レビュー

写真で見る「PasocomMini PC-8001」

PasocomMini PC-8001

 NECパーソナルコンピュータ株式会社(NEC PC)は、PC-8001生誕40周年を記念し、ハル研究所が開発したミニチュア記念品「PasocomMini PC-8001」を発表した。

 詳細はすでに別記事(細部まで再現し、BASICが動作する「PasocomMini PC-8001」)でお伝えしたとおりだが、8月5日に開催されたNEC PC事業40周年記念の発表会にて、メディア向けに評価キットが配布されたので、外観を中心にフォトレポートをお届けする。

 PasocomMini PC-8001は、ハル研究所が主体となって開発・制作を行なったもの。電源を投入するだけでPC-8001互換のBASICが起動し、別途USBキーボードとHDMIディスプレイを接続すれば、BASICプログラミングが可能。また、添付のmicroSDカードには16種類のレトロゲームが収録されており、プレイもできる。

 現時点ではLAVIEブランド製品購入のキャンペーン景品として用意しているほか、直販限定の「LAVIE Pro Mobile PM750/NAA」の初期500台限定にのみ付属するかたちとなっているが、「PasocomMini MZ-80C」と同様に、ハル研究所からの一般市販も期待したいところ。これについては、僚誌AKIBA PC Hotlineのインタビューによると、評判を見て、単体発売の検討を行なうそうだ。

 製品のパッケージはPC-8001へのオマージュを込めたようなレトロなデザインとなっており、なかなかシャレている。同梱物はPasocomMini PC-8001本体に加え、40周年記念ステッカー、容量16GBのmicroSDカード(SDカード変換アダプタつき、Apacer製)、説明書のみとシンプルだった。

 本体はミニチュアそのものといった感じで、手のひらに載るサイズ。キーボードの刻印を含め精巧に再現されているが、残念ながらキーボードは押下できず機能しないため、別途キーボードを接続する必要がある。また、インターフェイスはMicro USB×2とMini HDMIのため、キーボードの接続にはMicro USB→USB Type-A変換アダプタ、ディスプレイの接続にはMini HDMI→HDMI変換アダプタを別途用意する必要があるのはやや面倒だ。

 ハードウェア自身は「Raspberry Pi Zero WH」をベースとしたもの。本体は磁石によって上下がくっついており、力を入れずに簡単に開いて内部にアクセスできる。microSDカードにOSおよびPC-8001エミュレータ、ゲーム一式が収録されており、これをRaspberry Pi Zero WHに挿して動作させる仕組みだ。

昭和を感じさせるパッケージデザイン
パッケージ底面の注意書きなど。ハル研究所のロゴも入っている
本体に加え、ステッカー、microSDカード、取扱説明書が付属する
PasocomMini PC-8001本体
背面のインターフェイスはMini HDMI、Micro USB×2。電源ボタンやリセットボタンが見えるが、機能しない飾りだ
キーの刻印まで精巧に作られているが、残念ながら押下できずキーとしては機能しない
ロゴの部分。右のLEDは塗りつぶしで機能しない
本体底面。ピンのハンダ部分とケースの干渉を抑えるため穴が空いている
マグネットで簡単に着脱できる
Raspberry Pi Zero WHが採用されている
Raspberry Pi Zero WHではCPUの上にメモリが積層されているため見ることができない
表面の反射が強いLSIは無線チップのCYM43438だ
microSDカードを挿入したところ
Mini HDMI変換アダプタまたはケーブル、およびMicro USB→USB Type-A変換ケーブルが別途必要だ

 ちなみに説明書によると、PasocomMini PC-8001付属のmicroSDカードは繰り返し使用により耐久性が落ち、内容が破損する可能性があるので、定期的なバックアップを推奨している。そのため、ホームページで専用のバックアップ・リストアツールも配布するという。また、専用のイメージファイルも公開しているため、これをダウンロードして専用ツールで手持ちのmicroSDカードに書き込むことで起動できるとしている(アップデートも予定している)。

 こうなると「サイトからイメージをダウンロードして、手持ちのRaspberry Pi Zero WHに入れちゃえば、(筐体を除けば)実質タダでPC-8001エミュレータが手に入ってしまうの?」という疑問が当然湧くわけだが、説明書では「PasocomMini PC-8001専用であり、他のRaspberry Piでは動作しない」と書かれている。現時点ではサイトで製品情報が公開されておらず、Raspberry Pi Zero WHも入手できていないため編集部で試せていないが、準備でき次第改めて検証したい。

 本体にmicroSDカードを挿入して、Micro USB電源を接続してからほんの数十秒でBASICが起動する。このあたりのシンプルさは大変良く、「IchigoJam」を彷彿とさせる。オリジナルPC-8001はF1~F5までしかファンクションキーを備えていないため、PasocomMini PC-8001ではキーボードのF7~F12にさまざまな機能を割り当て活用している。

・F7-設定メニュー/クイックコマンドリファレンスのページ戻り
・F8-設定メニュー/クイックコマンドリファレンスのページ送り
・F9-設定メニュー画面
・F11-クイックコマンドリファレンス
・F12-ゲームの選択画面

 なお、収録されているPC-8001のゲームの多くはテンキーを使って操作するため、テンキーつきキーボードを接続したほうが“没入感が高い”だろう。ちなみに任意のUSBゲームパッドにキーを割り当てて代用することも可能だ。

電源を投入するとこの画面が一瞬表示される
その後すぐにBASICが起動する
キーボードでF12キーを押すとロードするゲームの選択画面になる
実際にゲームをプレイできる

 本機はPC-8001を使ったことのあるユーザーが懐かしむだけでなく、BASICですぐにプログラミングをはじめられるため、教材としての価値もある。加えてPC-8001を精巧に再現したミニチュア筐体は収蔵価値も高い。ハル研究所から発売されることが待ち遠しい製品だと言えるだろう。PC Watchでは後日、藤本健氏による詳細なレビューを予定しているので、もう少しお待ちいただきたい。