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M1 Mac対応「Parallels Desktop 16.5」にWindows 10を入れる方法。どのWindowsアプリが動くのか検証もしてみた

「Parallels Desktop 16.5 for Mac」でWindows 10 on ARMをインストールしたM1 Mac

 Parallesは既報のとおり4月14日(現地時間)に、M1 Macに正式対応した「Parallels Desktop 16.5 for Mac」をリリースした。価格は新規ライセンスが8,354円、アップグレードが5,204円だ。

 M1 Macで動作させられる仮想マシンは、ArmベースのOSとなるが、現在Insider Previewの「Windows 10 on ARM」がMicrosoftから提供されており、「Parallels Desktop 16.5 for Mac」にセットアップ可能だ。今回の記事では、インストールの手順と、どのようなアプリが、どのぐらいの速度で利用できるのかレビューしてみよう。

Windows 10起動までのセットアップ手順を解説

 Windows 10起動までの大まかな手順は、以下のとおり。

  1. 「Parallels Desktop 16 for Mac」のインストール
  2. 「Windows Insider Program」への参加
  3. 「Windows 10 on ARM」の入手
  4. 「Windows 10 on ARM」のインストール

 これら全ての手順を解説すると煩雑になるので、今回は要所のみを解説しよう。

 なお、M1に対応した「Parallels Desktop 16.5 for Mac」は、同社の製品ページにおいてバージョンの小数点以下が端折られているため、以降は明示する必要がない限り「16」の表記に統一する。

①Parallels Desktop 16 for Macのインストール

Paralleleの公式サイトから「Parallels Desktop 16.5 for Mac」の無償トライアル版をダウンロードする。無償トライアル版は全機能を14日間利用可能で、ライセンスを購入すれば後から製品版にアップグレードできる。改めて環境をセットアップする必要はない
ダウンロードファイル「Install Parallels Desktop.dmg」をダブルクリックした後、上記の「Parallels Desktopのインストール」をダブルクリックして、インストールを開始

②Windows Insider Programへの登録

「Parallels Desktop 16 for Mac」のインストールが終了すると、M1 Mac向けのインストールアシスタントが表示される。中央のリンク「ARM InsiderPreviewでWindows 10をダウンロードする方法」をクリックしよう
「Parallels Desktopを使用して、AppleM1チップを搭載したMacに新しいシステムをインストールします」というページがWebブラウザに表示されるので、少し下にスクロールする
ここで、「Windows Insider Program」に登録していない方は「リンク」をクリック。すでに登録している方は、次節の「③Windows 10 on ARMを入手する」に進もう
この画面から、「登録」→「今すぐサインイン」→MicrosoftアカウントのIDとパスワードを入力→「今すぐ登録」と進んでいき、最後に「Windows Insider Programへようこそ」という画面が表示されたら、「Windows Insider Program」への登録は完了だ

③Windows 10 on ARMを入手する

先ほどのWebブラウザに戻り、今度は「Windows 10 on ARM」を入手するため、「Microsoft Windows Insider PreviewDownloads」をクリックする
右上の「Sign in」からMicrosoftアカウントでサインインする
下の「Windows 10 Client ARM64 Insider Preview – Build 21354」をクリックして、「Windows 10 on ARM」をダウンロードする

④Windows 10 on ARMをインストールする

ダウンロードファイル「Windows10_InsiderPreview_Client_ARM64_en-us_21354.VHDX」(「Vitual Hard Disk」と呼ばれる)をダブルクリックする
すると「Parallels Desktop 16 for Mac」のインストールアシスタントが起動するので、以降は指示に従う。今回は汎用的なテストを実施するために「業務用ツール」を選択した
最後に、仮想マシンの「名前」と「保存先」を設定し、「作成」を押せば「Windows 10 on ARM」のインストールが始まる。構成(ハードウェア)は後から変更できるので、ここではチェックを入れる必要はない
この画面が出ればインストール完了
なお最初はWindows 10が英語環境になっているので、「Settings(設定)」→「Time & Language(時刻と言語)」→「Language(言語)」のページにて「Add a language(言語の追加)」から日本語を追加し、Windowsの表示言語を変えよう

どんなアプリがどのくらいの速度で動くかを確認

 さて、M1 Macの「Parallels Desktop 16.5 for Mac」にインストールした「Windows 10 on ARM」で、どのようなアプリが利用できるのだろうか? 今回、Apple M1を搭載した「13インチMacBook Pro」(メモリ16GB)で実際に試してみた。

 なお、「Parallels Desktop 16.5 for Mac」ではハードウェア構成を細かくカスタマイズ可能だが、今回は「業務用ツール」の構成でテストを実施して、動作しなかった場合のみプロセッサ数とメモリ容量を増やした設定も試している。

【表1】ハードウェア構成ごとのプロセッサ数とメモリ容量の違い
プロセッサメモリ
業務用ツール24,096MB
ソフトウェア開発44,096MB
ソフトウェアのテスト22,048MB
設計48,192MB
ゲームのみ48,192MB
これは「ゲームのみ」に設定した場合のハードウェア構成。プロセッサ数、メモリ容量を増やした上で、Windows 10を全画面表示するように設定される

 Windows 10の起動と標準WebブラウザであるEdgeの利用の様子は以下のとおりで、快適に動いている。

【Windows 10を起動】
画面を操作、PINコードを入力する時間を除けば、20秒以下で「Windows 10 on ARM」は起動する
【Edgeでブラウジング】
Arm 64bitの「Edge」は快速そのものだ

