●衣料品店で売っていたPDA
今回紹介するのは、アメリカで3ドル99セントで買ったPDAである。約4ドルといえば、円が値下がりした現在、123円換算でも500円しないものである。もっとも、これはバーゲン価格で、元値は12ドル50セント、まあ1,500円ぐらいである。 買ったところは米国の衣料品チェーン「OLD NAVY」のサンフランシスコ店。OLD NAVYは、アメリカのユニクロみたいなところで、日本にも進出している衣料品チェーン「GAP」の系列店。ここで売っている衣料にはすべてOLD NAVYと大書きしてあり、米国在住の友人は「あんなもの着て歩くのは田舎者」と言っていた。 ●意外とよいインターフェイス
さてこの激安PDA、「Digital Pocket Planner」という名前で売られていたが、サイトを見ると「P@L-mate」が正式な名前らしい。 内蔵機能は、電話帳、時計、アラーム、スケジュール、電卓、占い、ゲーム2種と、PDAとしての基本機能を押さえている。 本体サイズは45×10×70mm(幅×奥行×高さ)。16×28ドットの液晶ディスプレイは、その下のキーボード部分を含めて感圧式タッチパネルになっている。さらにその下にボタンが6つある。 LCD下の部分は変形QWERTYキーボードで、アルファベット、記号、数字の入力が可能なほか、電卓用のキーもある。つまり、これでちゃんと入力ができるのである。入力は、タッチキー部分の上下2段に文字があり、LCD上のアイコンを使ってシフトを切り替えるほか、電卓や日付、時刻入力時には自動的に数値のみ入力できるように切り替わる。 電源ボタンはなく、ハードウェアキーをどれか押せばLCDがオンとなり、一定時間後に表示は自動的にオフになる(もちろん、時計やメモリはバックアップされている)。時計表示状態でTIMEキーを押すと強制的にLCDをオフにすることもできる。このあたりの細かいユーザーインターフェースは、意外にしっかりしている。 内蔵メモリのサイズは不明だが、電話帳に36件(電話番号とメールアドレス)、スケジュールに1件程度まではデータを入れることができた(PCソフト上のエントリは、最大電話帳122件、スケジュール20件となっている)。このサイズにしては、まあまあの量である。 ●PCとの通信機能も P@L-mateの背面には、フォトダイオードとLEDが装備されていて、P@L-mate同士で通信ができるほか、PCからデータを転送することも可能(前述のサイトからPC用ソフトをダウンロードする必要がある)。 P@L-mate同士では、電話帳データの送信(名刺送信)、アニメーションデータ送信、ゲームハイスコア送信、スケジュール送信と相性診断が行なえるようになっている。 PCからの転送は、P@L-mateへのダウンロードのみ。というのは、PCの画面の点滅もしくはキーボードのNum Lock LEDの点滅で、PCからP@L-mateへ信号を送るからである。 とはいえ、電話帳、スケジュール、アニメーション画像とP@L-mateのデータすべてを送ることができるため、PC側で入力をすべて行なってしまえば、特に問題はない。通信で他人から貰ったデータをPCに移すことはできないが、名前と電話番号、メールアドレスだけなので、再度入力してもたいしたことはないだろう。 ●Palm Pilotを彷彿とさせるPDA このサイズ、この価格で基本的な機能を備えているばかりか、通信機能やアニメーション画面のカスタマイズ機能などまである。おそらくたいしたCPUも使っていないし、メモリもたかがしれているのだが、機能的にはオモチャの域を越え、初期の電子手帳や、腕時計に付いている程度の機能が備わっている。よくもここまで凝ったものだと関心してしまう。高機能を誇るPDAが多い中で、初期のPalm Pilotを彷彿とさせるものがある。
サイトによれば、米国ではWal-Mart、Target、OLD NAVYで扱っているのだとか。また「Z-Touch」という名前で販売されていたこともあるらしい。少なくともOLD NAVYでは叩き売り状態だったので、入手の程は不明。 もし見つけたら、バックアップ用も入れて2つ買っておくことをおすすめする。P@L-mateの中身を受け取れるのはP@L-mateだけなので、片方にデータのバックアップを取っておくのに便利だ。それに、通信して遊ぶこともできる。叩き売りのOLD NAVYで買えば2つでも1,000円しないのである。 (2002年10月18日)
[Text by 塩田紳二]
【PC Watchホームページ】
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