プロカメラマン山田久美夫の「フォトエキスポ2002」レポート
~各社の新製品や周辺機器が一同に

会場:東京ビッグサイト(西3、4ホール)
会期:3月22日~24日

入場無料

主催:日本写真機工業会・日本写真映像用品工業会

 米国のPMA、ドイツのフォトキナにならぶ、アジア最大の写真機材イベント「フォトエキスポ2002」(東京会場)が、さる3月22日から24日まで、東京ビッグサイトで開催された。

 このイベントは、カメラ中心の「日本カメラショー」と、アクセサリー中心の「写真・映像用品ショー」の2大イベントを合同開催したもの。参加メーカーはそれぞれ20社と43社で、PC関係イベントに比べれば少ないが、事実上、世界市場を日本カメラメーカーが席巻しているため、これでも世界の大手メーカーが勢揃いしているといっていいレベルだ。

 また、海外イベントが商談を中心としたビジネス系なのに対し、この「フォトエキスポ」は一般コンシューマー向けのイベントである点も大きな違いといえる。

 さて、今回の「フォトエキスポ2002」だが、2月開催の米国「PMA」、今月中旬にはドイツの「CeBIT」が先行して開催されていることもあって、本イベントで世界初公開というモデルはなかった。とはいえ、多くのモデルが国内で初めて公開されたこともあり、会場は終始賑わいを見せていた。

 そこで今回は、国内で初公開された各社の新製品を中心としたレポートをお送りしよう。



●人気が集中した、新世代デジタル一眼レフ

 フォトフェスタはもともとカメラ愛好者がメインのイベント。それだけに、今春、各社から続々登場してきたデジタル一眼レフの人気は絶大であり、「ようやく一眼レフ中心の、本来のカメラショーらしさが戻ってきた」という人も多かったほど。

 実際に今年のフォトフェスタを見て、レンズ交換式モデルの台頭により、ようやく「デジタルカメラが作品作りのための道具になった」と認知された感じだ。


・ニコン

 ニコンは今回、APSサイズの600万画素CCDを搭載したデジタル一眼レフ「D100」を出展。多数のデモ機を用意し、その存在を強くアピールしていた。

 本機はすでに開発発表されたモデルだが、現時点ではまだ、発売時期、価格ともに未定の状態。ブースでも価格については「D1/D1Xの半額程度が目標」という終始一貫したコメントだった。

 ブースで手にした感じでは、ハード的にはほとんど製品版と同等といった印象。あとは画質を中心とした最終的なチューニングを施している最中という感じだった。

 また、同社は「D100」と同時に多数の新交換レンズを発表しており、なかでもきわめて細身でコンパクトな手ブレ軽減機能内蔵の「ED70-200mmF2.8G」は会場でも高い人気を誇っていた。

 このほか、同社ブースでは先だって発売されたばかりの「COOLPIX2500」も出品。

 さらに、同社系列会社の「ニコン技術工房」では、折り畳みも可能な液晶モニタ用フードも展示。従来は1.8インチ用のみだったが、今回は1.5インチLCD用も新たにラインナップしていた。取り付けは両面テープ式なので、他社モデルでも利用可能だ。いずれもオープンプライスだが、オンラインショップ( http://shop.nikon-image.com/catalog.cfm )では、1.8インチ用が4,000円、1.5インチ用が3,800円で販売中という。


・キヤノン

 キヤノンは今月30日発売予定のAPSサイズ600万画素CMOSセンサー搭載の「EOS D60」を出品。先だってのIPPFほど強いアピールはしていなかったが、ブースでの人気は上々。また、店頭で触れる機会が少ない「EOS-1D」もなかなかの人気を博していた。

 同社は今回、CeBITで先行発表し、国内でも開幕直前に正式発表した新型IXY「IXY DIGITAL 200a」「300a」も出品。また、PMA発表の「PowerShot A40」「A30」「A100」といった新製品を一堂に出展していた。

 もっともこちらは、外観デザインが旧機種とあまり変わらないせいか、新製品だと気がつく人は少なめな印象だった。

 むしろキヤノンは、これらの新機種で正式対応した「Exif Print」(Exif2.2)を使った、ダイレクトプリントをメインにアピールしていたのが印象的だった。もちろん、同規格は同社独自のものではなく標準化されたものだが、エプソンの「PRINT Image Matching」(PIM)に対抗するような印象を受けた。

