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無料で使える7つのビデオ会議サービスを徹底比較!

ユーザー登録せずに会議参加が可能なものも

 新型コロナウイルスの感染防止を目的として、人との接触を避けるために自宅で業務を行なう在宅勤務が広がりつつある。また4月11日には、緊急事態宣言が発令された7都府県の全事業者に対し、出勤者を最低7割減とするように安倍首相が要請しており、在宅勤務で業務を行なう人がさらに増加するのは間違いないだろう。

 この在宅勤務において、問題となりやすいのがコミュニケーションである。オフィスに出社しているときのように、顔を合わせて会話したり、あるいは会議やミーティングを行なったりするのは難しいためだ。そこで重宝するのが、インターネット経由でビデオおよび音声でのコミュニケーションを可能にするオンライン会議サービスである。

 こうしたサービスはいくつもあり、実際に活用しているユーザーも多いだろう。今回、主要なオンライン会議サービスを比較してみた。

 比較したのは、コミュニケーションの方法(映像配信/音声通話/テキストチャット)に加え、オンライン会議時に利用できる機能、最大接続人数やユーザー登録の要不要、対応するプラットフォームである。

 またオンライン会議時に利用できる機能の比較は、基本的にWindows版の専用アプリを用いて行なっている(Google HangoutsはWindowsアプリがないため、Google Chrome上で実施)。

【表】オンライン会議サービス比較表
Microsoft TeamsFacebook MessengerGoogle HangoutsLINESkypeZoomWebEx Meetings
映像配信
音声通話
テキストチャット
会議の録画×××
デスクトップ共有×
特定ウィンドウ共有×××
ファイル送受信×※1
ホワイトボード××××
映像の背景をぼかす×××××
カスタム背景××××
最大接続人数250501020050100100
ユーザー登録せずに会議を開催××××××
ユーザー登録せずにほかの人が開催した会議に参加×××
Webブラウザでの参加※2
Windows版×
macOS版×
iOS版
Android版

※1: チャットで写真のみ送信可能
※2: Chrome拡張機能の利用で可能

 それぞれのサービスの概要は以下のとおりである。ぜひ自分にあったサービスを見つけてほしい。

Microsoft Teams

 チャットとオンライン会議などの機能を統合した、Microsoftの新たなコミュニケーションプラットフォームとなっているのが「Microsoft Teams」だ。このサービスは同社のクラウドサービスである「Office 365」や「Microsoft 365」に組み込まれているほか、無料版も提供されている。無料版では会議の録画は不可能になるが、デスクトップやウィンドウの共有、背景をぼかすといった機能が使えるほか、カスタム背景にも対応している。

 オンライン会議が可能なだけでなく、メンバー同士でのテキストチャットによるコミュニケーションのための機能も充実している。日常的なコミュニケーションはテキストチャットで行ない、必要に応じてオンライン会議を実施するといった使い方ができるのがMicrosoft Teamsの魅力だと言える。

Microsoft Teamsのオンライン会議の画面。有料版とは異なり、会議の模様を録画することはできない
ここでは利用していないが、映像の背景をぼかすことが可能なほか、カスタム背景を利用することも可能だ

Facebook Messenger

 SNSであるFacebookでは、チャットのためのサービスとして提供している「Facebook Messenger」において、ビデオ通話と音声通話を利用しており、Web会議の目的で利用することも可能となっている。Webブラウザで利用可能なほか、WindowsとmacOS、iOS、Androidのそれぞれで専用アプリも提供している。

 ただあくまでも個人向けサービスという立ち位置のためか、Microsoft Teamsなどと比べると利用できる機能は少ない。なおデスクトップ共有について、Windows向けの専用アプリでは利用できなかったが、WebブラウザとしてGoogle Chromeを利用し、さらに専用の機能拡張をインストールすればデスクトップの共有が可能になる。

Facebook Messengerの画面はごくシンプルで、機能も基本的には映像/音声によるコミュニケーションに特化している
会議を行なっている最中に別のメンバーを呼び出すことも可能。すでに多くのユーザーがアカウントを取得しているため、ユーザー登録の手間が省けるのはメリットだろう

