"30年目"のdynabookプレミアムモデルに匹敵する魅力を備える
スタンダードノート
「コンピュータは、鉛筆と紙や本のように誰でも使えるものでなければならない」という、アラン・ケイが提唱した理想のPCの姿”DynaBook”を目指して命名された、東芝のPC「dynabook」シリーズ。東芝がPC事業を開始して、今年(2015年)で30年を迎えたことを受け、2015年のdynabookシリーズは、「コンピュータは、電話やネットワークと結びついて、消費者向け製品のかたちとなり、あらゆる人が手に入れられるようにならなければならない」という、初代dynabookの開発コンセプト”ダイナミックブックビジョン”を継承し、快適な使い勝手を重視した、ユーザー目線の進化を遂げている。
そんな2015年のdynabookシリーズの中から、スタンダードノートとして位置付けられている「dynabook T」シリーズの2015年夏モデル4モデルのうち「dynabook T75」を取り上げ、その魅力を紹介していこう。
薄く軽く、スタイリッシュなボディデザイン
一般的に、スタンダードノートでは、薄さや軽さが追求されることはあまりなかった。それはスタンダードノートは、そのサイズや質量からデスクトップPCの代替として使われることが多く、机の上など決まった場所に置かれてほとんど持ち歩くことがないと想定されているからだろう。
しかし、画面が大きく、キーボードを含めた操作部分の設計にゆとりがあって操作しやすい、さらにギリギリまでサイズを削り込んだモバイルノートよりも拡張性が高いスタンダードノートを、家の中のいろいろな場所で使いたいという願望はある。持ち歩くのはタブレットで代用している人も、スタンダードノートが薄くて軽くなれば、それ一台ですむのにと思っていることだろう。
dynabook T75では、スタンダードノートながら薄型・軽量ボディを追求。本体サイズは約380×259.9×23.5mm(幅×奥行き×高さ)と、このクラスのノートPCとしてはなかなかの薄さを実現している。これなら机の薄い引き出しにも問題なく収納できるだろう。フットプリントのサイズは、15.6型ワイド液晶搭載ノートPCとしてほぼ標準的だが、この薄さだからか、大型ノートPCのような見た目の重厚感は、ほとんど感じられない。
このサイズなら、食卓だろうがリビングのソファだろうが、寝室のベッドだろうが、家の中どこでもこれ一台で済むので、とてもありがたいと思う。
重量は約2.3kgと、3kgを大きく下回っている。15.6型ワイド液晶を搭載し、光学式ドライブも内蔵していることを考えると、この軽さはかなり満足できる。実際に手に持っても、ずっしりとした重さは伝わってこず、家庭内での持ち運びも軽快に行えそうだ。
本体デザインは、フラットかつシンプルで飽きが来ない。また、一般的なノートPCでは、キーボード部分がやや凹んだデザインとなっているものが多い中、dynabook T75では段差のないフラットなデザインを採用。キーボード面の一体感が高まるとともに、液晶を開いた状態でもすっきりとして、シャープな印象が伝わってくる。
ボディカラーは、リュクスホワイト、プレシャスブラック、モデナレッド、サテンゴールドの4色を用意。今回の試用機はモデナレッドだったが、光沢感が強く、ヘアライン状の模様がさりげなく施されていることもあって、高級感も感じられる。家庭で利用するノートPCのデザイン性は重要なポイントであると考えれば、dynabook T75は魅力的な製品と言える。
15.6型フルHD IPS液晶を採用
液晶パネルは、解像度1,920×1,080ドットのフルHD 15.6型液晶を採用している。視野角が広く、高輝度のIPS液晶を採用していることもあって、表示品質に優れており、同等クラスのスタンダードノートと比べても頭一つ抜け出していると感じる。発色の鮮やかさやコントラストの高さから、フルHD動画やデジタルカメラで撮影した写真なども本来のクオリティを損なうことなく表示できるのもうれしい部分で、広視野角な点も合わせて、家族で写真や動画を楽しむ場合でも非常に快適だ。
また、これまで解像度1,366×768ドット(HD)液晶を搭載していたdynabook Tシリーズ中位モデルの「T55」にも、2015年夏モデルよりフルHD IPS液晶が搭載されるようになった。フルHD液晶搭載モデルが拡充された点も、ユーザーにとって見逃せない進化点だ。
ストローク約1.5mmの打鍵感に優れるキーボード
キーボードやポインティングデバイスは、PCの利便性を決定づける重要なデバイスだ。dynabook T75では、扱いやすさを高めるためにそれらも進化している。
キーボードは、主要キーのピッチが約19mmとフルサイズを確保。また、よく利用するEnterキーを大型化するなどによって、使い勝手が高められている。そしてもうひとつの特徴となるのが、ストロークの深さと快適な打鍵感を実現している点だ。薄型ノートPCではキーボードのストロークが犠牲になっていることが多いが、dynabook T75では約1.5mmと十分な深さを確保。また、比較的軽めのキータッチを実現することで、軽快なキー入力を可能としている。キータッチは利用者によって好みの分かれるところではあるが、dynabook T75のキーは、軽い中にもしっかりとしたクリック感で非常に気持ちのいいタイピングが行えると感じる。標準でテンキーが用意され、数字入力が楽に行える点も、利便性の高さという点で大きな魅力となるはずだ。
ポインティングデバイスは、クリックボタン一体型のクリックパッドをキーボード手前に搭載する。実測で約106×66mm(幅×奥行き)とパッドの面積は十分に広く、Windows 8.1のジェスチャー操作にも対応しているため扱いやすさは申し分ない。また、手のひらなど、指先ではない部分が触れている状態を検知し、誤動作を防止する機能も搭載しているため、かなり軽快な利用が可能だ。加えて、ワイヤレスマウスが同梱されているので、通常はクリックパッドを利用し、パッドでの操作では難しい細かなカーソル操作を行いたい場合にはマウスを利用するというように使い分けられる点もうれしい。
