イベントレポート

ARM、IoT開発を促進するCortex-MベースのサブシステムIP

Cortex-MベースのIoT向けサブシステム例

 英ARMは1日(台湾時間)、IoT(Internet of Things)デバイスの開発を促進する、Cortex-Mプロセッサを中核としたサブシステムIPのライセンス提供を開始した。

 このサブシステムのIPには、Cortex-Mをベースとしたプロセッサコアに加え、4月に買収したSunrise Micro DeviceによるCordio無線通信IP(Bluetooth 4.2対応)、そして物理のIPを備えており、ARMのmbed OSに最適化を施した。このIPライセンスを受けたデバイス開発ベンダーは、センサーなどの周辺機器を追加するだけで、IoT向けのSoCの設計が可能になる。

 独自のArtisan物理IPを使用しており、TSMCの55nm Ultra-Low Power(55ULP)プロセスに最適化。サブシステム全体の駆動電圧を1V以下に抑えることで、1.2V駆動品と比較してリーク電流を25%、ダイナミック電力を44%削減し、IoTに求められる長時間駆動に対応できるという。

 1日に台湾で開かれた戦略説明会には、同社Executive Vice President of Technical OperationsのDipesh Patel氏が、製品の特長について説明。コンピューティングの中心が、PCから始まってモバイルデバイス、そしてIoTに移り変わっていく環境の中、プロセッサへのニーズは、接続性や生産性だけでなく、セキュリティと電力効率が求められるようになってきたと指摘。このニーズに対しARMが提供するデザインIPで応えていくとした。

 また、実際にこのIPを利用したボタンサイズ大のデザインキットを披露。小型サイズを実現しながらバッテリを搭載しているのも特徴だ。ARMはライセンスを販売する会社なので、実際にこのモジュールを販売するわけではないが、ほぼ1円玉のサイズで無線通信可能なサブシステムが実現できるという意味ではインパクトがあった。

Dipesh Patel氏
インターネットに接続するデバイスの増加
2009年辺りにはノートPCのユーザーが急増した
2010年からはスマートフォンやタブレットのようなモバイル端末が急増
2012年辺りから物のインターネットが開始
車内でインターネット環境を提供する車や、スマートホームも実現しつつある
IoT時代におけるニーズ
買収したSunrise Micro DeviceによるCordio無線IPを提供。Bluetooth 4.2をサポートする
バッテリ駆動時間を延長し、数年連続稼働するようなものにも対応する
IoT向けのCortex-Mサブシステム
Cortex-M3に適用した例。TSMCのプロセスルールに最適化しており、1V以下の電圧で動作し、1.2V駆動品と比較して駆動時の電流を44%、リーク電流を25%削減できるという
10台湾ドルコインと比較したところ。おおむね1円玉サイズを実現している

(劉 尭)