NEC、リストラを推進、半導体事業も分社化

5月16日発表


 日本電気株式会社(NEC)は16日、半導体事業の分社化を中心とした事業再編に乗り出すことを明らかにした。

 「経営改革の第2フェーズ」と、西垣浩司社長がいうように、今回の事業再編は、同社の基幹事業のひとつである半導体事業を同社から切り離すという抜本的な改革になる。

●半導体、TFT液晶、カラーPDPを分社化

 今年11月1日付けで、分社型会社分割により、DRAM事業を除く半導体事業を分社化し、新会社を設立する。社員は、現在のNECエレクトロンデバイスからの移行により25,000人規模とし、売上高は約7,000億円。当初は、NECが100%の出資となるが、早い時期に株式公開を目指し、株式公開時にはNECの株式保有率は70%程度とする。社長などの役員人事は未定だが、今年4月にNECエレクトロンデバイスのカンパニー社長に就任している戸坂馨氏の就任が順当と見られる。

 新会社の事業領域は、システムLSI、個別半導体に加え、すでに昨年10月に分社化している化合物デバイス分野のNEC化合物デバイスを統合する。

 DRAM事業に関しては、日立製作所と合弁で設立したエルピーダメモリに移管しているが、この管轄はNEC本体となる。また、TFT液晶とカラーPDP事業に関しては、それぞれ今年10月に分社化する方針を固めた。

●グローバルな半導体企業と戦うために

 今回の事業構造改革のポイントは、以下の3点。

1)NECの事業ドメインを大きく2つに分け、各々に経営資源を集中する

2)半導体事業に独自のファイナンス手段を持たせることで、財務資源を確保

3)企業価値の顕在化と財務体質の強化

 事業ドメインとして、ソリューション事業とネットワーク事業を「IT・ネットワーク統合ソリューション」として、オープン環境でのミッションクリティカルを実現するソリューションとサービスを提供、一方で「半導体ソリューション」として、高度化するシステムニーズを実現するチップソリューションの提供を狙っており、それぞれの顧客層の違いとビジネスルールの違いなどからこの2つのソリューションをもとにした体制に分割させる。

 また、ソリューションズ、ネットワークスの2つのカンパニーにおけるソフト・サービスレイヤ、プロダクトレイヤでの融合を図る考え。「NECは、IT・ネットワークの統合ソリューション企業となり、分社化するNEC半導体はロジック半導体専業企業という位置づけになる」(西垣社長)とした。

 新会社では、成長性が期待される高付加価値システムLSIへの事業集中、技術力、営業力の強化とともに世界のリーディングカンパニーとの戦略提携の拡大をすすめるほか、資本市場へのダイレクトアクセスにより財務体質を改善、グローバルな半導体企業と互角に戦える開発、設備資金の確保などを目指す。

●全社をリードするのはソリューションズ

 一方、半導体事業を分社後のNECソリューションズでは、「全社の着実な成長をリードするのはソリューションズ」(西垣社長)として、SI事業による「収益基盤」、「顧客基盤」と、BIGLOBEの「サービス基盤」を核とした新たな成長への挑戦を課題に掲げており、OMCS(オープン・ミッション・クリティカル・サービス)によるSI事業の成長、BIGLOBEとのシナジー効果などのほか、スーパーコンピュータで培った先端技術をサーバー、ストレージに展開するなどハードウェア事業の再活性化も目指という。

 なお、10月をめどに設立されるTFT液晶の新会社の事業規模は、売上高約700億円、人員約1,500人。生産拠点であるNEC鹿児島のカラー液晶部門と、NEC秋田を新会社の子会社とする。同時に今年4月に中国上海広電と合弁で設立したTFTカラー液晶の新会社への技術供与や要素技術の開発などをすすめる。

 また、PDPの新会社はNECとNEC鹿児島のカラーPDP部門を統合して発足、売上高は約600億円、人員は約900人となる。PDPの新会社は、株式公開を目指す。

□NECのホームページ
http://www.nec.co.jp/
□ニュースリリース
http://www.nec.co.jp/press/ja/0205/1601-02.html
□関連記事
【4月25日】NEC、2001年度決算は3,120億円の赤字
~半導体分野の業績悪化が大きく影響
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2002/0425/nec.htm

(2002年5月16日)

[Reported by 大河原 克行]

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