キヤノンブース |
会場:Hannover Messe
会期:3月13日~20日(現地時間)
欧州最大の総合情報機器イベント「CeBIT」が、ドイツのハノーバーで13日から20日まで開催される。
もともとは事務機系のイベントだったという「CeBIT」も、いまやその中心は明らかに情報家電やパソコン、携帯電話などに移行。それに伴って、今年のCeBITでは、ブース配置を大幅に変更し、PCや情報機器関係のブースを、メイン会場となるホール1周辺に移動するなど、新たな時代に対応した展開を図っている。
さて、デジタルカメラの世界でいえば、先々週、米国最大のカメラ系イベントである「PMA」が開催されたばかりで、通常はあまり目立った新製品がCeBITで登場するケースは少ない。
だが、いまやドイツを中心とした欧州でも、デジタルカメラに関する関心が高まっている。需要も年々高まっており、米国、日本に次ぐ、次なる巨大市場として注目を集めている。さらに、今年はフォトキナ(世界最大の写真機材ショー)の年なのだが、秋の開催までにはまだまだ時間があるため、今回のCeBITでは、PMAで発表されなかった大物の新製品が出そろった。
そこで今回は、CeBITで発表されたデジタルカメラのなかでも、特に今後注目されそうな、キヤノンとミノルタの新製品をレポート第1弾として紹介しよう。
●キヤノン、人気のIXYシリーズを一新!
欧州でも高い人気とシェアを持っているキヤノン。PMAでも5機種ものデジタルカメラを発表したが、今回のCeBITでは、欧州でも人気の高い「IXY DIGITAL」シリーズ(現地名:IXUS DIGITAL)の次世代モデル2機種を一挙に発表。ラインナップのさらなる充実を図っていた。
今回発表されたモデルは、200万画素2倍ズーム機の「IXUS DIGITAL v2」と、200万画素3倍ズーム機である「IXUS DIGITAL 330」の2機種だ。この両モデルは、同時に米国でも発表されており、ネーミングは「PowerShot 200」、「PowerShot 300」となっている。
日本ではまだアナウンスがないが、順当に考えれば「IXY DIGITAL 200/300」の後継機といえる。
IXUS DIGITAL 330 |
IXUS DIGITAL v2 |
最大の改良点は、機能と操作性の充実。まず、IXY系の場合、現行の200と300ではデザインや操作性が大きく異なっていたが、今回からは両モデルでデザイン/操作性ともに共通化。細かな仕様を除けば、ズーム倍率とボディーサイズくらいしか違いがないモデルに仕上がっている。
デザインは、円を基調とした現行IXYの流れを汲むもの。サイズは、それぞれの現行機より若干薄型になっている(「v2」が87×57×26.7mm/180g。「330」は94.8×62.5×31.5mm/245g)が、イメージが変わるほど薄くなっているわけではない。だが、デザインの関係か、実機を見ると3倍ズーム機の「330」が意外に小さく感じられたのが印象的だった。
外観上でもっとも大きく変わったのは、フロントではなく背面側といえる。
まず、操作部に多くの機種が採用しているような十字ボタンを採用。このボタンには、それぞれストロボモードやマクロ/遠景切り替え、測光エリア切り替え、セルフタイマーなど使用頻度の高い機能が割り当てられたため、撮影時の操作性が向上した。さらに、再生時の画面スクロールやメニュー設定も従来より使いやすくなっている。
基本スペックとしては、CCDにいずれも1/2.7型200万画素の原色系タイプを採用。レンズは「v2」が5.8~10.8mm F2.8-4.0、35mmカメラ換算で35~70mm相当。「330」は5.4~16.2mm F2.7-4.7、35mm換算で35~105mm相当になっている。
新機能としては、ISO感度のマニュアル設定機能が追加されている。これは従来機ではオート(自動感度設定)のみだったものを、マニュアルでISO50/100/200/400に設定できるようにしたもの。
価格は、それぞれ549ユーロと649ユーロ(3月15日現在 1ユーロ=約114円)となっており、現行機との価格差はほとんどないようだ。もちろん、日本国内での展開も予定されているが、時期や価格などについては未定という。
