【COMPUTEX 2011レポート】
ASUSTeK、スマートフォンをタブレットに“合体”できる「Padfone」を披露

ASUSTeK ChairmanのJonney Shih氏

会期:5月31日~6月4日(現地時間)
会場:Taipei World Trade Center Nangang Exhibition Hall
   Taipei World Trade Center Exhibition Hall 1/3
   Taipei International Convention Center



●スマートフォンをタブレットの背面に装着可能な「Padfone」

 ASUSTeKは、COMPUTEX開幕前日となる5月30日(台湾時間)に、報道関係者向けのカンファレンスを開催。ここに登壇した同社ChairmanのJonney Shih氏が“ミステリープロダクト”として披露したのが「Padfone」だ。具体的な仕様等は公表されず、コンセプトモデルに近い紹介で、発売は年内が目標。スマートフォンとタブレットの両方のユーセージモデルをシームレスに利用できる製品としている。

 10.1型と見られるタブレットの背面にスマートフォン収納用のスペースを設けており、2つのインターフェイスによって両者が接続されていることを確認できた。

 3Gのネットワーク機能は統合されており、SIMカードは1枚で利用可能。おそらくスマートフォン側にネットワーク機能を備えており、タブレットへのドッキング時もそのまま利用しているものと推測される。

 同じようにストレージも1つのみ。これにより音楽、動画、写真などの持ち運びを容易に行なえるとしている。

 また、タブレットへのドッキング時は、タブレット側が持つバッテリを利用して、スマートフォンのバッテリを充電することができる。また、利用例紹介のビデオ内では、スマートフォンでのムービー視聴中にバッテリ切れが発生しても、タブレットに装着すればそのまま続きが観られる、といった使い方が紹介されている。

 カンファレンス内では、先述のムービー再生の例のほか、スマートフォンで撮影した写真をタブレットで見る、スマートフォンでWebブラウジングしていた状態でそのままタブレットにドッキングする、複数人がタブレットを囲んでビデオ会議を行なうなどの利用例が提示されている。

カンファレンスではタブレットに手を入れてスマートフォンを取り出す、という演出で製品が紹介されたショーケースに入れられた状態で触ることはできなかったが稼働モデルとされるPadfoneこちらはモックアップ。ドッキングの機械的な仕組みなどは、こちらを使って紹介された
こちらはスマートフォン。液晶サイズは不明だが4.3~4.5型程度ではないかと見られる、やや大きめの印象を受けたタブレットの背面に装着した状態。写真では隠れてしまっているが、タブレット側のカバーにレンズ穴があり、スマートフォン側のカメラを利用できるようになっているスマートフォンとタブレットとの間は2種類のインターフェイスで接続されていることがわかる
Padfoneはスマートフォン、タブレットの両方のユーセージモデルをカバーし、しかもシームレスに行き来できるものとしているタブレット側のバッテリを用いてスマートフォンのバッテリを充電可能

●裸眼3D表示液晶と透過ディスプレイ付きヘッドセットが特徴の7型タブレット

 1月に米ラスベガスで開催されたInternational CESにおいて、タッチパネルとタッチペンの両方に対応する7型液晶のHoneycombタブレットとして紹介された「Eee Pad MeMO」。この製品について、このカンファレンスでアップデートが紹介され、液晶パネルに裸眼3D対応のIPS液晶を採用して製品名を「Eee Pad MeMO 3D」とすること、「MeMIC」と呼ばれるヘッドセットを付属することが発表された。もちろんペンの利用が可能というコンセプトは従来どおりだ。

 裸眼3D対応液晶については、ショーケース内の展示機のみでデモが行なわれた。液晶の解像度は1,280×800ドット。裸眼3D視聴ができるエリアが広いこともアピールされた。

 ヘッドセットはAndroid上のアプリケーションと連動し、半透明パネルに連絡先などの情報を表示、選択できる仕組み。底面にmicroUSB端子とヘッドセット端子を備えており、充電はこちらのmicroUSBを通して行なう。タブレットとヘッドセットはBluetoothで接続される。

