特集

LTE対応モバイルノートのススメ

~LTE内蔵のメリットや、お勧めSIM/プランを紹介

 最近、薄型のノートPCや2in1 PCなど持ち運びが容易なPCにおいて「LTE対応」をウリにしているモデルが増えている。

 文字どおり「LTE対応」を謳うPCは、携帯電話事業者が提供するネットワークに接続し、移動中でもインターネット利用できるため、場所にとらわれず好きな場所で作業をしたい人にとっては魅力的な選択肢であることは間違いないだろう。

 「テレワーク」や「ノマド」など、オフィスにとらわれず好きな場所で仕事をすることを認めることも流行で、その際のPCの利便性を高めてくれるという点でも注目の機能といえる。

 筆者自身もフリーランスであり、特定の場所にとらわれることなく仕事をしている。発表会など外に取材に出ると始まるまでの時間や、予定と予定の間の時間は作業に充てたい時間であり、この際に活躍するのはノートPCだ。

 今まででもモバイルWi-Fiルーターやスマートフォンのテザリングを利用してネットに繋ぐことはできたが、同じような使い方をする記者の集まる場では混信してしまい接続が不安定になることにストレスを感じていた。

 また、日中の都市部の「Wi-Fiが使えるカフェ」は同じ目的で利用している人も多く座席が確保できないことも多い。

 そこで白羽の矢を立て、約2年半前にLTE対応のノートPCを購入。ノートPC単体でインターネットに繋がる利便性はかなり高く、購入して以降はWi-Fiに繋がりづらいストレスや、Wi-Fiを使える場所を探すストレスから解放された。

 モバイルWi-Fiルーターを持ち歩かない=忘れても平気なことは心理的にも楽と言えるし、スマートフォン側の料金プランもテザリング利用を前提とした大容量データプランや利用するためのオプションサービス代が浮いた。買い増ししたPCも購入時にLTE対応モデルに絞ってから選んだほどだ。

 これだけ便利だと周りでモバイルノートPCなどを買うさいにはすすめることも多く、またPCの買い換えを検討している人からLTE対応PC「設定方法」や「毎月の料金」についての質問を受けることも多い。

 そこで、今回はLTE対応PCを検討するにあたり、こうした質問への回答をまとめてご紹介していく。

選び方は「SIMフリースマホと同じ」

 「LTE対応のPC」と考えると新しいものに感じるが「SIMフリーのデバイス」と考えると馴染み深いという人も多いのではないだろうか。

 LTE対応を謳うPCの多くは国内の携帯電話事業者であるNTTドコモ、au、SoftBankの3社のSIMカード・ネットワークに対応している。

 例外的に特定の事業者で使えないものがあるかもしれないが、LTE対応を謳うPCであれば製品ページに「利用できる事業者」や「対応バンド」が掲載されているため、SIMフリースマートフォンを選ぶさいと同様に「使いたい携帯電話事業者」が、欲しい機種で利用できるかだけ確認すれば問題ない。

 また、ハードウェアとして気にするべき点は「SIMカードのサイズ」にも注意したい。

 筆者は現在、「ThinkPad X1 Carbon(2017)」と「Surface Go LTE Advenced」の2台のLTE対応PCを使用している。ThinkPad X1 Carbonは「microSIMカード」に、Surface Go LTE Advencedは「nanoSIMカード」と機種によってSIMカードのサイズが違う。このあたりもスマートフォンを選ぶさい、対応するSIMカードサイズを気にしないのと同じといえる。

 LTE対応PCを選ぶときは、上記にだけ気をつけ、後はCPUやメモリといったPCとしての性能を気にして好みの1台を選べばいい。

設定も「SIMフリースマホと同じ」

 続いてLTE搭載PCの設定について。

 これもSIMフリースマートフォンに、用意したSIMカードを設定する場合と行なうことは同じだ。

手順としては

 Windowsの設定→ネットワークとインターネット

の順に画面を進めていく。

 LTE搭載PCであれば左の項目に「携帯電話」が表示されるので、ここを選んで右画面の「詳細オプション」を選ぶと、より細かな設定やプロパティを確認する画面へ進むことができる。

 SIMフリースマートフォンであれば「接続情報」として入力を行なう「APN」の追加も、この進んだ先の画面に用意されている。

 「APNを追加する」を押した後は、用意したSIMカードのマニュアルや契約の控えのメール、事業者のWebサイトに入力すべきAPN情報がまとまっているため、それを入力すればLTE搭載PCで、携帯電話ネットワークに接続されインターネットの利用が可能になる。