●ミノルタ、「DiMAGE 7」の改良機と横長400万画素ズーム機を発表
ミノルタは今回、横長スタイルの400万画素3倍ズーム機「DiMAGE F100」と、昨年発売された500万画素7倍ズーム機「DiMAGE 7」の改良機である「DiMAGE 7i」を発表。ラインナップの充実を図った。
「DiMAGE F100」は、横長スタイルのコンパクトな400万画素級モデル。ソニーの「P1」が市場を開拓したといえるこのクラスだが、これまでミノルタのラインナップになかったクラスだ。
DiMAGE F100 |
サイズは111.0×52.3×32.0mm、重さ185gと、極端に小さいわけではないが、気軽に常時携帯できるサイズに仕上がっている。
CCDは1/1.8型の補色系400万画素タイプを搭載しており、レンズもポピュラーな光学3倍ズーム(7.8~23.4mm F2.8~4.7。35mmカメラ換算で38~114mm相当)を搭載している。
DiMAGE F100 |
「DiMAGE F100」の大きな特徴は、AF一眼レフの元祖であるミノルタらしく、世界初の自動追尾機能を搭載した5点測距エリアAFを搭載している点だろう。「F100」は、このクラスでも珍しい高機能な5点測距式(十字配列)のマルチAF機能を備えているが、自動追尾機能は、このマルチAF機能を生かしながら、デジタルカメラが比較的苦手な、動きのあるシーンをAFで撮影できるように考えられた機能といえる。
インディゴブルーとシルバーの2色が用意される |
この機能は、まず最初に、5点のうち1つの測距点でAF測距をしたあと、その被写体が移動して、他の測距点のエリアに移動しても、それを追い続けてAF測距する。そのため、通常の撮影では、AFロック機能を必要とするケースを減らすことができる。特に動きのある被写体を撮影するときに威力を発揮しそうな機能といえる。
また、最近搭載するモデルが増えた被写体別モードにも、新機能が搭載されている。カメラ側で撮影しているシーン(被写体)を推測し、それに見合ったシーンモードを自動セットするというもので、実際にどのような条件を使ってシーンを判別しているかは不明だ。
なお、カラーリングは2種あり、イメージカラーとなる「インディゴブルー」と、通常のシルバーが用意されるという。
実機に触れた感じはなかなか良好。若干角張った印象もあるが、ホールド感は悪くなかった。また、起動がかなり早く、撮影間隔も短いため、使用感もなかなか軽快だ。
価格は、800~900ユーロ。欧州では5月の発売を予定している。本機の日本国内での展開は、現在のところ未定という。
DiMAGE 7i |
「DiMAGE 7i」は、従来の7をベースに各種性能を向上させたモデルといえる。
基本的な仕様という意味では、大きな変化はなく、「DiMAGE 7」のものをほぼ踏襲しているわけだが、従来機で欠点といわれた部分については、かなり大幅な改良がなされている。
最大の改良点は、先代機で不満の声が多かったAF測距速度の向上で、従来比2倍の高速化を実現している。実際にブースで試してみたが、従来機に比べ、明らかに高速になっており、35mmAF一眼レフに近い感覚で扱えるレベルに仕上がっていた。
また、連写速度も秒間2コマで連続4コマまで可能。高速シャッターも1/4,000秒まで。さらに、エフェクト機能が追加されたり、マクロ撮影が従来のテレ端のみから、ワイド端でも撮影できるようになるなど、細部にわたる改良がなされている。
外装は一見あまり変わっているように見えないが、レンズのズームリングや本体グリップ部分の質感を向上させることで、価格に見合った高級感のあるモデルにしたという。
現地での価格は1,300~1,400ユーロを想定しており、欧州では5月の発売を予定しているという。また、日本国内での展開については、現時点で未定ということだった。
DiMAGE 7i | DiMAGE 7i(左)とDiMAGE 7(右)の比較 |
□CeBIT 2002のホームページ(英文)
http://www.cebit.de/homepage_e/
(2002年3月14日)
[Reported by 山田久美夫]