やじうまPC Watch

Apple、Macで「脱Intel」を計画か。海外報道

本体に対し、非常に小さいことで知られるMacBookのロジックボード

 Bloombergは3日、Appleが2020年初頭を目標に、Macに自社製CPUの採用を計画していると報じた。同社は2005年にMacへのIntel製CPUを採用し、PowerPCから転向して以来、Intel製CPUを使用しつづけている。

 Bloombergによれば、コードネーム「Kalamata」と呼ばれるこの計画は、すでに経営陣からの承認を得ているが、まだ初期段階である。2020年初頭に自社製プロセッサを搭載したMacをリリースし、段階的に移行を進めていく可能性が高いと報じた。

 実際にIntel製CPUから乗り換えるならば、Intelにとっては「長年の太客」を失うことになり、影響は大きいだろう。同誌の調査によると、Appleの注文はIntelの収益の5%を占めているという。

 Appleにとって、乗り換えは市場に受け入れられないリスクもあるが、メリットも大きい。メリットの1つとして考えられるのはMacの垂直統合化で、自社製品向けにカスタマイズしたプロセッサを搭載することで、ハードとソフト双方から歩み寄り、差別化につなげることが考えられる。

 事実、iPhoneやiPadには独自設計のSoCが搭載されており、Androidデバイスからの差別化を図ってきた。また、自社製OSを守ってきたAppleとしては、みすみすそのアドバンテージを活かさない手はない。iOSデバイスとMac間でユーザー体験を統一化し、エコシステム全体を強化する方針はそう不思議ではない。

 一方、過去に「わざわざ」PowerPCから転向した歴史があることも事実である。しかし、現在ではデバイスに求められるニーズも異なる。iPhoneとiPadが同社全体の売上高で70%を占めるのに対し、Macは売上高の11%を占めるに過ぎない(2017年度のデータによる)。

 さらに、競合の様子も変化している。2016年にMicrosoftは「ARM版Windows 10」を発表しており、2018年春に搭載製品が各社からの発売の予定となっている(過去記事も参照 "明らかになってきたArm版Windows 10の課題とそのメリット")。

 Macが自社設計SoCに乗り換えるならば、「Intel 対 AMD」や俗に言う「ウィンテル」時代の終焉を象徴するできごとになりそうだ。