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頼れるパパのための「子供のPCデビュー」講座

~第3回:保護者がコントロールする子供のネットリテラシー育成

段階的なPCとネットの利用モデルを考える

 前回はChromebookを利用した子供向けのネットアクセス環境構築をご紹介した。最終回となる今回は、この環境を使って、実際にどのようなステップで子供のネットリテラシーを高めていくか、また教育面でどのようなアプローチが可能かをご紹介していく。

 子供に万全の体制でPCを与えたからといって、小学生にすぐさまネットの海で好き放題させるわけにはいかない。学齢に応じた段階的な利用ステップを踏みながら、成長を促していく必要がある。ここで参考になるのは、「子どもたちのインターネット利用について考える研究会」、通称「子どもネット研」が提唱している、段階的利用モデルだ。これは子供のネット利用を4ステップに分けており、技能の成長と知識の成長を分けて考えているのがポイントである。

オンラインコミュニケーションの発達モデル

 一般的には、Step1が小学校低・中学年、Step2が小学校高学年、Step3が中学生、Step4が高校生で身につけるべきことを表している。もちろん、子供の成長が早ければ、学齢にこだわる必要はない。小学生に注目すれば、まずStep1の小学生の3~4年生ぐらいまでは、サイトの閲覧を中心に考えておけばいいだろう。そもそも主要なSNSサービスは、利用規約で13歳未満の子供の利用は禁止されているところが多い。以下に主なSNSでの年齢制限をまとめてみた。

サービス利用規約による年齢制限
Twitter13歳未満は利用禁止。ただし保護者の許可があれば利用可
Facebook13歳未満は利用禁止
LINE未成年者は法定代理人(保護者)の同意が必要。18歳未満ではID検索機能が制限される
Instagram13歳未満の利用は禁止

 これはサービス事業者としても、小学生のSNSの利用は想定していないことを表している。逆にStep3の中学生になれば、大抵のサービスは利用規約的には使えるということでもある。

 さて現在、うちの娘は、Step2の段階にある。即ち「家族間に限った発信を認める」という段階だ。ここでは「文章で用件や気持ちを適切に表現できる」という能力を身につける必要がある。

 ただ、実際にこれをトレーニングしようとすると、最適なツールがないことに気づく。上記サービスのうち、FacebookとInstagramは明確に使えない。Twitterも親子間だけに固定するのは難しいように思える。LINEは保護者が同意すれば使えるが、アカウント開設にはスマートフォンの電話番号か、Facebookアカウントが必要なので、今の状況ではアカウントが作れないことになる。そうなるとあとはメールだが、メールアドレスを持たせてしまうと、結局は家族外と繋がることは避けられない。

 Chromebookで何か親子で練習できる方法ということで、あまりスマートではないものの、Google Driveの「ドキュメント」を使うことにした。筆者が現在メインで使っているGoogleアカウントにログインさせるわけにもいかないので、以前Gmailのバックアップのために作っておいたサブアカウントを利用することにした。

 娘にサブアカウントにログインさせ、そこのGoogleドキュメントに日記を書いてもらう。そのドキュメントを筆者のメインアカウントと共有することで、他者を交えずに2人で1つのドキュメントに書き込めるようになる。こうすることで、子供の文章力を見ることができるし、表現が不足している部分に対しては親がコメントで質問し、子供がそれに対して返信を行なうことで、チャット風のやりとりもできる。

Google Docsを使ってネットコミュニケーションの練習

 およそ1年間これを続けてみたが、最近は文章をまとめるのも、入力するのも随分早くなった。書くネタがないと困っていることもあるが、書くことがある場合は、ほんの1~2分でパッと書けるようになった。能力的にはもうそろそろ、友達と1対1のやり取りをさせても大丈夫だろう、というところまでは来ている。

ペアレンタルコントロールの必要性

 Chromebookは、上記のようにコミュニケーションの練習や宿題の調べ物をする時以外は、自由に使わせている。もっぱらYouTubeでゲーム実況などを見たり、マンガやアニメの設定資料を調べたりといったことをやっている。これは使っているところを覗いて見ているわけではなく、Googleアカウントの監視対象ユーザーの機能を使っている。

監視対象ユーザーのアクティビティリスト。IPアドレスになっているところは、ルータ側のi-フィルターでブロックされたアクセス

 些細なことだが、こうして履歴を保護者が見ているということは、子供にも伝えておくべきだろう。無断でアクセス履歴を覗き見るというのは、例え保護者と言えど、プライバシーにも関わる部分なので、本人の同意は必要だと考えるからだ。また保護者も履歴を見ているということが分かっていれば、本人も使い方を自重するようになる。自分で自分を律するという力もまた、重要である。

 こうした、保護者が子供のネット利用を見守りつつ指導していくという行為を、ペアレンタルコントロールという。米国や韓国では盛んな手法だが、日本ではあまり積極的にネット教育の方法論として語られるケースは少ない。平均的に保護者側のITスキルやネットリテラシーが、子供を指導できるほど高くないという部分が根底にあるのだが、弊誌の読者ならその当たりは問題ないだろう。

