GIGABYTEのSandy Bridge対応マザー2モデルを写真でチェック

GA-P67A-UD7

発売中
価格:オープンプライス



 GIGABYTE Technologyから、インテルの新Core iシリーズ(コードネーム:Sandy Bridge)に対応したマザーボードが発売された。価格はオープンプライス。

 今回、ATX対応で最上位の「GA-P67A-UD7」と、microATX対応で最上位の「GA-H67MA-UD2H」をお借りできたので、製品の外観写真とともに紹介したい。

●GA-P67A-UD7

 GA-P67A-UD7は、GIGABYTEのIntel 6 Expressチップセットシリーズのラインナップの中で現時点で最上位に位置するモデルで、実売価格は38,000円前後となっている。

 従来、GIGABYTEのマザーボードと言えば、青色の基板が特徴的だったが、本製品では黒に変更されている。これに伴い、スロット類も黒、さらにはヒートシンクもガンメタル+ゴールド色になっており、質感が向上している印象だ。

GA-P67A-UD7の製品パッケージパッケージは開くようになっている内容物は上位モデルらしく豊富で、3way-SLIブリッジも付属
基板がブラックになり、ヒートシンクもガンメタル+ゴールド色になってリッチな印象ソケットはLGA1155

 機能面での最大の特徴は、CPUのVRM電源回路周りの実装で、24フェーズのDriver-MOSFETを採用している点だ。Driver-MOSFETは、MOSFETとドライバICを1チップに収めたもので、それぞれ別になっているものより低発熱や高効率を実現できるのが特徴。MSIも従来から一部モデルにおいてルネサスの「DrMOS」を採用してきたが、GIGABYTEもそれを採用したという格好だ。大規模な回路になってしまったため、一部の実装は裏面までに及ぶ。

 チップの刻印を見る限り、採用しているDriver-MOSFETはVISHAY製の「SiC769CD」だ。このチップのデータシートを見ると、DrMOSとピン互換性を持っており、12V入力/0.8~2V出力に最適化されている。最大電流は35Aということで、DrMOSの40Aにはやや届かないものの十分な出力だ。本製品は24フェーズ搭載しているので、(効率などを配慮せずに)単純に換算すると最大で840Aという驚異的な出力が可能だ。

Driver-MOSFETが24フェーズという構成Driver-MOSFETの実装は裏面までに及ぶPCI Expressのスロット配置

 このほか目立った点としては、nForce 200の搭載が挙げられる。新Core iシリーズは、旧Core iシリーズと同様、CPU内蔵のPCI Expressのレーン数はx16のため、本来2本のビデオカードを同時利用する場合はx8+x8、さらに3本以上のビデオカードを接続してマルチGPU環境にする場合は、Intel P67 Express内蔵のPCI Expressレーンを消費することになる。このため性能が低下しがちだ。

 しかし本製品ではNVIDIAのブリッジチップnForce 200を搭載して、CPU側のPCI Expressレーンをシェアすることで、4本のスロットのうち2本で使う場合はx16、3本で使う場合でもx16+x8+x8での動作を実現でき、SLIやCrossFire X利用時の性能向上を図っている。

 スロットの配置は、上から順にPCI Express x1、同x16×1、同x8(x16形状)×1、同x16×1、PCI、PCI Express x8×1(x16形状)、PCIとなる。2スロット占有型のビデオカードを3枚使用してマルチGPU環境を構築しても、PCI Express x1スロットが1基空く格好だ。

 インターフェイス周りも、最上位モデルらしく非常にリッチだ。まず、ルネサスのUSB 3.0コントローラ「μPD720200」を2個装備し、さらにVLIのUSB Hubチップ「VL810」を2個装備することで、リアパネルだけでも6ポート、オンボードのピンヘッダを通じて4ポート備える。

 ストレージ関連では、チップセットのSATA 6Gbpsの2ポートのほかに、Marvellの「88SE9128」を2個搭載し、内部にSATA 6Gbpsを2基、外部にeSATA 6Gbpsを2基装備(eSATAはUSB 2.0兼用)。また、チップセットには3Gbps対応のSATAを4基備えているため、合計で10基のポートを備えている。

 このほか、RealtekのGigabit Ethernet対応コントローラ「RTL8111E」も2基備えており、チーミング構成も可能になっている。また、BIOSも「Dual BIOS」となっており、BIOSデータの破損や物理的なBIOSの破損から保護できる。とにかく、「デュアルにできるものはデュアルにした」といった感じで、よくATXにここまで詰め込めたと感心するほどだ。

ルネサスのUSB 3.0コントローラ「μPD720200」を2基搭載VLIのUSB Hubチップ「VL810」により、内部にもUSB 3.0 4ポート分のピンヘッダを備える6Gbps対応ポートは内部に4基。うち2基はMarvellの88SE9128によるもの。Dual BIOSも搭載する
Gigabit EthernetはRealtekの「RTL8111E」を2基搭載するスロットの間だけでなく、ヒートシンクとLANポートの間にもPCI Expressスイッチを搭載。実装デバイスが多いだけにこうなったのだろう背面のインターフェイス部

