目指したのは“究極のデジタルノート”~そのために、dynaPadではアプリも徹底的にこだわって開発

 ここ数年で、タブレットとしてもクラムシェルノートPCとしても活用できる2-in-1 PCは、Windows PCの1ジャンルとして確固たる地位を確立している。そんな中、東芝から登場した、最新2-in-1 PC「dynaPad N72」は、圧倒的な薄型軽量ボディや、なめらかな書き味を実現したアクティブ静電結合方式ペン、本格的なキーボードが付属しクラムシェルPCとしても快適に利用できる点など、様々な特徴から大いに注目を集めている。

 そして、dynaPadの中で群を抜いて特徴的な部分となっているのが、ビジネスや学習におけるさまざまなシーンで活躍しそうな東芝独自開発アプリをプリインストールしている点だ。手書きノートアプリ「TruNote」、カメラアプリ「TruCapture」、ボイスレコーダーアプリ「TruRecorder」など、様々なオリジナルアプリが用意されている。すでに似たような機能を備える他社製アプリが数多く存在している中で、あえて独自アプリを開発したのはなぜなのか。そして、dynaPadは何を目指して開発されたのか。開発陣へのインタビューから、その真相に迫ってみたい。

2-in-1 PC「dynaPad N72」
世界最薄・約6.9mmは、紙のノートの薄さだ

ビジネスシーンの“考える”プロセスをサポートするために開発

 TruNoteをはじめとする東芝のオリジナルアプリは、もともとはAndroidのペンタブレット用に開発され、その後dynaPadの前身となる「dynabook Tab」シリーズ向けへと進化を遂げたWindows対応のアプリ群だ。

 dynabook Tabは、ビジネスシーンでの利用をメインターゲットに、“書く”ことを突き詰めながら、本当に使えるビジネスツールとして開発されたWindowsタブレットだ。

 その目標を実現するために、ワコムとの協業にて新方式「アクティブ静電結合方式」を採用し、実際のペン入力に限りなく近い、なめらかな書き心地を目指しただけでなく、手書きノートアプリの「TruNote」、写真撮影アプリの「TruCapture」、録音アプリの「TruRecorder」と、3種類のTruアプリ群が開発された。オリジナルアプリ群としてこの3種類が選ばれたのは、自然なユーザーの感覚に近い入力であるとともに、ビジネスの現場で良く使われる入力だからだという。

 これら既存のタブレットやオリジナルアプリ群をベースとして、dynaPadの開発はスタートしたそうだが、その時に、オリジナルアプリ群についても、もう一度用途や利用シーンを再定義したという。

「今回のdynaPadの開発では、よりビジネスにシームレスに使ってもらえるのは何だろう、ビジネス現場で足りないものは何だろう、ということをずっと考えていました。そういった中で、ビジネスの会議や打ち合わせの場では、“考える”というプロセスがある、というところにたどり着きました。ビジネスの中で考えたり、自分の考えを整理する、ということをサポートするのに、我々のアプリがハードウェアと結びついて使えないか、と考えたのです」。こう語るのは、東芝 パーソナル&クライアントソリューション社 ビジネスソリューション事業部 設計第七部 第一担当グループ長の小川岳弘氏だ。

 そこでまず、ビジネスシーンでの“考える”というプロセスを分解したという。ビジネスでは、何かを考えるときには、ウェブをサーチしたり様々なメモを取るなどして情報を集め、そうやって集めた様々な情報を自分なりに整理してまとめ、それを他に人に伝える、というプロセスを経る。

 そして、その一連のプロセスが繰り返されている、というところに行き着いた。これが、dynaPad搭載のTurアプリ群の開発の原点だ。そのうえで、そのプロセスをシームレスに繋げられるようにと開発されたのが、6種類のオリジナルアプリ群なのだ。

ソフト設計担当の小川氏

なぜアプリの自社開発にこだわったのか

 ここでひとつ疑問に思うのは、これらアプリで実現される機能の多くが、すでに他のアプリでもある程度は実現されているという点だ。わざわざ手間やコストをかけてまで自社アプリを開発する意味はどこまであるのか。実はここには、非常に深い東芝開発陣のこだわりがあった。

