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【懐パーツ】PC-9821向けSCSIカードの定番、「アイ・オー SC-UPCI」

SC-UPCI。左が-3、右が-5BS版

 今回はアイ・オー・データ機器製のUltra SCSI対応のPCI拡張カード、「SC-UPCI」を紹介する。

 市場には多くのSCSIカードが存在するが、SC-UPCIシリーズはDOS/V互換機のみならず、PCIスロットを備えたPC-9821シリーズでも使えるのが特徴。ドライバの提供に加え、PC-9821とDOS/V両対応のデュアルBIOSを搭載し、自動的に判別して切り替えられるのが特徴だ。

 このSCSI BIOS上から高速フォーマット、書き込み禁止、同期転送速度、ディスコネクト許可などをSCSI IDごとに設定可能なのも特徴。PC-9821向けのBIOS設定メニューでは、日本語表示に対応している。このため、後期PC-9821向けSCSIカードのデファクトスタンダードとなった。

 本機はSCSIホストバスコントローラとしてSymbios Logicの「53C875」を採用している。Symbios LogicはNCRの一部門として1972年に設立されたが、後にAT&TとHyundai Electronicsの手を渡って、1998年にLSI Logicに統合された。

 このため、SC-UPCI自身も前期はSymbiosのロゴが入ったチップだったが、後期はLSI Logicのロゴが入ったチップに変わり、型番も「53C870」へと変わっている。しかも、SC-UPCIにはいくつかのバージョンがあるようで、基板レイアウトも異なる。ただ、機能や性能的には変わりないようだ。

 今回入手したのは、基板上に「SC-UPCI-3」と書かれたバージョンと、「SC-UPCI-5BS」と書かれたバージョンの2つ。時期的にも-3のほうが早期(1998年デザイン)、-5BSのほうが後期(1999年デザイン)のようで、-3は日本製、-5BSはマレーシア製となる。SC-UPCIは登場時23,800円だったが、最終的に9,500円まで値下げしている。これには生産拠点を海外に移設したことによる影響も少なくないだろう。

SC-UPCI-3
SC-UPCI-5BS
SC-UPCI-3はSymbiosのロゴ入り
SC-UPCI-5BSはLSIロゴ入り(Symbiosの記述も見える)
SC-UPCI-3は日本製、SC-UPCI-5BSはマレーシア製
SC-UPCI-3のコネクタはWide SCSI用とSCSI用が横並びだ
SC-UPCI-5BSでは縦に並ぶので、基板面積が削減されている

 基板上にはAMDのEE CMOS「PALCE16V8」、STMicroelectronicsの1Mbitフラッシュメモリ「M29F100B」、東芝のフリップフロップ回路「VHCT374A」、Maxim IntegratedのSCSIターミネータ「DS2105Z(-3)/DS21T05(-5BS)」などが見える。このあたりの採用パーツは共通だ(コネクタの採用メーカーは若干異なるが)。

 ちなみに公式のサポートOSはWindows XPまでとなっているが、64bit版のWindows 10でも、なにもしなくても自動的にドライバがダウンロードされ使用できる。ただ、編集部の環境(マザーボードはGA-X150M-PRO ECC)、SC-UPCI-3では、BIOS設定ジャンパーの1-3をオープンにする必要があった。

 公式の説明書では、1-3と2-4がセットでオープンがクローズかとなっており、オープン時はBIOS無効、クローズ時はBIOS有効となる。しかし編集部の環境で両方をオープンもしくはクローズに設定すると、いずれもデバイスマネージャーで「リソースが不足しています」というエラーメッセージが出て利用できなかった。

 1-3と2-4ともにBIOSの有効/無効であるという記述自体は説明書にあるのだが、おそらく1-3がPC-9821向けBIOS、2-4がDOS/V向けBIOSの有効/無効である(説明書にないので確証はない)。いずれにしても、Windows 10の64bit環境でレガシーのSCSIデバイスが使える、貴重なSCSIカードである。

AMDのEE CMOS「PALCE16V8」(写真はSC-UPCI-3より)
STMicroelectronicsの1Mbitフラッシュメモリ「M29F100B」(写真はSC-UPCI-5BSより)
東芝のフリップフロップ回路「VHCT374A」(写真はSC-UPCI-5BSより)
筆者の環境では1-3をオープンにしないと起動しなかった