 さらにオンボードでPOSTコード表示やCMOSクリアボタン、電源ボタンとリセットボタンを備えるなど、バラック状態でのテスト運用/オーバークロック用途も見込んだ設計の努力も見られる。しかし、近いとは言えスイッチの配置がバラバラで、電源ボタン以外サイズも小さく、操作性が高くないのがやや残念だ。

フロントインターフェイス部。POSTコード表示を備えるCMOSクリアスイッチや電源スイッチ、リセットスイッチなどをメモリスロット付近に備えるが、どうせなら一列に並べて欲しかった

 なお、2オンス銅箔層による放熱性の改善や、全面固体コンデンサの採用による信頼性の向上など、同社独自規格の「Ultra Durable 3」への準拠については従来モデルを踏襲している。また、USB 2.0はバスパワーが3倍の出力(1,500mA)になっている。

 Intel P67 Expressシリーズでは、KシリーズのCPUを搭載した場合、倍率の変更などが可能になるが、本製品でも当然それに対応し、独自のオーバークロックソフトウェア「EasyTune」や、Webブラウザを利用したオーバークロックツール「CloudOC」をサポートする。ソケットはLGA1155。メモリはDDR3に対応し、容量は最大16GB、速度は最大2,133MHzをサポートしている。


●GA-H67MA-UD2H

 GA-H67MA-UD2Hは、製品名にもある通り、Intel H67 Expressチップセットを採用し、Sandy Bridge内蔵のビデオ機能を利用できる、microATX対応のコンパクトモデルだ。実売価格は15,000円前後となっている。

 Intel H67 Expressでは内蔵ビデオ機能が活用できる代わりに、Kシリーズを搭載した場合でも倍率の変更ができない。また、基本的にNVIDIA SLIも非サポートだ。そのためGA-P67A-UD7のマザーボードほどリッチな構成にはなっていない。しかし、それでもVRM電源回路部にDriver-MOSFETを8フェーズ搭載するなど、安定性を重視した設計になっていることが伺える。一方、配色は従来のGIGABYTEらしい青色ベースのものになっている。

GA-H67MA-UD2Hの製品パッケージ付属品は少なく、あっさりしているGA-H67MA-UD2H本体
基板もヒートシンクも青をベース、またはアクセントとしたもので、従来のGIGABYTEのイメージを踏襲しているヒートシンクを取り払ったところ。公称の8フェーズより多い10フェーズだが、おそらく2フェーズはGPUへの供給用だろう10フェーズのほかに従来の電源回路も2フェーズ搭載している

 スロット配置は、上から順にPCI Express x16×1、PCI Express x1×2、PCI Express x4×1(x16形状)。CrossFire Xもサポートするが、2スロット目はサウスブリッジから出される形になるため、GA-P67A-UD7ほどの性能は期待できないが、それでも限られたスペースであえて搭載していることは評価できる。一方、チップセットからサポートが打ち切られたため、このサイズでは仕方ないかもしれないが、PCIなしというのはやや寂しい。

スロット配置ストレージインターフェイスはチップセット内蔵機能のみだ。またポートもマザーボードに対して垂直に出すタイプとなっているメモリスロット付近に使用中のフェーズ数を示すLEDを搭載する
ルネサスのUSB 3.0コントローラ「μPD720200」を搭載バックパネルのインターフェイス

 バックパネルのインターフェイス周りは、USB 3.0×2(ルネサスのμPD720200利用)、USB 2.0×4、HDMI出力、DVI-D、ミニD-Sub15ピン、DisplayPort、eSATA(3Gbps)、Gigabit Ethernet、PS/2×1、S/PDIF、音声入出力などを装備。DisplayPortの装備は評価できるが、それ以上の装備はなく、スタンダードな構成といえよう。

 品質面では、GA-P67A-UD7と同様、Ultra Durable 3に準拠する。ソフトウェア面でもGA-P67A-UD7と同じくEasyTuneやCloudOCをサポートしているが、前述の通りIntel H67 ExpressではKシリーズの倍率の変更ができないので、あまり意味をなさないだろう。ソケットはLGA1155。メモリはDDR3に対応し、容量は最大16GB、速度は最大1,333MHzをサポートしている。

 GIGABYTEのそれぞれのフォームファクタでの最上位モデルを見てきたが、とにかくDriver-MOSFETの採用がトピックと言え、いずれも通常利用には十二分の品質が確保されている。こと最上位のGA-P67A-UD7は高負荷汎用から究極なオーバークロック用途まで幅広くカバーでき、魅力的なモデルに仕上がっている。

(2011年 1月 14日)

[Reported by 劉 尭]