「確かに、他社製でも様々なアプリが存在しています。例えばノートアプリとしても、素晴らしいアプリがいくつもあります。しかし、それらの多くは、ペンでの手書きに最適化されておらず、機能としては不十分だと考えました。そこで我々は、改めて“手書き”という立場に立ち返って、本当に紙ノートのように使える、手書き入力に特化したノートアプリを我々が準備するのがベストと考え、TruNoteを開発しました」(小川氏)。

手書き入力に特化したノートアプリを準備すべく開発

 録音アプリのTruRecorderは、単純に音声を録音するだけでなく、会議で録音し、後で使うという観点から、録音結果をビジュアライズして見せることが肝心だと気付き、それを実現。写真撮影アプリのTruCaptureは、紙資料を取り込んだり、テレビ画面やホワイトボードの情報を取り込むという、ビジネスシーンで行われる撮影に特化し、機能を絞り込んでいるという。

 このオリジナルアプリ群の開発の考え方は、実際には2年前に登場したペン入力対応のAndroidタブレット「REGZA Tablet AT703」からスタートしたという。その当時も、単なるAndroidタブレットではなく、全く新しいコンセプトの端末を作ろうということで、手書きにフィーチャーしたハードウェアとアプリを用意したのが始まりだった。

 事実REGZA Tablet AT703には、初代のTruNoteアプリが搭載されていた。そしてその当時から、ビジネスシーンで必要となる要素をシームレスに繋いでいく、という考え方で開発が行われていたという。また、これらオリジナルアプリ群を実際に業務で使いながら、ブラッシュアップをかけていったという。

「実は、当時(オリジナルアプリ群の)いちばんのヘビーユーザーは、東芝社内の人間でした」。こう語るのは、東芝 パーソナル&クライアントソリューション社 パーソナルソリューション事業部 PS第三部 商品企画担当参事の寺内亨氏だ。

 それも、管理職がヘビーに使い、また、辛口のリクエストが多く届いたという。オリジナルアプリ群で中心的な存在であるTruNoteは、dynaPadで3代目に進化しているが、そこには、一般ユーザーのフィードバックはもちろん、そういった社内ユーザーの声も多く反映されているという。

商品企画担当の寺内氏

オリジナルアプリ群でデータをシームレスに活用できる

 従来モデルのdynabook Tabシリーズには、TruNote、TruRecorder、TruCaptureと3種類のアプリが搭載されていたが、利用者からは「Truという同じ名前のアプリだが、実際はバラバラじゃないの?」という声があったという。

 例えば、TruRecorderは、開発時間の制約などもあって、マルチデバイスでデータを活用する手段も用意されていなかった。そういった声を受け、dynaPadに搭載されるオリジナルアプリ群では、アプリ間のデータ連携と、マルチプラットフォーム、マルチデバイスへの対応という部分が大きく強化されている。

 まず、中心として位置付けられるアプリがTruNoteで、TruRecorderやTruCapture、TruNote Clipといったアプリで収集・作成した情報は、全てTruNote上で閲覧・整理など一元的に管理できるようになっていて、TruCaptureの写真データやTruRecorderの音声データは、TruNote内では1つのページとして扱われる。

 また、TruCaptureで撮影した画像については、画像内の活字もTruNote内での文字検索でヒットするように、データをOCRにかけて内容を自動的に精査するなどの工夫がなされているほか、TruRecorderの録音情報は、タイトル情報や発言者の氏名などで管理や検索が行える。

「例えば、ある会議でTruRecorderで録音したデータと、その会議でTruCaptureで撮影した画像、TruNoteで取った手書きのメモは、時系列に並んで同じ場所に表示されます。それぞれ異なるアプリで作られたデータであっても、同一の会議時の情報だというのが一目でわかります。これが、全てのデータをTruNoteの取り込んで管理できる利点です」とは小川氏の言葉だが、これこそ、異なるアプリを使っていては実現できない部分であり、最大の魅力と言っていいだろう。

 さらに、マルチプラットフォーム、マルチデバイスへの対応として、TruNoteで管理するデータを、マイクロソフトのクラウドサービス「OneDrive」に同期できるようになった。これによって、dynaPadだけでなくdynabookなどのノートPCとの間でデータを同期できるようになり、利便性が高められた。

 それに加えて、iPhoneなどのiOSデバイスから、OneDrive上のTruNoteデータを閲覧できるように、iOS用アプリ「TruNote Viewer」も用意。しかも、OneDrive上のTruNoteデータを閲覧できるだけでなく、iOSデバイスで撮影された写真や録音した音声データをOneDrive経由でTruNoteに転送し、活用できるようにもなっている。

