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MIT、地震/津波に耐えられる海洋浮遊型原発を考案

4月16日(現地時間)発表

 米マサチューセッツ工科大学(MIT)原子力科学工学学部のJacopo Buongiorno教授、Michael Golay教授、Neil Todreas教授らは16日(現地時間)、地震および津波に耐えられる海洋浮遊型の原子力発電所のコンセプトを発表した。

 この新型原発は、造船所で建設した後、海岸から数km離れた場所へ移送し、繋留。陸地への送電は海底に敷設した電線を利用する。すでに成熟した軽水炉と海洋石油プラットフォームの技術を用いることで、技術リスクを最小限に抑えられる。

 浮遊型の利点は、地震の直接の影響を受けないことと、津波に耐えられる点にある。しかし、最大の利点は無尽蔵にある海水をヒートシンクとして利用することで、緊急時に炉心を冷やし、メルトダウンを防げる点にある。福島第一原発の事故は、地震や津波によって直接もたらされたものではなく、炉心を冷却することができなかったことに起因している。

 また海洋に置くことで、立地の問題を解消でき、廃炉の際にも陸地に簡単に戻すことができる。造船所で建設できる規模についても50MWだろうが1,000MWだろうが、限界はないという。ちなみに、海洋浮遊型原発のアイディアはこれが初めてではなく、すでにロシアが建造を行なっているが、ここまで海岸から離れておらず、津波の影響を受けてしまうという。

 MITでは、こういった原発は、津波の危険性が高く、電力需要が急増している日本を含むアジア地域に好適だとしている。

(若杉 紀彦)