 また、同社の主要BJプリンターを「Exif Print」に対応できるようにするためのアップグレードソフトウエア「EasyPhotoPrint」のCD-ROMも、対応機種ユーザーのみに配布されていた。なお、同ソフト(Windows版のみ)は同社Webからのダウンロード( http://www.canon-sales.co.jp/bj/exif-print/download.html )も可能なので、興味のあるユーザーはダウンロードされるといいだろう。


・京セラ

 京セラは今回、発売直前となる35mmフルサイズ600万画素CCD搭載機「CONTAX N DIGITAL」をメインとした展開を図っていた。

 発売が再度延期されたわけだが、予定では本日25日出荷予定ということもあって、ブースには稼働機が数台あり、その場で撮影し、Mac上で画像を確認することができるようになっていた。

 実際にMacの画面を食い入るように見ているユーザーも多く、デジタル一眼レフ初の35mmフルサイズCCD搭載機への期待度の高さが伝わってきた。また、実写プリントも2点あり、その画質の片鱗を感じることもできた。

 さすがに、ブースで撮影した画像を見ただけでは、その完成度を確実に知ることはできなかったが、着実に完成度を高めつつあるというニュアンスは伝わってきた。ただ、再度の延期で、CONTAX初のデジタル機としての完成度にこだわってきたのなら、十分納得できるレベルに熟成するまで発売を待った方がいいのでは…… と個人的には思う。

 このほか同社は、世界最小クラスの「Finecam S4」「S3x」も出品していた。


・シグマ

 国内初公開となった画期的な撮像素子「FOVEON X3」を搭載したデジタル一眼レフ「SD9」を出品したシグマ。

 1つの受光部でRGBの3色のデータが得られる次世代のCMOSセンサーを搭載しているだけあって、その注目度はなかなかのもの。例年はレンズがメインの同ブースだが、ブースの前面に「SD9」を展示し、素子についての説明を展開。もちろん、稼働機も用意されており、実機を手にし、操作感を試すこともできた。

 注目の画質についてだが、今回もPMAで展示されたのと同じ実写プリントが用意されているのみ。プリントを見る限り、まったく偽色がなく、A3プリントを見ても、300万画素級モデルとは思えないほどシャープ。だが、被写体やライティングの関係もあって、色や階調性については未知数。

 なお、本機はまだ開発発表ということで、価格や発売時期については未定ということだった。


・富士フイルム

 この春、「FinePix S2Pro」「S602」を開発発表した富士フイルム。

 これまでは発売時期、価格とも未定だったが、今回ようやく、「S2Pro」を6月発売、「S602」は4月発売とアナウンスしていた。

 とはいえ、いまだにアクリル越しでの出品であり、実機に触れることができなかったのは残念。来月発売とアナウンスされた「S602」だけでも、稼働機を公開してほしかったところだ。



●最新400万画素機などが勢揃いしたコンパクトモデル

 カメラショーでは、もはやコンパクトカメラに代わる存在となりつつある、レンズ一体型のコンパクトタイプのデジタルカメラ。カメラにこだわりを持つ来場者が多いこともあって、会場での人気はデジタル一眼レフに及ばないが、それでも注目すべきニューモデルが数多く出品された。


・ミノルタ

 ミノルタは、CeBIT発表の「DiMAGE 7i」「DiMAGE F100」を出品。いずれも、AF一眼レフのパイオニアであるミノルタらしく、AF機能にこだわったモデルだけに、カメラショーでもなかなかの人気を博していた。

 500万画素の28~200mm相当の光学7倍ズーム搭載機ということもあって、「DiMAGE 7i」の人気はブースでも高く、高速化されたAF測距も好評だった。

 また、非常に凝ったAF機能を搭載した400万画素3倍ズーム「F100」。なかでも、このクラスでは珍しいイメージカラー「インディゴブルー」モデルの人気が高かったようだ。

 なお、好調の薄型モデル「DiMAGE X」は、その薄さを生かした小型の防塵防滴ケースを参考出品。こちらはガラス越しでの展示だったが、薄型でしかもレンズが出っ張らない構造のため、ハウジングもライバル機よりかなり薄型に仕上がっており、夏にかけてのアウトドアシーズンに人気を博しそうだ。


・コニカ

 コニカはPMAで発表した小型400万画素3倍ズーム機「KD-400Z」を参考出品。

 PMAでは実機に触れることができたが、今回のカメラショーではウインドウ越しの出展だったのが実に残念。そのぶん、レンズ下部にあるブルーのLEDを点灯させてアピールしていた。このLEDは起動時やセルフタイマー使用時などに点灯させるものというが、デザイン的に見ても、なかなかオシャレな印象だ。

