レビュー

7型ゲーミングUMPC「OneGx1 Pro」、PL1=20W設定で性能が最大28%向上

 ONE-NETBOOKの「OneGx1 Pro」は、ゲーミング向けを謳う7型UMPCで、現在テックワンのサイトで販売中だ。最小構成価格は16万8,000円(税別)からとなっている。以前に弊誌のHothotレビューで評価済みなのだが、今回はBIOSでCPUのPL1制限を20Wに引き上げたさいの性能を追試で検証を行なった。

 ご存知のとおり、Tiger Lakeはメーカーに対しcTDPオプションを提供しており、メーカーは放熱機構や筐体設計に応じてCPUの消費電力の上限値を自由に設定できる。ただ、ほとんどの場合、cTDPはユーザーが自身で変更を行なうことはできない。

 一方でOneGx1 Proでは標準で15WというPL1(Power Limit 1、長時間負荷時の最大消費電力制限)となっているが、ユーザーがBIOS上で最大20Wまで引き上げることができるよう、設定項目を用意している。20Wに設定した場合の性能がどんなものなのか、気になるユーザーも少なくないはずだ。本記事ではBIOSでPL1を15Wと20Wそれぞれに設定した場合の結果を比べてみた。

 まずは、オールマイティな性能計測を行なう「PCMark 10」だが、こちらは誤差程度であった。Digital Content Creationの項目はCPU/GPU性能に直結するためスコア向上が見られるが、さまざまなコンポーネントに負荷が分散する一般的な処理ではほとんど効果がない。OneGx1 Proはゲーム用としてもオフィス用としても使えるマシンなのだが、オフィス用ならあえて設定しなくても十分な性能だと言える。

PCMark 10の結果

 一方で「3DMark」、「ドラゴンクエストXベンチマークソフト」、「ファイナルファンタジーXIV:漆黒のヴィランズ ベンチマーク」(FF14)、「Cinebench R23」など、CPU/GPUに負荷が集中するようなケースでは大きな性能向上が見られた。とくにFF14では28.5%ほどの差があり、20Wを引き上げる意義は十分にあると言える。

3DMarkの結果
ドラゴンクエストXベンチマークソフト
ファイナルファンタジーXIV:漆黒のヴィランズ ベンチマーク
Cinebench R23

 FF14ベンチ実行中のCPUクロック/パッケージ温度/GTコアの消費電力推移(HWiNFO64ではIntel Xeの動作クロックが取得できなかった)を取得してみたが、CPUクロックがおおむね500~600MHz高速となり、GPUコアの電力も6割~7割増加していることがわかる。言うまでもないが、20Wとなったことでプロセッサ全体の性能がより引き出されている。

 これに伴ってパッケージ温度も10℃ぐらい上昇しているが、許容範囲だろう。むしろ20Wのプロセッサをこの小型筐体で、この温度に抑えているほうが驚異的ではある。ちなみに騒音レベルに目立った違いはなく、いずれもフル回転だと思われる。Core i7-1160G7の最大温度は100℃と余裕があるので、もう少し遅く回転するセッティングがあっても良いとは思う。筐体の温度も大差なかった。

 ただ、3DMarkのなかで重いTime Spyでは、スコア向上は9%未満程度であったことを考えると、そもそもOneGx1 Proにとって荷が重くプレイが非現実的なタイトルが、PL1=20Wの設定でプレイ可能になる、というわけではない。この性能でプレイ可能かどうかある程度目星をつけておいて、タイトルをチョイスしたほうがいいとは思う。

 もっとも、このサイズの液晶なら画質を多少落としても変化がわかりにくいし、1080pの解像度で重荷でも、720p程度に解像度を落とすと快適に動作するタイトルも多く存在する。そのあたりはユーザーの工夫と好み次第。7型でも13型のメインストリームに比肩する性能があり、一般的なPCとして使えるうえに、3Dゲームもプレイできてしまう本機には、やはり夢が詰まっているとは思う。