Google Hangouts

 Googleアカウントさえ取得していれば、誰でも「Google Hangouts」を使ってWeb会議を実施できる。PCを利用する場合、Google Hangoutsの上記のWebサイトにアクセスしてWeb会議を行なう。またiOSとAndroidには専用のアプリが提供されている。

 デスクトップや特定のウィンドウの共有は可能で、同じ資料を見ながら会議を行なうこともできる。難点は会議に参加できる人数が10名までと少ない点。なおGoogleが提供する企業向けサービスの「G Suite」では、もっとも安価な「G Suite Basic」で100人、最上位プランの「G Suite Enterprise」では250人までが参加できる。

Google Hangoutsでは、オンライン会議の画面を切り替えずにメッセージを送信することが可能。URLを共有したい場面などで便利
デスクトップ全体のほか、特定のアプリケーションウィンドウだけを共有することも可能で、デスクトップ上のファイルなどを見られる心配がない

LINE

 SNSとして日本の多くのユーザーに使われている、「LINE」でもWeb会議は可能だ。LINEというとモバイルアプリのイメージが強いが、WindowsおよびmacOS版の専用アプリもあり、これらを利用すればデスクトップの共有が可能になるほか、PCに保存されているファイルをLINEで送信することもできる。

 グループ機能を使えば最大200人のユーザーと同時にコミュニケーションすることも可能である。ただ、グループ外のメンバーをWeb会議に招集するといったことはできない。

Windows版のアプリを用いてLINEでビデオ通話を行なっているところ。iPhoneやAndroid版アプリが備えるエフェクト機能は使えない
デスクトップ画面の共有が可能。ただビットレートが低いのか、今回の検証では文字がかなり読みにくい状況だった

Skype

 コンシューマ向けのチャットツールとして歴史が長い「Skype」もビデオ通話や音声通話をサポートしており、Web会議にも利用できる。今回検証を行なったUWP版のSkypeでは会議を録画できたほか、デスクトップの共有もサポートしている。

 さらにSkypeで注目したいのは、「Meet Now」だ。こちらはユーザー登録なしでWeb会議を行なうことができる機能で、Webサイトで作成した専用URLを共有するだけでWeb会議をはじめることができる。社外のユーザーと通話したいといった場面で便利ではないだろうか。

録画や画面の共有など、Skypeはオンライン会議で便利な機能をひととおりそろえている。ここでは利用していないが、背景のぼかしにも対応する
ビデオ通話中にチャットすることも可能。ファイルの送信にも対応しているため、会議に利用したファイルを配布するといったこともできる

Zoom

 多機能なWeb会議サービスとして、人気を集めているのが「Zoom」だ。会議の録画やデスクトップ/特定のウィンドウ共有をサポートしているほか、テキスト入力や手書きをサポートしたホワイトボード機能まで用意されている。またカスタム背景をサポートしていることも魅力だろう。

 ただ無料版の場合、1対1でのミーティングは無制限だが、グループミーティングは40分までに制限されている。業務で本格的に利用したいといった場合には、「プロ」や「ビジネス」などの有料プランの利用が前提となるだろう。またZoomはセキュリティ上の問題が指摘されており、海外ではZoomの利用を禁止する組織も出ている。こうした点も踏まえ、利用するかどうかを判断したい。

Zoomのオンライン会議中の画面。「セキュリティ」ボタンをクリックすると、参加者に許可する機能の選択や特定の参加者の削除が行なえる
ホワイトボードを開いたところ。テキストや手書き文字に加え、図形の描画にも対応する。会議の内容をメモしておくといった用途で使えるだろう

WebEx Meetings

 企業向けのオンライン会議システムで高いシェアを誇っているのが、シスコシステムズの「WebEx Meetings」だ。無料版と有料の3つのプランがあるが、無料版でも1つの会議に100名まで参加できるほか、1会議あたり24時間まで、かつ回数無制限で利用可能となっている。

 機能も豊富でデスクトップや特定のウィンドウを共有できるほか、共有した画面に対して注釈を書き込むことが可能であるなど、多彩な機能を持つ。またウィンドウではなくファイルを指定し、その内容を共有するといった仕組みも用意されている。

WebEx Meetingでは、デスクトップ全体のほか、特定のウィンドウを共有したり、ファイルを指定してその内容を表示したりすることができる
デスクトップやウィンドウを共有したさい、表示された内容に対してメモや図形を描き込む機能も備えている