 また、本機はSDメモリーカードとメモリースティックの両方を利用できたり、起動が早いといった特徴があるが、その点は今回の展示ではほとんどアピールできていなかった。

 なお本機は参考出品ということだが、国内でも販売されるようだ。

 このほか、昨年11月発表の200万画素単焦点タイプの防塵防滴モデル「DIGITAL現場監督 DG-2」も出品。防滴タイプとしては比較的手頃な価格(79,800円)。オプションのワイドコンバータを装着することで、ワイド撮影ができるモデルとして注目される。


・旭光学

 旭光学は今回、簡易3D撮影が楽しめる200万画素3倍ズーム機「Optio230」をメインとした展開。

 ブースには本機に付属する3Dビューワも用意されており、本機で3D撮影したプリントを鑑賞できるようになっていた。3D撮影としてはとてもオーソドックスなものだが、実際にビューワで見てみると、とても楽しく、ブースでの人気も上々だった。

 なお、展示機は「Optio230」と、コンパクトな300万画素機「Optio330」のみで、400万画素機の「Optio430」は出展されていない。この点について訊ねたところ、同機はすでに市場在庫のみで、すでに生産完了しているということだった。


・ライカ

 ライカは今回、18年ぶりにフルモデルチェンジした35mmレンジファインダー機「M7」がメインだが、それとならんで、同社初の本格的なデジタルモデル「DIGILUX 1」を出品していた。

 同機は松下電器の「DMC-LC5」のパーツを利用した、ライカ製モデル。外観のデザインはもちろん、操作部も異なっており、絵づくりについてもライカ独自のチューニングがなされているという。

 個性の強いデザインだが、来場者の人気は予想外に高かったようだ。

 価格は未定だが、同クラスのライバル機よりもやや高めの設定になる模様。また、国内に入荷する台数も限定されるようだ。


・松下電器

 松下電器は米国で先行発表された400万画素3倍ズーム機「DMC-LC40」、200万画素3倍ズーム機「DMC-LC20」を出品。さらに、「DMC-F7」のカラーモデルも出展するなど、多数のデジタルカメラを出品。

 「LC40」、「LC20」ともにファミリーユースを意識したモデルだけあって、「LC5」や「F7」ほど強い個性はないが、デザインも比較的親しみやすく、操作部もわかりやすく仕上がっていた。


・オリンパス

 オリンパスは今回、新製品は1/3.2インチ200万画素3倍ズーム機「C-2Zoom」のみという寂しい展開。

 とはいえ、ブースでは「E-20」とA4サイズ昇華型プリンタ「P-400」を使った、モデルの実写デモを展開しており、来場者にはなかなか好評だった。

 今回、目立った新製品はなかったが、注目の4/3インチCCD搭載レンズ交換式一眼レフなど、今後の展開に大いに期待したいところだ。


・その他

 三洋電機やリコーなども現行機種の出展のみで、新展開はなし。

 マミヤはコダック製の1,600万画素デジタルバック「DCS プロバック645M」を出品していた。

 エプソンはオートカッター内蔵のダイレクトプリント機「PM-850PT」や、顔料系A3機「PM-4000PX」を出品し、その便利さと高画質ぶりを強くアピールしていたのが印象的だった。

 また、フォトエキスポには、今回、ソニーやコダックなどが参加していない点は残念なところ。とくにソニーは新製品を多数発表した直後だけに、「DSC-P9」などの実機を見たかった人にとっては物足りない感じもあっただろう。


●デジタルカメラ関連アクセサリーも続々登場

・キング、デジタルカメラ用3Wayチャージャーを参考出品

 キング(浅沼商会 http://www.asanuma.gr.jp/ )は、デジタルカメラの底面に装着可能な3Wayチャージャーを出品。これは本体内に携帯電話用のリチウムイオンバッテリーを内蔵したもの。本体下部に折り畳み式のACコンセントを備えており、本機のみで同バッテリーへの充電が可能。

 さらに、付属ケーブルをデジタルカメラに接続することで、外部電源や充電器としても利用できる。また、付属のカーバッテリー用コードにより、自動車で移動中でも充電できるなど、数多くの機能を備えている。

 まだ試作段階であり、製品版ではサイズも一回り小型化され、欧州など240V前後の地域でのAC充電にも対応する予定という。価格は未定だが、現時点では8,000円前後を予定。FinePix/CAMEDIA/Cybershotの各専用タイプをラインナップするという。

