CeBIT 2002 Hannoverレポート

Intel 845E/G、SiS645DXを搭載したマザーボードが展示
~DDR400をサポートしたSiS648などが参考展示

会場:Hannover Messe
会期:3月13日~20日(現地時間)




 CeBITも3日目を迎え、週末が近付いていることもあり、徐々に来場者が増えてきている。それとは逆に、気温の方は下がりぎみで、かなり厚着をしないと凍えてしまう状況だ。

 CeBITには多くのマザーボードベンダが出展しており、毎年最新の製品をそこかしこで見かけることができる。特に、今年はIntelがまだ発表前のIntel 845E/Gの展示を許可したこともあり、多くのマザーボードベンダがIntel 845E/G対応のマザーボードを展示している。この他にも、SiS645DXなどの最新のサードパーティチップセットを搭載したマザーボードなども展示されていた。本レポートではそうしたCeBITの会場で見かけた最新チップセットについてお伝えしていく。


●“Brookdale-E/G”ことIntel 845E/Gチップセット搭載マザーボードが展示

 マザーボード関係での今回の最も大きな目玉は、これまでコードネーム“Brookdale-E/G”のコードネームで呼ばれてきたIntel 845E、Intel 845Gという2つのチップセットだ。

 Intel 845E/Gは、現在のIntel 845(SDRAM版、DDR SDRAM版)の後継となるチップセットで、5月頃に出荷予定となっている。

Inte l845Gチップセット Intel 845Eチップセット

 現在のIntel 845ファミリーと、Intel 845E/Gの違いは主に以下の2点になっている。


(1)533MHzのシステムバスをサポート
(2)サウスブリッジがICH4に

 最も大きな変化はプロセッサシステムバス(PSB)が、従来の400MHzから533MHzに引きあげられていることだ。帯域幅は400MHz時の3.2GB/Secに対して、533MHzでは4.2GB/Secへと引きあげられる。Intelが同じく5月に導入する予定であるPentium 4 2.40B GHz、2.26GHzと組みあわせて利用すれば、533MHzで利用することができる。ただし、メモリ側は、いわゆるDDR266(266MHzのDDR SDRAM)から変更されていないため、メモリバスの帯域幅は2.1GB/Secと、PSBが533MHz時の半分しかなく、現時点ではあまりシステムバスの帯域幅が向上したメリットは大きくないと言える。

 なお、Intel 845Gに内蔵されているグラフィックスコアは、Intel 830Mファミリーに内蔵されているものとほぼ同じもので、2パイプライン×1テクスチャユニットとなっている。


●USB 2.0コントローラは1コントローラで6ポートを担当

ICH4

 2つ目の大きな変化は、サウス側が従来のICH2からICH4へと変更されたことだ。ICH2では、USBコントローラはUSB 1.1をサポートしたOHCIコントローラ×2となっているが、ICH4ではUSB 1.1のOHCIコントローラの数が3つに増やされ、USB 2.0に対応したEHCIコントローラが1つ搭載されている。OCHIコントローラは1コントローラで2ポートをサポートするが、EHCIコントローラは6ポートをサポートする。

 やや分かり難い話だが、Intel 845E/Gでは、合計で6ポートのUSBポートをサポートする。3つのOCHIコントローラはその6ポートのうち各コントローラにつき2ポートをサポートする。USB 1.1での帯域幅は11Mbpsなので、すべてのポートにUSB 1.1のデバイスを接続した場合には5.5Mbpsの帯域幅が確保される。これに対してEHCIコントローラは、1つのコントローラで6ポートすべてをサポートする。つまり、6ポートすべてにUSB 2.0デバイスを接続した場合には、480Mbpsを6ポートでシェアすることになるので、各ポートは80Mbpsの帯域幅を利用できる計算になる。