裸眼3Dへの対応と、ヘッドセット付属が発表された「Eee Pad MeMO 3D」ショーケース内の展示機で、裸眼3D表示したムービーの再生デモが行なわれた付属のBluetoothヘッドセット。上部の液晶は透明で持っている指が透けて見えるのが分かる。本体側のソフトウェアと連動し、連絡先の選択などが、こちらから行なえるようになっている
ヘッドセットの底面にはmicroUSBとヘッドセットジャックを備えるOSはAndroid 3.0。トップにはヘッドセットと連携するアプリ「MeMIC」、ペン入力を行なうアプリ「MyPainter」のアイコンなどが並ぶデモ機にインストールされていたアプリ一覧
ペンによる操作が行なえるというEee Pad MeMOの特徴はそのまま受け継ぐ本体脇にmicroSDおよびSIMスロット
本体下部にはHDMIとヘッドセット、microUSB端子背面にはWebカメラを備える

●最厚17mmのアルミノートや199ドルのMeeGoノート

 同カンファレンスにおいては、タブレット製品だけでなく、ノートPCの新製品も披露されている。

 Shih氏がカンファレンス全体において最初に製品紹介を行なったのが「UX Series」だ。ヘアライン加工されたアルミを外観全体に用いた製品で、最薄部3mm~最厚部17mmというスリムボディを特徴とする。重量は1.1kg。

 CPUはSandyBridge世代のCoreプロセッサ。ストレージはSATA 6Gbps対応のSSDを搭載し、これは世界初としている。

 また両側面に1基ずつUSBポートを備えるが、うち1基はUSB 3.0に対応。さらに高速充電機能も備えている。

アルミでユニボディ成形したUX Seriesキーボード部と液晶周辺を除いてはアルミを用いており、表面はヘアライン加工が施されている左側面にMini DisplayPort、USB 2.0、ヘッドフォン端子を備える
右側面にはHDMI、USB 3.0、マイク入力を備える真横に近い位置から見た状態。液晶部の薄さが分かるこちらは液晶パネルを閉じた状態で横から見たもの

 また近年のASUSTeKのカンファレンスでは欠かせない存在となっているEee PCについては、今回も新製品を紹介。「Eee PC X101」は重量950g、薄さ17.6mmの製品。CPUはAtom N435としており、1.3GHzで動作するという。

 OSにMeeGoを採用することで、199ドルからという低価格を実現したのが大きな特徴。OSはMeeGoのほかWindowsもオプションで選択できるほか、ストレージもHDD、SSDから選択できるとしている。

スタート価格199ドルという低価格で提供される「Eee PC X101」OSはMeeGoを採用。デモ機でもMeeGoを動作させていたが、Windows搭載モデルも提供される予定
右側面にはmicroSDスロット、ヘッドセット端子、USBを備えている左側面はUSBと電源のみ

 ASUSTeKでは以前よりSonicMasterと呼ばれるオーディオ技術をマルチメディア向けノート製品を中心に提供してきたが、これをメインストリームにも提供する製品という位置付けで、ノートPCの「N Series」、All-in-one PCの「ET2700XVTS」を紹介した。

 このうちN Seriesは15型モデルと17型モデルが提供され、いずれにもサブウーファが付属する。表面は光沢のあるデザインとなっている

15型モデルの「N55SF」。SonicMaster技術によるオーディオが売りで、キーボード上部のスピーカーも広いエリアを占有しているこちらは17型モデルの「N75SF」
N SeriesのノートPCに付属するサブウーファこちらは同じくSonicMaster技術が適用される27型All-in-one PC「ET2700XVTS」

●Kinect風のモーションセンサー「WAVI Xtion」をデモ

 このほか、International CESにおいて紹介された、モーションセンサーデバイス「WAVI Xtion」のデモも行なわれている。コントロールユニットと2基のカメラを内蔵したユニットの組み合わせで動作し、ジェスチャーによってPCを操作できる。

 これまでゲームによるユーセージが中心に語られてきたが、今回はコンテンツ利用のインターフェイスが公開されたほか、Webブラウザの拡大・縮小をジェスチャーによって行なうといったデモも披露。

 すでに開発者向けモデルである「Xtion PRO」は提供を開始しており、Shih氏は引き続き開発者の参入に期待を寄せた。

TV左下のシルバーのユニットがコントローラ部、中央の黒いものが2基のカメラを内蔵するユニット。この組み合わせで動作するこちらは、これまでにも数回披露されているゲームの操作をジェスチャーで行なうデモこちらはコンテンツを利用するためのWAVI Xtion向けインターフェイスのデモ
Xtion用のWebブラウザのデモでは、手の平をカメラに向けて円を描くように動かすことで拡大・縮小が行なえることを示した開発者向けのXtion PROは提供済み。開発者向けに対応ソリューションのコンテストも実施し、参入を促している

(2011年 5月 31日)

[Reported by 多和田 新也]