 本機とカメラ間はケーブルで接続するため、やや面倒だが、ロングケーブルを使ってバッテリーを保温することができるため、寒冷地での撮影に便利そう。また、本機でカメラ本体のバッテリーへ充電もできるため、旅先でも別途、充電機を持ち歩かなくて済む。

 できれば、よりコンパクトで、あらゆる機種に対応すれば便利だが、ぜひ適価で登場して欲しいアクセサリーだ。


・ユーエヌ、蛍光灯利用のデジタルカメラ用マクロリングライトを出品

 ユーエヌ( http://www.un-ltd.co.jp/ )は、ホワイトバランスが取れるというデジタルカメラの長所を生かした、蛍光灯光源式マクロリングライトを出品した。これは撮影レンズの周辺にリンク状に光源を配置することで、接写時に影のない撮影ができる、接写用光源だ。

 従来はストロボ光源式がメインだったが、今回はデジタルカメラ用と割り切ることで、影の出方がリアルタイムで確認でき、カメラ任せでオートのまま撮影できる製品として開発したという。また、リングライトを装着した状態でも46mm径のクローズアップレンズが装着できるので、本格的なマクロ撮影にも対応できる。

 対応機種はCAMEDIA C-2000/3000/4000系、COOLPIX850用、C-700UZ用、COOLPIX900系用の3種があり、電源込みで、価格は36,000円という。

 また同社は、CAMEDIA C-2000/3000/4000系用の液晶モニター用フード(3,600円)も発表していた。


・共同写真要品、海外で有名なHOODMANを発売

 共同写真要品( http://www.kpsnet.co.jp/ )は、海外のデジタルカメラの液晶モニター用フードで有名なHOODMANの「ニコン D1」シリーズ用フードを発売。また、同機の液晶モニター用カバーでLCD部が透明になっているプロテクションも発売していた。


・ミックインターナショナル、デジタルカメラ付き双眼鏡を出品

 ミード(輸入元:ミックインターナショナル http://www.micint.co.jp/)は、22mm8倍の双眼鏡に、35万画素デジタルカメラを内蔵した双眼鏡「BinoShot」を発表。

 カメラ部は35mmカメラ換算で400mmレンズ相当の超望遠撮影専用で、双眼鏡の視野(約8度)とほぼ同じ範囲(約7度)が撮影できるもの。画像サイズは640×480ピクセルのVGAサイズ。メモリーは内蔵式のみでUSB接続でPCへのデータ転送も可能だ。

 価格も14,800円と手頃。重さも250gと軽量で、双眼鏡で見たものをメモ用に記録するのに便利そうだ。


・ケンコー、デジタルカメラ用アクセサリーを多数展示

 ケンコー( http://www.kenko-tokina.co.jp/ )はデジタルカメラ用アクセサリーを多数出品。

 なかでも、カメラのマクロ機能を利用して35mmフィルムをデジタル化する「スライドデジコピア」はなかなかユニークで実用的なもの。

 また、今春発売予定として、高画質指向のフロントコンバータ「LD-07W」(0.7倍)、「LD-055W」(0.55倍)、「LD-20T」(2倍)なども出品していた。


・レイノックス、メガピクセル機対応コンバータを出品

 フロントコンバータの老舗「レイノックス」(吉田産業 http://www.raynox.co.jp/japanese/jpindex.htm )は、メガピクセルデジタルカメラ対応製品として、「DCR-1850PRO」(1.85X)、「DCR-720」(0.72X)、「DCR-5000」(0.5X)など新製品を出品。

 いずれもフィルター径は52mmと大きく、直接またはアダプタ経由で大半のモデルに対応可能。また、代表的な機種は、同社Webで実写データを公開中なので、その写りを事前にある程度確認することもできる。


・ピクトリコ、手頃な高品位光沢紙を出品

 高品位インクジェットペーパーで有名なピクトリコ( http://www.pictorico.co.jp/ )は、ハンザブースで新製品の光沢紙「ハイグロスフォトペーパー」などの新製品をデモ。

 同社はきわめて光沢性の高いピクトリコプロが有名だが、今回のものは、手頃な価格でしかもピクトリコ特有の明快な再現性を実現したもの。ペーパーはやや厚手の写真用印画紙と同等のペースを採用したもので、光沢感もなかなか良好。また、このペーパーは光沢フィルム用の設定だけではなく、PM写真用紙での設定でもプリントできるため、対応プリンターも多い。

 価格も2L版30枚で800円、A4版20枚で1,250円と比較的手頃だ。



□フォトエキスポ2002のホームページ
http://www.photoexpo2002.com/

(2002年3月25日)

[Reported by 山田久美夫]


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