この「U20」は「U10」と同じ1/2.7型200万画素タイプを搭載している点が大きな特徴だ。

 実はCyber-shot UとEXILIMは、ポピュラーなデジタルカメラが採用しているインターレース式CCDではなく、全画素読みだし式のプログレッシブ式を搭載している。このタイプの場合、原理上、電子シャッターのみでの撮影が可能であり、スミア対策を除けば、機械式シャッターを別途搭載する必要がないので、カメラの構造がシンプルにできるというメリットがある。また、本格的な高速動画撮影を実現する際にも有利だ。

 ただ、構造上、電荷転送路が受光部に対して広くなるため、インターレース式よりも実効感度やノイズ特性が劣るという欠点もある。

 そのため、高画素化にあたって、「EX-S2」(EX-M2も同様)では、光量的に余裕がある1/1.8型の200万画素タイプを搭載したわけだ。

 だが、本機の場合、全く同じボディや光学系を継承する関係か、130万画素版と同じ1/2.7型を搭載し、200万画素化をしているわけだ。

 個人的には、200万画素化する際には、1/2.7型のままでも、画質や感度、スミア対策などを考慮して、メカニカルシャッターを新搭載して、インターレース式の200万画素CCDを搭載するのでは……と思って(願って?)いたのだが、その希望的な予測は、見事に外れてしまった。

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●変わらぬ撮影感覚

 撮影感覚は、相変わらず、軽快なもの。起動時間は標準付属の8MBカード使用時で1秒強と、U10とほぼ同じ。また、128MBカードを使うと、カードへのアクセス時間が延びて、3秒程度かかるので、軽快に使いたい人は、やや小さめの容量のカードを利用する方がいいだろう。

 AF測距はそれほど高速というわけではないが、実用十分なもの。シャッタータイムラグは短く、シャッターを半押ししAFロックした状態でシャッターチャンスを捕らえるのは容易だ。

 もちろん、レンズ前10cmまでのマクロ撮影が、切り替えナシにAFで楽しめるというU10の長所はそのまま受け継がれている。このマクロモードの有無で、200万画素のEX-S2ではなく、130万画素のU10を選んだ人もいると思うが、本機なら200万画素の切れ味と10cmまでのマクロ撮影の両方を堪能できるわけだ。

 また、U10では、シーンによって、AF測距が大きく外れるケースが希にあったが、今回のU20では(まだ撮影枚数が少ないせいか)その確率がけっこう減ったような印象がある。もちろん、AFが苦手なシーンはあり、日中でも輝度の高いものが画面内にあったりすると、誤測距するケースもあった。通常のモデルなら、液晶モニターでピントを確認できるので、そのままシャッターを切ることはないが、本機の小さな液晶でピントを確認するのは無理なので、AF測距精度はもう少し高めたいところだ。

 もっとも、ピントが心配なシーンであれば、操作は面倒だが、マニュアルフォーカスに切り替えて撮影するという手もあるが、本来はその前にAFや液晶モニターを改良するべきだろう。

 その液晶モニターは「U10」と同じ1.0型のフロントライト式反射型液晶を搭載しており、視認性は今ひとつ。とくに厳密なフレーミングをするのは難しいが、もともと、そのような性格のカメラではないともいえるが、次世代モデルでは、ぜひ、もう少し表示品質を向上させて欲しいところだ。

 U10での不満点だった、再生時の拡大表示機能がない点は、本機でも同様。まあ、この表示品質では拡大表示しても、どれほどの効果があるかという疑問はあるが、このあたりも次機種への課題といえそうだ。

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●解像感はあがったけれど

 さて、本機の大きな関心事は、やはり、200万画素化されて、写りが変わったのかという点だろう。

 先に結論をいってしまうと、解像感は向上したが、色調や階調性の点で、大幅な改良はみられなかった。もちろん、搭載しているCCDのサイズが同じなので、U10よりも画素密度が上がっているため、感度やノイズ、階調性はやや不利になる可能性が高い。

 だが、新開発のCCDであり、技術的にも日進月歩で進化している世界だけに、高密度になった分の性能低下はほぼ吸収できているという印象をうけた。

 今回は「U10」とライバル機「EX-M2」との実写比較で、本機の画質をみてみた。

【比較画像】

 まず、解像度はU10よりもワンランク向上している印象で、EX-M2と同等か、やや劣る程度。とはいえ、やはり200万画素化のメリットは大きく、安心して、2L判クラスのプリントができるだけの解像感を実現している。これなら、普段のスナップはもちろん、横10人程度の記念写真でも安心して撮影できるレベルだ。

 色調は、U10よりも、ごくわずかに彩度が高くなっているような印象を受けるが、比べなければわからない程度。U10登場時には、EX-M1のほうが鮮やかな印象だったが、EX-M2がより鮮やかな色調になったこともあって、U20とEX-M2と比べると、U20のほうが地味な印象を受ける。

 とくに、青空の色調については、現物に比較的近い色調ともいえるが、U20単体で見ると、やや冴えない印象もある。また、オートホワイトバランス専用機のため、被写体の色調や光線状態によっては、不自然な色調になることもある。とくに人物を撮影すると、背景の色によっては肌色が不自然な感じになるケースも見受けられた。