 ならば、USB 2.0コントローラの数を3つにすればいいじゃないか、という意見がでてきそうだが、実はそうはできない事情がある。その理由は、USB 2.0コントローラが利用するトランジスタ数があまりに多いことだ。<この点について、USBインプリメントフォーラムの議長であるIntelのジェイソン・ジラー氏は「確かにチップセット統合型のUSB 2.0コントローラはそういう仕様になっている。これはコストとのトレードオフの問題なのだ」と説明している。

 USB 2.0コントローラは、USB 1.1のコントローラにくらべて非常に複雑で、多数のトランジスタを必要にする。となれば、ダイに占めるUSB 2.0コントローラのサイズは非常に大きくなってしまう。実際、ICH2とICH4をくらべると、チップサイズが大きく異なっていることがわかる。実際のダイはパッケージの内部に封入されているので比べようがないが、それでもパッケージの大きさからだいたいは推測できるだろう。

 ただ、これはIntelだけの問題ではない。実は、VIA、ALi、SiSの各サードパーティのチップセットも同様の仕様になっている。CPUに比べてチップセットは、1世代ないしは2世代前のプロセスルールを利用して製造される。したがって、トランジスタ数はCPUにくらべて少なくならざるを得ない。そこで、USB 2.0のEHCIコントローラ1つで6ポートをまかなうという制限がでてきてしまっているのだ。

 なお、Intel 845G、Intel 845Eを搭載したマザーボードは、ほぼ例外なく全マザーボードベンダのブースに展示されていた。このあたりからも、各マザーボードベンダがIntel 845G、Intel 845Eにかける意気込みが伝わってくるというものだろう。


●SiS645DXを搭載したマザーボードが多数デビュー

SiS 645DX

 SiS(Silicon Integrated Systems)は、CeBITの直前に同社のPentium 4用チップセットSiS645の後継となるSiS645DXをリリースした。SiS645DXは、ノースブリッジを533MHzシステムバス対応とし、サウスブリッジがSiS961からSiS961Bに変更されたリビジョンアップチップだ。ただ、変更点はSiS961BがUltra ATA/133をサポートするようになったというだけで、特に大きな違いはないと考えていいだろう。

 これを受けて各マザーボードベンダはSiS645DXを搭載したマザーボードを公開した。ただし、もともと差が小さいこともあり、各社ともSiS645マザーボードのリビジョンアップ版として紹介していた。



●SiSはDDR400をサポートしたSiS648をデモ

 また、SiSは自社ブースで、DDR400をサポートしたSiS648のライブデモを行なっている。

 SiS648は、SiS645の後継チップセットで、メモリバスが400MHz、つまりDDR400に対応している。このため、帯域幅は3.2GB/Secとなり、システムバスのクロックが400MHzのPentium 4であれば、メモリバス側がボトルネックになり性能低下を引きおこすという事態を避けることができる。さらに、AGPバスもAGP 8Xに対応することになる。また、SiS648は、SiS962という新しいサウスブリッジを採用している。SiS962ではUSB 2.0コントローラ(やはりUSB 2.0 EHCIコントローラ×1)が統合されており、USB 2.0デバイスを利用することができる。また、IEEE 1394(3ポート)、MACなどが統合されている。

 SiSでは実際に動作するSiS648、SiS962の後継となるSiS963が公開され、ECSなどのマザーボードベンダのブースでもSiS648を搭載したマザーボードなどが公開された。

SiS648はDDR400に対応したPentium 4用チップセット。DDR400を利用したライブデモが行なわれていた。 SiS963はSiS962の後継

□CeBIT 2002のホームページ(英文)
http://www.cebit.de/homepage_e/
□VIA Technologiesのホームページ(英文)
http://www.via.com.tw/
□White Paper(英文 PDF)
http://www.via.com.tw/en/apollo/p4x333_whitepaper.PDF
□関連記事
【3月15日】VIA、DDR333対応Pentium 4用チップセット「P4X333」
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2002/0315/via.htm

(2002年3月15日)

[Reported by 笠原一輝@ユービック・コンピューティング]


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