CeBIT 2002 Hannoverレポート

VIA TechnologiesがP4X333を発表
~デュアルチャネルのP4X600も計画中

VIA Technologiesが発表したP4X333のノースブリッジ

会場:Hannover Messe
会期:3月13日~20日(現地時間)




 VIA Technologiesは、CeBITの会場において記者会見を開催し、同社のPentium 4用チップセットP4X266Aの後継となるP4X333を発表した。

 P4X333は、いわゆるDDR333(333MHz動作のDDR SDRAM)をサポートしたほか、従来は266MB/Secまでの対応であったノース-サウス間のバス(V-Link)を倍速として、帯域幅を533MB/Secに高めた。AGP 3.0で規定される予定のAGP 8Xモードにも対応した。さらに、サウスブリッジのVT8235はUSB 2.0に対応しているなどの特徴を備えている。


●533MHzバス、DDR333、AGP 8Xなど大幅なアーキテクチャの変動となる「P4X333」

 今回発表されたP4X333は、P4X266Aにくらべて大きな機能アップが図られている。「333」の由来になっているのは、メインメモリとしてDDR333に対応していることだ。これにより、メインメモリの帯域幅は従来のDDR266時の2.1GB/Secにくらべ、2.7GB/Secに向上した。と、これだけ見ると、Athlon向けのKT266Aが、KT333になった時と同じような僅かなバージョンアップかと思われるかもしれないが、P4X333はメモリ以外にも、システムバス、AGPのすべてがバージョンアップしている。

 システムバスは533MHzにも対応し、帯域幅は4.2GB/Secに引きあげられた。Intelは5月に、システムバスのクロックが533MHzに対応したPentium 4 2.40B GHzと2.26GHzを出荷するものと見られている。この533MHzはこの新しいPentium 4への対応となる。


●まだフィックスしていないAGP 3.0のAGP 8Xモードに対応したP4X333

 さらに、AGPポートの速度が引きあげられている。従来のP4X266では、AGP Specification 2.0に準拠したAGP 4Xモードまでをサポートしているが、P4X333ではAGP Specification 3.0に準拠したAGP 8Xモードをサポートしているという。このため、帯域幅は2.1GB/Secと、従来のAGP 4Xにくらべて倍となっている。しかし、現時点ではAGP Specification 3.0は、まだフィックスした規格ではない。AGP 3.0は現在策定が進められている段階で、完全にフィックスした規格は、今年の後半になる見られている。

VIA Technologiesプロダクトマーケティングシニアディレクターのシー・ウェイ・リン氏

 このため、P4X333のAGP 8Xスロットは、AGP Specification 3.0のバージョン0.9という最終規格前のバージョンに基づいて作られている。このことは同社がOEMメーカーに対して配布しているデザインガイドでも触れられており、今後若干の変更が入る可能性があるのは事実だ。また、当然のことながら、AGP 8Xをサポートしたビデオチップは今の所皆無であり、実際にOEMメーカーもAGP 8Xモードが動作するかチェックできない状況だ。

 この点に関して、VIAのシー・ウェイ・リン氏(プロダクトマーケティングシニアディレクター)は「確かに現時点ではAGP 8Xのビデオチップは存在しないが、市場に登場し次第バリデーションを行なっていきたい」と、現時点ではバリデーションすらできない状況であることを認めている。そうしたことから、実際にAGP 8Xに対応したビデオチップが登場した段階でハードウェア的な問題が発生しないという保障はないわけで、ハードウェア的にはサポートしているが、実際には未知数ぐらいに考えておいた方がいいだろう。


●倍速のV-Linkをサポートし、帯域幅は533MHzへ

 P4X333では、ノースブリッジとサウスブリッジを接続するVIA独自のバス“V-Link”の仕様も変更されている。これまでのV-Linkは8bit幅266MHzで、ピーク時帯域幅は266MB/Sec(266M×8bit)となっている。これに対して、P4X333ではV-Linkのクロックが533MHzに引きあげられ、ピーク時帯域幅は533MB/Sec(533M×8bit)と上がっているのだ。