 ペアレンタルコントロールのもう1つのポイントは、利用時間の制御である。大人でもネットサーフィンなどしていると、あっという間に時間が過ぎていたという経験はあるものだ。子供であればなおさらである。YouTubeばかり見ていて睡眠時間を削ってしまうというのでは、健康や体の成長への悪影響も出てくる。

 筆者宅で実施しているのは、Wi-Fiルータの「エコモード」を使って、利用時間を制限するという方法だ。うちでは9時から22時まで子供用のルータは使えるが、それ以外の時間はタイマーで利用できないように設定している。ただ、そうなると大人も一緒に使えなくなってしまうので、大人用と子供用のWi-Fiルータを別にするという方法で凌いでいる。

ルータのエコモードを使ってネットの利用時間をコントロール

 ネットが使える時間を意識させることで、現実世界の中でやらなければならないこと、例えばお風呂に入るとか、明日の着替えの準備をするといったことに引き戻す効果が得られる。ポータブルゲーム機にも、時間制限機能が搭載されているので、そちらも合わせてチェックすると良いだろう。何時から何時まで使えるようにするのか、あるいは曜日別に時間を変えるといった運用は、各家庭の判断にお任せする。

ITリテラシーの成長を見守る

 うちでは、利用できる端末はPCに限っていない。学校での勉強の予習・復習に最適なのは、実はiPadだ。最大の特徴は、学習用のアプリが全プラットフォームの中で一番充実しているからである。

 例えば小学生低学年の難関と言えば、2年生のかけ算、九九の暗記だ。娘の通った小学校では、相変わらず単語カード形式の、めくりながら覚えていく教材を使っている。これなどは筆者が小さい頃からあるもので、40年が経過した今でも、これ以外の手法が使われていないというのは、いくらなんでもあんまりだ。

 そこでうちでは、iPadのかけ算アプリを導入して、自宅学習は全部これで行なった。かけ算を歌で覚えたり、クイズ形式になっていたりと、単純なカード式とは違って、子供を飽きさせない工夫がされている。結局うちではカード式の教材は使わないまま、九九の暗記をクリアした。

 小学5年生からは、ベネッセの「チャレンジタッチ」というAndroidタブレットの学習教材を導入した。こちらは全教科をカバーするもので、やはり飽きないように、学習を積み重ねると新しいゲームで遊べたりといった工夫が見られる。ただ、やはり5年生ぐらいになれば、人参をぶら下げて走る馬みたいなものだと薄々見破ってきているので、保護者が声がけしないと自主的にはやらなくなる。ただ2年間やり通したので、それなりにバランスの良い成績を取ってくるようになった。

 うちでは、こういったスマートOSの端末では定型的な学習をさせながら、PCでは自分の興味のあるものが利用できるように、プライオリティ付けを行なってきた。使い方を通じて、タブレットやPCの位置付けが分かるようにしてきたつもりだ。

 結果的に娘は、iOS/Andorid/ChromeOSが使えるようになっている。色々なインターフェイスを経験することで、機器操作のリテラシー、いわゆる使い方の勘のようなものは身についたはずだ。恐らく今後、スマートフォンやWindows PCやMacといった本格的なPCを与えても、操作に困ることはないだろう。一方で感情面や知識面の成長は、引き続き保護者が指導していく必要がある。

 現在は中学進学に向けて、フィルタリングの設定なども緩めているところなので、利用できるサイトが増えているのを感じているようだ。春休みには、利用時間についても見直しをして良いかもしれない。フィルタリングやペアレンタルコントロールは、かけたらかけっぱなしではダメなのだ。最終的に18歳を過ぎれば、フィルタリングの義務はなくなるので、その頃までには全部で問題ないように、段階的に成長を促さなければならない。

 成長とは即ち、一気に死なないように、かすり傷程度に失敗させることである。そのためには、ステップで成長を見守る必要があるし、そのステップは保護者が用意しなければならない。かつて子供に自転車の練習をさせる時のように、最初は両方に補助輪をつけて、慣れてきたら片方外し、最終的には親が後ろを持ってあげて一緒に走る、そういった段取りが、ITでも必要ということなのである。

 ただし、スパンはやたらと長い。小学3年生ぐらいから高校卒業までなので、おおよそ10年計画である。その間、ネットではさまざまなサービスが入れ替わり立ち替わり台頭するだろうし、ネット端末がどのような形に進化していくのか想像もつかない。保護者でもこれまで経験がないような、未知の問題も出てくるだろう。それらは最終的に、子供自身が自分で解決策を見つけていかなければならない。

 そこへの準備のために、今から少しずつ子供のPC利用を計画してみてはいかがだろうか。この特集が、皆さんのIT子育ての一助となれば幸いである。

(小寺 信良)