このクラスのモデルを選ぶユーザーであれば、全体に、もう少し明快な色調の方が喜ばれると思うのだが、この点は少々残念だった。

 階調の再現性はU10とほぼ同等で、ハイライトの白飛びが意外に少なめだ。EX-M2はややハイライトを飛ばし気味にすることで、メリハリ感を演出している感じもあるが、本機は階調重視という感じだ。パッと見たときに印象は弱く見えるが、最新のプリンターで、自動補正機能をONにしておけば、十分にメリハリのあるプリントに仕上がるので、この点はさほど心配する必要はないだろう。

 また、本機はプログレッシブCCDを搭載しているため、画面内に強い光源があると、明確なスミアが発生する。といっても、それほど頻繁に発生するわけではないので、太陽が写り込むようなシーンでなければ、それほど気になることはないが、それでも、このような現象が起きることを予め知っておいて購入するべきだろう。

 むしろ撮影していて気になったのは、暗めの屋内や夜景の撮影がしにくいこと。本機の場合、手ブレを防ぐ関係で、通常モードではシャッター速度が1/30秒以下に下がらず、それより暗い場合にはゲインアップ(本機ではISO320まで)でカバーする仕様になっている。それより暗い場合はストロボ撮影でカバーしようというわけだ。

 だが、屋内でもストロボを使わずに自然光だけで撮影したいことも多く、これからのシーズンは夜景がきれいな時期なので、これらの撮影も楽しみたいもの。だが、本機でそのまま撮影すると、素直に(?)露出アンダーになってしまうのが残念。できれば、ストロボOFFでスローシャッターが使えるモードも用意して欲しいところだ。

 ただ、遠景の夜景だけであれば、奥の手を使って撮影することもできる。というのは、本機に搭載されている、夜景人物モード(スローシンクロモード)にセットすると、ストロボは発光するが、背景の夜景も写るようにするため、よりスローシャッター速度まで切れるようになる。

 そのため、このモードを使えば、ストロボが届かないような遠景であれば、自然光だけでの夜景撮影ができてしまうわけだ。しかも、ホワイトバランスはデーライトに固定されるため、色調も夜景らしい雰囲気になるというメリットもある。

 もっとも、本機には三脚取り付け用のネジ穴がないため、台などのうえにおいて、カメラを安定させる必要があるが、U10でも使えるテクニックなので、覚えておくといいだろう。

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●Cyber-shot Uに何を求めるか?

 Cyber-shot Uは、初代の「U10」から、130万画素機としては大きめな1/2.7型CCDを搭載していたこともあって、200万画素版が比較的早い時期に登場することは、容易に想像できたし、実際に今回の「U20」は予想通りの展開だった。

 確かに画素数が増えるのは、素直にうれしいし、ボディサイズや価格が納得できる範囲なら、ちょっと余裕を持った画素数のほうが安心感もある。もちろん、CCDが高密度になるので、解像度は向上しても、階調性の面では多少の難点もあるが、それは厳密に比較した場合で、通常使う分には、よりシャープで切れ味のいい写りのほうが好ましいのは確かだ。

 だが、よくよく考えてみると、もともと本機はスナップ向けモデルであり、L判プリントなら130万画素で十分だし、CCDが200万画素になったからといって、その魅力が倍増するものでもないという、素朴な疑問があった。

 それに対して、ソニーは、高品位外装という、いかにも“U”らしい切り口で展開して見せた。確かにその甲斐あって、小さいけれど、安っぽさを感じることのない、独特なポジションのモデルに仕上がっている。

 もっとも、実販価格はU10のほぼ10,000円高の34,800円前後と、下手な300万画素3倍ズーム機よりも高価な設定になっている。機能面で見れば、本機にはそれだけの価値がないと思う人は、はなから、U20の購入を検討する必要はない。

 また、現在、U10でも十分で、L判程度にしかプリントしない人にとっては、外観の魅力を別にすれば、積極的に買い換える必要もなさそうだ。

 むしろ、デジタルカメラをアクセサリー感覚で、いつでも気軽に持ち歩きたい。けれど、やっぱり、よりシャープで高品位なものがいいと思う人にとって、本機はとても魅力的なモデルだ。

 一般に、本機のライバルとなると、やはり超薄型200万画素機「カシオ EXILIM EX-S2」になりそうだ。しかし、むしろ、本当のライバルは、近い将来登場するであろう、メガピクセル化された「カメラ付き携帯電話」なのかもしれない。その意味で、高画素化と高品位化による差別化で先手を打ってきた印象の方が強い。

 カメラ付き携帯電話が今後より進化してゆけば、ちょっとスナップする分には、それでも十分、という時代になるのは確実だ。だが、そんな時代になっても、”積極的に持ち歩いてくれる”魅力的なデジタルカメラとは、という問いに対する回答としては、なかなかよくできたモデルに思えた。

 きっと、このカメラなら、カメラ付き携帯を持ってても、それと一緒に、アクセサリー感覚で持ち歩いていてもいいかなと思わせるだけの“モノ”としての魅力を備えたモデルに感じられた。

ピクチャーモードサンプル
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ノーマル ネガ セピア
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モノクロ 減色

□関連記事
【11月14日】ソニー、「サイバーショットU」の200万画素モデル「DSC-U20」
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2002/1114/sony.htm
【7月23日】【山田】「カシオ EXILIM」、「ソニー サイバーショットU」比較レポート
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2002/0723/yamada.htm


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(2002年11月25日)

[Reported by 山田 久美夫]


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