 この533MHzのV-Linkに対応するサウスブリッジが、今回P4X333と同時に発表されたVT8235だ。VT8235は533MHzのV-Linkに対応し、USB 2.0コントローラを内蔵している。USBコントローラの構成は、IntelのICH4と同じように、USB 2.0 EHCIコントローラ×1、USB 1.1 UHCIコントローラ×3となっており、合計で6ポートをサポートする。これ以外の仕様、IDEインターフェイス(Ultra ATA/133)、PCIバス、AC'97、MACコントローラ内蔵という点はVT8233Aと同等だ。したがって、USB 2.0対応版だと考えていいだろう。

サウスブリッジのVT8233A、こちらは266MHzのV-Linkに対応 P4X333+VT8233Aを搭載したVIAのVPSDマザーボード

 ただし、実際にはVT8235が出荷されるのはまだ先となっている。というのも、現時点でもOEMメーカーはVT8235のエンジニアリングサンプルを受けとっていないからだ。「現時点では研究所でバリデーションなどを行なっている段階で、今月の終わりにはエンジニアリングサンプルを提供できるだろう」(リン氏)とのことで、VT8235を搭載したマザーボードが出荷されるのは、まだまだ先になりそうだ。

 このため、最初の世代のP4X333は、現行のサウスブリッジであるVT8233Aと組みあわせて出荷されることになりそうだ。VT8233Aは、266MHzのV-Linkにしか対応していないが、P4X333と組みあわせて利用することができる。それはP4X333が533MHzだけでなく、266MHzのV-Linkにも対応しているためだ(単にクロックが低いだけなので当たり前だが)。実際、現時点でOEMメーカーに配られているデザインガイドはこのVT8233を前提にしたもので、各OEMメーカー、そしてVIA自身のVPSDプログラムのP4X333搭載マザーボードはいずれもVT8233Aを搭載している。


●デュアルチャネルのP4X600を計画中

 リン氏はP4X333の今後のリビジョンについて触れ、「将来のリビジョンではDDR400に対応する」と、VIAとしてもDDR400へとり組んでいくことを強調した。実際に、P4X333をDDR400を利用して400MHzで動作させるデモも公開した。

DDR400を利用してメモリを400MHzで動作させたP4X333(P4X400?)のデモ

 なお、質疑応答ではVIAのデュアルチャネルDDR SDRAMに関する取り組みに対しての質問がでたが、これに対してリン氏は「第2四半期にP4X600というデュアルチャネルのDDR SDRAMチップセットを計画している」と述べ、初めて公式にP4X600というデュアルチャネルDDR SDRAMチップセットの計画を明らかにした。Intelは第4四半期にGranite Bayのコードネームで知られるデュアルチャネルDDR SDRAMチップセットを、Pentium 4向けに投入するが、P4X600はその対抗版となる。

 さらに、サウスブリッジについても言及し「将来的にはVT8235の次世代では、シリアルATAやIEEE 802.11bの無線LANなどを統合していきたい」と述べた。ただし、現時点ではベースバンドまでの統合は考えていないようで、あくまでMACの統合を行ない、ベースバンドなどに関しては将来の課題と述べるに留まった。

 なお、同時にμFCPGAパッケージを採用し、モバイルPentium III-Mとピン互換のモバイルC3プロセッサも発表された。クロックは当初は900MHzからスタートするが、第2四半期には1GHzに到達するという。トランジスタのサイズは0.13μmで、低消費電力なのが大きな特徴となっている。

□CeBIT 2002のホームページ(英文)
http://www.cebit.de/homepage_e/
□VIA Technologiesのホームページ(英文)
http://www.via.com.tw/
□White Paper(英文 PDF)
http://www.via.com.tw/en/apollo/p4x333_whitepaper.PDF
□関連記事
【3月15日】VIA、DDR333対応Pentium 4用チップセット「P4X333」
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2002/0315/via.htm

(2002年3月15日)

[Reported by 笠原一輝@ユービック・コンピューティング]


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