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Intel、2月にサーバーCPUとHyper-Threadingで攻勢


●Hyper-Threadingはサーバーだけの特権

 Intelはサーバー向けXeonで、マルチスレッディング技術「Hyper-Threading」を大々的にデビューさせようとしているらしい。業界関係者によると、そのタイミングは2月末に開催されるIntelの開発者向けカンファレンス「Intel Developer Forum(IDF)」前後になるらしい。サーバーCPUを少し整理してみよう。

 Intelは、IDF前後に、2種類のXeonを投入する。ひとつは、0.13μm世代でPentium 4(Northwood:ノースウッド)とキャッシュ構成が同じ「Prestonia(プレストニア)」で、デュアルプロセッサ用。これは、実際には、すでに発表済みのワークステーション用Prestoniaと同じものだ。もうひとつは0.18μm世代で512KBまたは1MBのL3キャッシュを搭載する「Foster MP(フォスタMP)」で、マルチプロセッサ用だ。

 つまり、同じXeonと言いながらも、プロセス技術が1世代異なるCPUが一緒に登場することになる。ただし、どちらもHyper-Threadingテクノロジをサポートする。正確には、Pentium 4系CPUコアにインプリメントされているHyper-Threadingをイネーブル(使用可能)にした状態でCPUが出荷され、システム側でもHyper-Threadingをイネーブルにする。こんなまだるっこしい言い方をするのは、Hyper-Threadingがインプリメントされていると思われるPentium 4系コアではCPUでHyper-Threadingが殺されており、また、Prestoniaもワークステーションに載せる時はBIOSでHyper-Threadingをディセーブル(使用不可)にするようにとIntelが推奨しているからだ。つまり、Foster MPとサーバーに載せたPrestoniaで、初めて公式にHyper-Threadingが使えるようになる。

Workstation CPUコアの移行推測図
(クリックすると別ウィンドウで拡大します)

●異なるプロセス世代が混在

 Foster MPは、もともとの計画では2001年に登場することになっていたという。それがずれ込んだ結果、0.13世代のPrestoniaと同時のデビューとなってしまった。そのため、Foster MPの利便性はやや落ちている。

 まず、2つのXeonは、クロックスピードが異なる。Prestoniaは、Northwoodと同じ2.2GHzで登場、今後もほぼ同じペースでクロックを向上させる。つまり、第2四半期には2.4GHzが登場する。ただし、533MHz FSB(フロントサイドバス)への移行は、Northwoodよりやや遅くなる。Northwoodでは第2四半期に533MHz FSBが導入されるが、Prestoniaの533MHz FSB対応は今年後半にずれ込むらしい。これは、533MHz FSB対応のチップセットの登場が、デスクトップより遅いからだ。そうした要素がある部分を除けば、クロックはほぼデスクトップと同等になると思われる。

 それに対して、Foster MPは1.4/1.5/1.6GHzのレンジで登場、2GHzになるのは第4四半期の「0.13μm版Xeon MP(Gallatin:ギャラティン)」待ちとなる。また、キャッシュも、Prestoniaがすでに512KBのL2キャッシュを積んでしまっているので、512KB/1MBのL3キャッシュも魅力は半減する。Foster MPは1.6GHz版だけが1MB L3キャッシュで、1.4/1.5GHz版は512KB L3キャッシュ。つまり、低クロック版は、キャッシュ容量のベネフィットはない。ちなみに、GallatinになるとL3キャッシュは1MB/2MBに倍増する。

 もっとも、これまでIntelが4Way以上のマルチプロセッサ市場に提供していたのは、Pentium III Xeon 900MHzなので、Foster MPでもクロックは大きく伸びる。しかも、Hyper-Threadingがイネーブルにされるため、4CPUシステムならバーチャルに8CPUとなる。もちろん、本当に8つの物理CPUを積んだシステムの性能が出るわけではないが、それでもプラスアルファで性能が伸びる魅力はある。

Server CPUコアの移行推測図
(クリックすると別ウィンドウで拡大します)

●チップセットは全面DDRへ

 Intelは、Foster MP/Gallatinにはチップセットを開発しなかった。その代わり、ServerWorksのGC-HEを推奨プラットフォームとする。GC-HEは、DDR200メモリの4チャネル構成で、メモリ帯域は6.4GB/sec、メモリ容量は32GB(拡張すれば64GB)までサポートする。メモリは、ノースブリッジである「CMIC HE」に接続された、メモリリピータチップ「REMC」にぶら下がる。

 一方、Prestoniaサーバーに対しては、Intel E7500(Plumas:プルーマス)チップセットを開発した。PlumasはデュアルDDRインターフェイス(ダイレクト接続)で、3.2GB/secのメモリ帯域(FSB帯域とマッチ)、最大8DIMM、16GBのメモリ容量をサポートする。また、IntelはPlumasからHubインターフェイスの2.0、つまり広帯域版も導入するらしい。ちなみに、ICHは、現行のICH2でも今年第2四半期に登場するICH4でもなく、モバイルに使われているICH3のサーバー版「ICH3s」が組み合わせられるという。

 また、ServerWorksもPrestonia向けに「GC-LE」チップセットを提供するが、Plumasが同時期に立ち上がってしまうため、ボードベンダーの方の意欲は後退している。ちなみに、以前はメモリをシングルチャネルにしたローコストプラットフォーム用「Plumas LE」も計画していたが、これはどうやら消えたようだ。

 Plumasは、最初は400MHz FSBで登場するが、今年後半に533MHz FSBに対応した「Plumas 533」が登場する。ボードベンダーによると、すでにPlumas 533向けのデザインガイドが出ているという。Plumas 533では、DDR266もサポートする。

 Intelは、Prestoniaワークステーション向けには、現行のIntel 860の後に「Placer(プレイサ)」を今年後半に用意している。PlacerはDDR200/266対応なので、これでIntelのワークステーションプラットフォームもDDRに移行することになる。FSBは533MHzにも対応。最大6DIMM、最大8GBをサポートする。PlacerとPlumasのスペック上の最大の違いは、AGP 8xインターフェイスで、ワークステーション用のPlacerがAGP 8xを持つ。また、Plumasが512Mbit DRAMまでのサポートなのに対して、Placerは1Gbitをサポートするなどの違いもある。


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(2002年1月22日)

[Reported by 後藤 弘茂]


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