 標準アプリ以外として、まず「Microsoft Office」では「Word」を試用してみたが、概ね正常に動作しているようだ。画像や表が含まれるドキュメントでも破綻はない。ただし、以降のアプリも含めて長時間利用したわけではない。筆者や編集部が動作を保証するものではない点には注意してほしい。

画像が貼られているドキュメントでも描画が乱れるようなことはなかった
【Wordでドキュメント閲覧】
素早い動きに描画がやや追い付いていないが、レスポンス自体はよいので待たされ感はない

 「Adobe Lightroom」についても基本的には正常に動作したが、一度だけサムネイルが表示されなくなる現象に遭遇した。再起動しても改善されなかったが、ハードウェア構成でプロセッサ数とメモリ容量を増やしたら直ったので、スペック不足で動作が不安定になった可能性がある。

 なお、セットアップ時の注意事項だが、「Adobe Creative Cloud」のインストールプログラムを「ダウンロード」フォルダに入れたまま実行すると、インストールできなかった。Cドライブのルートディレクトリーに移動すると正常にインストールできたので、同じエラーが出たら試してみてほしい。

一度サムネイルが表示されなくなったが、ハードウェア構成でプロセッサ数とメモリ容量を増やしたら正常に戻り、再びプロセッサ数とメモリ容量を減らしてもサムネイルが消えることはなかった
【Lightroomで基本的な操作】
サムネイルの読み込みにやや時間がかかるが、一度表示されればあとの動作は俊敏だ
「Adobe Creative Cloud」のインストールプログラムを「ダウンロード」フォルダに入れたまま実行すると、エラーが表示された

 「Adobe Photoshop(Prerelease)」はインストールと起動に問題なかったが、ファイルの新規作成、読み込みがいっさいできなかった。ハードウェア構成でプロセッサ数とメモリ容量を増やしても改善されない。Prerelease版とは言えここまで動かないバージョンを世に出すことは考えにくい。今回の環境となんらかの相性問題が発生しているのだろう。

「Adobe Photoshop(Prerelease)」では「コマンド 開くを完了できません。プログラムエラーです。」(原文ママ)というエラーメッセージが表示され、ファイルを開けなかった。また、「新規作成」では「要求された操作を完了できません。プログラムエラーです。」というエラーメッセージが表示される

 「Dropbox」はインストールすらできなかった。どうしてもDropboxを使いたい場合には、現時点ではSモード版を利用するしかない。

「Dropbox」はインストールが中断され、Sモード版のインストールを促される

 「秀丸エディタ」については、32bit版、64bit版の両方を試してみたが、どちらも正常に動作しているようだ。ただし、しつこいようだが保証するわけではないので、もし購入する際にはじっくり試用してから決めてほしい。

「秀丸エディタ」では32bit版と64bit版の両方で動作することを確認した
【秀丸エディアで基本的な動作を確認】
快速動作に定評がある「秀丸エディタ」だけに、素早くスクロール可能だ

 ゲームは筆者の「Steam」のライブラリから4本インストールしてみた。「ARCADE GAME SERIES:PACMAN」、「Brut@l」は快適にプレイできたが、「Space Channel 5:Part 2」、「PLAYERUNKNOWN'S BATTLEGROUNDS」はエラーメッセージすら出さずに終了してしまった。

 ハードウェア構成を「ゲームのみ」に切り替えても動作しなかったので、処理性能ではなく、なんらかのシステム要件を満たしていないのだと思われる。

2Dアクションゲームの「ARCADE GAME SERIES:PACMAN」はストレスフリーで懐かしのプレイを楽しめる
「Brut@l」は「Rogue」をモチーフにした3Dアクションゲームだ
【Brut@lの序盤をプレイ】
多少コマ落ちしているようだが、プレイに支障が出るほどではない
「PLAYERUNKNOWN'S BATTLEGROUNDS」と「Space Channel 5:Part 2」はインストールできたが、起動してもエラーメッセージも出さずに終了してしまった

「Parallels Desktop 16.5 for Mac」のアプリ動作可否リスト

【表2】「Parallels Desktop 16.5 for Mac」のアプリ動作可否リスト
アプリ名種別動作可否補足
Microsoft Office32bit-
Adobe LightroomARM 64bit一度サムネイルが表示できなくなった
Adobe Photoshop(Prerelease)ARM 64bit×起動できるが、ファイルを読み込めない
Dropbox32bit×インストールできない
Evernote64bit-
秀丸エディタ32bit-
秀丸エディタ64bit-
Steam32bit-
ARCADE GAME SERIES:PACMAN64bit-
Brut@l64bit-
PUBG64bit×起動しない
Space Channel 5:Part 232bit×起動しない

Windowsオンリーアプリを動かすために「Parallels Desktop 16.5 for Mac」は有用

 M1対応アプリは続々と増えており、そもそもIntelプロセッサ搭載Mac用アプリも「Rosseta 2」で快適な速度で利用できるので、ほとんどの方にはmacOSだけでアプリは十分に揃うはずだ。

 しかし「秀丸エディタ」などWindowsオンリーな数本のアプリを動かすために、「Parallels Desktop 16.5 for Mac」は有用だ。Insider Previewの「Windows 10 on ARM」が、正式リリースされることを楽しみに待ちたい。

「Windows 10 on ARM」だけでなく、「Ubuntu Linux」、「Fedora Linux」、「Debian GNU/Linux」、「Kali Linux」などの環境も楽しめる。「Parallels Desktop 16.5 for Mac」はOSマニアにはたまらないアプリだ