 こういった進化によって、オリジナルアプリ群の利便性が大きく向上し、他には真似のできないビジネスツールとしての魅力が高められているわけだ。

音声分析で話者を識別できるTruRecorderは究極のボイスレコーダーアプリ

 dynaPad搭載のオリジナルアプリ群が、従来から様々な点で進化しているのは、ここまで紹介してきたとおりだが、中でも特徴的な進化を遂げているのが、録音アプリのTruRecorderだ。

 従来も、話者を識別し、その結果を可視化するというユニークなボイスレコーダー録音アプリという印象はあったが、dynaPad搭載の2代目TruRecorderには、録音音声を分析し過去に録音した話者と同一人物であるかどうかを自動的に判定し、画面表示に反映するという、これまでの録音アプリにはない機能が実現された。

 もともと東芝では、音声分析の研究も行われ、ノウハウも蓄積されていたという。ただ、それをどのように活用するか、という点にはかなり苦労したという。そしてたどり着いたのが、音声解析の結果をビジュアライズ化して“見せる”ということだった。

「音声分析で音声を分離してくれます、というだけでは、アプリとして何も面白くないし、誰も使ってくれないと思います。しかし、その結果をビジュアライズ化して見せることによって、音声を話し手ごとに分離できるというところが一目でわかるようになります。これが大きなポイントです」(小川氏)。

 しかも、一度音声分析すると、話者の声質の特徴がデータベース化され、それ以降はそのデータベースと照らし合わせて、話者も自動的に識別してくれるようになる。会議は、同じメンバーになることが多いが、一度メンバーの声質を分析すれば、次回以降は同じ話者は自動的に識別され、データに話者の名前が割り振られる。これも、利便性を高める大きな魅力となる。

 音声分析で話者を分類する技術は、声質以外にも様々なものが活用されているそうだが、その1つが、話者の話す位置だという。dynaPadにはマイクが2個搭載され、ステレオで音声を録音できるため、180度の範囲内での話者の位置を特定するために活用しているという。

 現時点での技術では、話者の声の周波数情報などで分類するためには、最低でも10分ほど音声データが必要になるという。そこで、周波数情報による分析に加えて、話者の方向も加えることで、精度を高めているとのこと。

「ですので、TruRecorderで録音する場合には、テーブルの中央に置くのではなく、テーブル端に置いた方が、より高精度に分類できることになります。つまり、自分の目の前に置いて録音するのがベストです。TruNoteでメモを取っている場合でも、ペンのタップ音を消す処理も行っています」(寺内氏)。

 なお、音声を分析しビジュアライズ化するというというTruRecorderの特徴に関しては、様々な方面から評価されており、TruRecorderのUIは2015年のグッドデザイン賞を獲得している。そういった意味でも、オリジナルアプリ群を象徴するアプリと言っていいだろう。

TruNoteでのメモ中に、ペンのタップ音を消している

“ビジネスシーンで本当に使えるツール”としての魅力が満載

 この他にも、表示している画面の一部を切り取ってTruNoteなどに貼り付け、自由に手書きのコメントを追記できる「TruNote Clip」や、プロジェクターやディスプレイの無い場所での打ち合わせ時においても、手書きページを最大40名のメンバーで共有し、かつ同時に書き込める「TruNote Share」といったアプリも用意されており、dynaPadではオリジナルアプリ群が全5アプリに拡充された。もちろん、それら情報も全てTruNoteで一元管理できるのは言うまでもない。

 そして、これらオリジナルアプリ群をフル活用すれば、ビジネスシーンでの会議などのスタイルを一新できる可能性がある。ある会議で、参加者全員がTruNote Shareを使っていれば、そのノート上にTruNoteやTruNote Clipで集めた情報を貼り付けることで簡単に情報をシェアできるのはもちろん、それぞれがコメントを書き込むことで、会議の進行もスムーズに行える。

 また、TruNote Shareの情報は参加者全てのTruNoteに蓄積されるし、TruRecorderで会議の様子を録音しておけば、参加者の発言内容も簡単に取り出せる。こういった会議のスタイルが、dynaPadで現実のものとなるのだ。