 先にも書いたとおり「LTE搭載PC」と聞くと、まったく新しいものに触れるように感じるが、選び方や設定方法は画面こそ違えど「どの会社で利用できるか」、「どのサイズのSIMカードが対応するか」と「APN情報を入力する」だけであり、SIMフリースマートフォンを選ぶときに気にすること、設定を行なうこととそう変わらないことは理解頂けたはずだ。

気になる毎月の料金

 LTE対応PCの選び方や設定方法はわかった。

 次に気になるのは毎月の料金。これもSIMフリーであるメリットを活かし、通信速度や月間に利用できるデータ量から、用途と予算に合わせ好きなものを選んで利用できる。

 LTE搭載PCは通話はできないため、格安SIMと呼ばれる安価な通信サービスの中でも、さらに料金の安いプランや拘束期間の緩いプランから選んでいくのがいいだろう。

 筆者もいくつかの大手携帯電話会社、格安SIMを契約しているなかで、LTE搭載PCに挿しているSIMカードがUQ mobileの「データ高速プラン」だ。

 月額980円と安価で月間3GBまでのデータ通信が可能なので、急ぎで重たい写真を送りたいといった場合でも、通信速度に不満なく利用することができる。

 スマートフォンのようにLTE回線で動画を移動中に視聴するといった用途がなければ、多くの人は月間の高速通信は3GBもあれば足りるはずだ。

 もし3GBを超えるデータ容量を選びたい場合、楽天モバイルやIIJmioの格安SIMもLTE搭載PCに組み合わせる通信サービスとして人気が高い。5~6GBと、3GBプランのほぼ倍となる容量が使えて料金は1,500円程度と、料金までは倍にならないのもお買得度を感じるSIMカードとして検討するといいだろう。

 LTE搭載PCを買った場合、とにかく外で使い倒したいと考えているユーザーであれば月間のデータ容量に制限がないサービスや、従来の格安SIMにはなかった大容量を謳うサービスを選んでみてもいいだろう。

 上記のChat WiFi-SIMは月間に100GBまでは速度制限なしで利用できる格安SIMで、料金も2,980円と大容量の格安SIMとしては破格といえる。

臨機応変に選べるデータSIMの契約

 ここまでに紹介したLTE搭載PCで使えるSIMカードはどれも「月額」での契約(ポストペイド)となる。

 日常的に使い続けるのであればこれでも十分だが、一時的に使いたいという場合や、通信コストまで含め稟議を通さないとLTE対応PCを購入できないケースもあるだろう。

 たとえばVAIOが提供する「VAIOオリジナル SIM」は有効期限が設けられた買い切り式のSIMカードだ。

 1年間から3年間の期限が設けられており、購入時に期間分の料金を先払いするプリペイド式のサービスとなっている。

 最初に支払う金額として考えると高く見えるが、1カ月あたりで見ればどれも毎月1,000円ほどとここまでに紹介した月額契約のSIMカードと、そこまでコストに差はない。

 先にも書いたとおり、LTE搭載PCと通信料を足したコストで稟議を通さないといけないような場合は、こうしたプリペイドサービスを選ぶこともできる。

Surface Pro LTEモデル

 また、Surface ProのLTEモデルなど、一部のLTE搭載PCは「eSIM」に対応している。

 たとえば物理的なSIMカードには月額契約のSIMカードを取り付けつつ、海外渡航時など一時的に現地の通信サービスを利用したい場合に、プリペイド契約として数日間の有効期限のある契約を利用できるようにするといったことが可能だ。

 また、eSIMに対応したLTE搭載PCは、Windowsの設定やMicrosoft Storeを介して簡単にデータプランの契約や容量の追加を行なうこともできる。

 急な外出で一時的に単体で通信を行ないたいといったニーズに応えることもできるため、今後eSIMに対応するモバイルPCや2in1 PCが増えてくれば、利便性はより大きく向上するのではないだろうか。

 冒頭にも書いたとおり、筆者自身LTE搭載PCを手にしてからその便利さに病みつきになり手放せないものになっている。

 Windows 7のサポート期間が切れるなど、これからPCの買い換えを検討するさいに、持ち出すことがある1台を選ぶのであれば、LTE搭載PCを検討してみてはいかがだろうか。