ハイレゾ音源の再生や録画番組の再生などマルチメディア機能も充実
音楽や映像など、マルチメディア関連機能の強化も、2015年夏モデルdynabook T75の魅力だ。
まず音楽については、プリインストールされているメディアプレーヤー「TOSHIBA Media Player by sMedio TrueLink+」が、音楽CDを超える高音質を実現するハイレゾ音源の再生に対応。ハイレゾ音源対応のヘッドホンやスピーカーを用意することで、音楽CDにはない臨場感あふれる超高音質サウンドが楽しめる。しかも、オンキヨー&パイオニアイノベーションズ株式会社が運営するハイレゾ音源配信サイト「e-onkyo music」と連携し、手軽にハイレゾ音源の購入から再生まで行えるようになっている。
また、映像関連機能としては、デジタル放送をターゲットとした新しい著作権保護技術「SeeQVault™」をサポートしている点が大きな特徴だ。ノートPCとしては業界初対応となる。
SeeQVault™は、レコーダーなどに保存しているデジタル放送の録画データを、様々な機器で再生できるようにする仕組みだ。これにより、レグザサーバーなどのSeeQVault™対応レコーダーに録画した番組を、SeeQVault™対応のUSB HDDやSDメモリカードにダビングしておけば、そのUSB HDDやSDメモリカードをdynabook T75に接続して録画番組を楽しめる。
※SeeQVault™に対応したレグザサーバーまたはレグザブルーレイでフォーマットおよびダビングしたものが対象です。
オンキヨー製高音質ステレオスピーカーに加え、有名オーディオブランド「Skullcandy」のチューニングが施されたサラウンドシステム「DTS Sound」の搭載によって、サウンド再生能力にも優れており、豊富なマルチメディア機能も高いレベルで楽しめる。スタンダードノートでも、ハイエンドクラスのマルチメディア機能が備わっている点は、競合製品に対する大きな優位点となるはずだ。
スペックも優れ、幅広い用途に活用できる
dynabook T75のスペックは、スタンダードノートとして十分に優れたものとなっている。CPUはインテル® Core™ i7-5500U プロセッサーを採用しており、優れた処理能力を発揮。メインメモリを標準で8GB搭載する点と合わせ、高負荷のソフトも快適に動作する。内蔵ストレージは、1TBのHDDとBDXL™対応ブレーレイドライブを標準搭載。無線機能は、IEEE 802.11a/b/g/n/ac準拠の無線LANとBluetooth 4.0を搭載。高速無線LAN規格であるIEEE 802.11acに対応する点は、高画質の大容量メディアファイルなどをネットワーク経由で扱う場合に有利となる。その他、約92万画素のWebカメラも標準搭載する。
側面ポートは、左側面にギガビットイーサネットポートとUSB 3.0×2ポート、右側面にSDメモリカードスロットとUSB 3.0×2ポート、HDMI出力を備える。左右に2ポートずつ、合計4ポートと豊富にUSB 3.0が用意されている点は大きな特徴で、USB対応周辺機器による機能拡張も自由自在だ。
ソフトとしては、「Microsoft Office Home & Business Premium プラス Office 365 サービス」に加えて、写真のレタッチや編集、管理が行える「Adobe® Photoshop® Elements 12」も標準で用意。デジカメやスマートフォンで撮影した写真を取り込んで、美肌処理や赤目補正などの修正も簡単に行える。この他にも、写真管理アプリ「思い出フォトビューア」や、テレビやレコーダーと連携し、放送中の番組や録画番組をネットワーク経由で離れた場所から視聴できる「TVコネクトスイート※」、デジカメやビデオムービーで撮影した動画を編集できる「Corel® VideoStudio® X7 VE for TOSHIBA」など豊富に用意され、購入直後からさまざまな用途に活用できる。スペック面に余裕があるため、これらのソフトを快適に利用できる点もうれしい。
※ホームネットワーク(有線・無線LAN)に接続している必要があります。対応しているレグザサーバー、レグザブルーレイなどが必要となります。
Windows 10への対応も万全を期して将来性も不安なし
マイクロソフトは、2015年夏に次期Windows OSとなる「Windows 10」をリリースする予定。それを受け、2015年夏モデルのdynabookシリーズでは、Windows 10アップグレード対策も準備されている。まず、保存データのバックアップを行う「バックアップナビ クラウド」のWindows 10対応版を配信提供予定。また、Windows 10アップデート後にWindows 10の操作を学習できる「動画で学ぶ Windows 10」も配信予定だ。
Windows 10リリースを直前に控えているタイミングということもあるが、Windows 10へのアップグレードに対してしっかりとした対策が施されていることから、安心して購入できると言っていいだろう。
今回2015年夏モデルのdynabook T75を試してみて、普段の使いやすさだけでなく、ホビー用途を中心としてPCを使う楽しさを追求したブラッシュアップが随所に見て取れ、魅力的な進化が実現されていると感じた。現在のPCは、CPU処理能力の底上げもあって、処理能力の差は非常に小さくなっている。だからこそ、使いやすさや機能面の充実度が大きな差別化ポイントとなる。そういった意味で、dynabook T75の使いやすさ重視の設計や豊富な機能は大きな魅力であり、家庭で幅広い用途に利用するメインノートを探している人に広くお勧めしたい製品と言える。
(平澤寿康)
インテル® Core™ i7 プロセッサー搭載
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