 ひとつ不安があるとすれば、このオリジナルアプリ群がこの先どこまで使えるか、という点だろう。現時点では、dynaPadやdynabookシリーズなど、東芝製PCでのみ利用できるアプリとして提供されている点も、不安を感じる要素となるかもしれない。ただ、オリジナルアプリ群は、東芝が目指しているゴールに向かってずっと進んでいくものであるという。

 その目指すゴールとは、「考えること、想像力を使うこと=人間が本当にやるべき仕事」に便利に活用できるツールである、というもの。PCの活用によって仕事の効率が高まり生産性は向上したが、そこにはまだ手間がかかる部分も依然残されている。

 dynaPadでは、オリジナルアプリ群の進化により、その目標にまた一歩近付いているが、まだ進化の余地を残しており、新たな機能強化に向けた開発が続いているとのこと。今後も、様々な部分での進化が不可欠であり、それにはオリジナルアプリ群もなくてはならない存在であり、これからも脈々と受け継がれ進化していく位置付けとなっている。そういった意味でも、安心して使えるツールと言えるだろう。

「人間が本当にやるべき仕事」に便利に活用できるツールを追求

ハード面にも特徴が満載

 オリジナルアプリ群をベースとした、ビジネスシーンで使えるツールとしての魅力が突き詰められているdynaPad。もちろんそこには、ハードウェアの特徴があってこそ実現されている部分も多くある。例えば、12型液晶搭載Windowsタブレットとして世界最薄となる6.9mmの薄さがあるからこそ、実際の紙のノートに近い利便性を実現している。

 この薄さは、0.55mmという非常に薄いメイン基板を利用したり、極力高さの低いチップ類を採用するなど、様々な努力の結果実現されたものだ。それでも、ここまでの薄さを実現するために、内部基板やコネクタなどの実装にはかなり苦労したという。

極限まで薄くした基板

 ただ、薄いからといって堅牢性を犠牲にするわけにはいかないため、剛性と軽さを両立できるカーボン素材を採用し、樹脂と一体成型したボディとなっている。また、液晶面のガラスにはCorning社製の強化ガラス「Gorilla Glass 3」を採用し、液晶にダイレクトボンディング。これによって、優れた剛性を実現するとともに、発色の良さや、ペン先と液晶の視差を低減し、ペン入力の快適性も高められている。

カーボン素材と樹脂を一体成型したボディ

 ペンには、従来モデルのdynabook Tabシリーズと同様、ワコムと共同開発した「アクティブ静電結合方式」を採用。2,048段階の筆圧検知機能、1.0mmの細いペン先など、紙のノートに手書きするのとほとんど変わらない感覚で手書きが可能となっている。

 また、microUSB端子を2個備えるという点も、他のタブレットPCにはない特徴となっている。これは、充電しながらでもUSB機器が使えるようにするための配慮で、利用者の利便性を最優先に考えた魅力的な仕様と言える。

紙での手書きとほぼ同じ感覚で書けるペン

 そして、忘れてならないのがキーボードだ。キーボードのキーは19mmフルピッチで、中央部が0.2mm凹んだ形状となっていることで、クラムシェルのdynabookシリーズのキーボードと同等の打鍵感を実現。本体をキーボードに立てかけると、安定して固定され、膝の上でも安心して利用できる点も嬉しい部分。ペンでの手書きだけでなく、ノートPC同等の利便性もしっかり考慮されているのは、ビジネスユーザーにとって見逃せない特徴と言えるだろう。

極薄ながら打鍵感を確保したキーボード
薄さのデモのためのスケルトンモデル
ビジネスソリューション事業部 設計第一部 第一担当 佐藤努氏

“究極のデジタルノート”にまた一歩近付いた、魅力的な製品だ

 機能の拡充だけでなく、データのシームレスな活用や、マルチプラットフォーム、マルチデバイスでのデータ活用が可能になったオリジナルアプリ群を搭載するdynaPadは、手書きタブレットとしてだけでなく、本格的なノートPCとしても活用でき、“ビジネスシーンで本当に使えるツール”としての位置付けが一層強化され、“究極のデジタルノート”と呼ぶに相応しい製品に仕上がっている。ビジネスに特化し、ビジネスシーンでの使いやすさにこだわって開発されているからこその魅力であり、競合製品に対する大きな優位点となるのは間違いないだろう。

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