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iPhone自作エンジニア、今度は16GBから128GB NANDへ張り替えに挑戦

 ロジックボード上のフラッシュメモリをつけかえることでiPhoneのストレージ容量を増やす。字面だけならなんとなく簡単そうに思えるが、指先程度の大きさのチップだけを正確に除去し、ショートさせることなく新しいチップを取り付けることは大変むずかしい。

 そんなフラッシュメモリのつけかえに挑戦したのは、中国深センでパーツをかきあつめてiPhone 6を自作し、iPhone 7を改造してヘッドフォン端子をつけたエンジニアのスコッティ・アレン氏(過去記事 "中国深センでスペアパーツをかき集め、1からiPhone 6sを自作したエンジニア" "情熱のハッカー。フレキ基板まで自作し、数カ月をかけiPhone 7へのヘッドフォン端子内蔵に成功")。

 アレン氏はもともと実装されていた16GBのフラッシュメモリを128GBのチップにつけかえるため、双眼実体顕微鏡や専用のロジックボードホルダー、リワーク用のマスク、フラッシュメモリエディタなど多額の投資をしている。チップ自体は25ドル程度ではあるが、器具などはそれなりに高価だと思われる。

 また、見よう見まねで挑戦するとロジックボードを破壊してしまう可能性もあるため、練習用のロジックボードも購入。業者に作業を依頼するよりも、明らかにコストも時間もかかっているが、自らの手でやり遂げることには代えがたいようだ。

ホットエアで取り外されるチップ
双眼実体顕微鏡を使いつつ作業するアレン氏

 具体的な作業は、ロジックボードからもとのフラッシュメモリをホットエアーガンではんだを溶かすことで取り外し、IMEIやOSなどを書き込んだ新しいチップをのせ、加熱してはんだ付けしなおすというもの。

 ロジックボード上にはさまざまな極小のチップ部品が実装されており、フラッシュメモリの近傍のそうした部品を過熱したり、誤って外してしまわないよう慎重に作業する必要がある。

 そのため、10回の練習の間にアレン氏はコインをロジックボード上にのせ、チップ部品を保護する方法を編み出している。直接ホットエアーを当てなくとも熱が伝わってはんだが溶融してしまう可能性があるためだ。

 氏のiPhoneで行なった「本番」では4つほど基板のパッドがもげてしまうなどのハプニングはあったが、どうやら直接動作に関係がないパッドだったようで、動画の最後には無事起動が確認されている。

フラッシュメモリに直接アクセスできるデバイス。ちなみに、このデバイスはなぜか操作手順?などを中国語で喋るようだ(動画中2:44~)。
練習用に使われた10枚のジャンクロジックボード
容量の増加がOS上で確認され、喜びを全身で表現するアレン氏