【COMPUTEX 2009レポート】
会場で見かけたMini-ITXケース
~液晶裏に取り付けられるケースや、HTPC向けケースなど

液晶ディスプレイ裏に取り付けて利用できるIN-WIN「BQ656」

会期:6月2日~6日(現地時間)
会場:Taipei World Trade Center Nangang Exhibition Hall
   Taipei World Trade Center Exhibition Hall 1/3
   Taipei International Convention Center



 Atomマザーボードの登場以降、Mini-ITXケースがかなり豊富になっており、展示会場でも、多くのケースメーカーがMini-ITXケースを展示しているのを見かける。ただ、既に発売済みのものや、他社製品のOEMと思われるものがかなり多く、実際には同じようなものばかりという印象も受けた。とはいえ、その中にもいくつかの新モデルや日本で見かけないモデルを見つけたので、それらを紹介していこう。

●IN-WIN

 IN-WINは、2種類の新Mini-ITXケースを展示していた。

 1つは、ケースサイドにVESAマウンタ対応のアダプタが取り付けられ、液晶ディスプレイ裏に設置して利用できる「BQ656」だ。サイズは、225×193×75mm(幅×奥行き×高さ)と非常にコンパクトで、ドライブベイは、スリム光学式ドライブと2.5インチHDDベイが1個ずつで、拡張スロットは存在しない。また、ドライブベイは、マザーボード設置面の裏側に用意されている。本体手前上部にUSB 2.0×2とサウンドのコネクタが用意され、液晶裏に取り付けた場合に対応するため、これらコネクタを手前に引き出すアダプタも付属する。電源は、80Wの内蔵電源搭載モデルと80WのACアダプタ搭載モデルが用意される。ファンレス仕様で、ファンの設置スペースは用意されておらず、電源容量も小さいため、基本的にはあまり発熱の大きなシステムは搭載できないと考えた方がいいだろう。

 もう1つの製品は「BP655」で、こちらは比較的一般的な仕様のケースだ。サイズは、265×310×100mm(同)とコンパクトながら、5インチベイと3.5インチHDDベイを1個ずつ、Low Profile対応の拡張スロットを1本備える。電源は、200Wと比較的大容量のTFX電源が搭載されるが、電源ファンは回転数のコントロール機能によって静音性に優れるとされている。また、本体右側面には8cm角ファンも取り付けられており、冷却能力も申し分なさそう。これなら、比較的発熱の大きなスペック重視のシステムにも十分対応できるだろう。

 発売時期は双方とも来月を予定しているが、価格はまだ未定だそうだ。

ケース内部の様子。こちらはマザーボードを取り付ける面。内蔵電源は80Wで、ACアダプタモデルも存在するマザーボード取り付け面の裏に、スリム光学式ドライブと2.5インチHDD用のドライブベイがある背面。拡張スロットは用意されない
底面には、液晶ディスプレイ裏の固定するための亜ダッチ面とが取り付けられる。また、液晶裏に取り付ける場合に備え、USBなどのコネクタを引き出すアダプタも付属こちらは、一般的な仕様のスリムケース「BP655」ケース内部の様子。5インチベイと3.5インチベイが1個ずつある。また、ドライブベイ奥に8cm角ケースファンが見える。電源は、静音性重視の200W TFX電源を搭載
背面。Low Profile対応の拡張スロットを1本備えるこちらは、既に発売されている「MB639」をベースに、女性向けのカラーリングを施した「Diva」シリーズだ
内部や搭載する電源などの仕様は、MB639と全く同じとなるこちらも、「MB639」をベースとする女性向けモデル「Wavy」。黒のモデルも用意されている

●CFI

 CFIも2種類の新型Mini-ITXケースを展示。双方ともキューブタイプのケースで、ドライブベイに余裕のある点が大きな特徴となっている。

 「CFI-A9849」は、2基のホットスワップ対応3.5インチHDDベイを搭載する点が最大の特徴。フロント部を開くとベイが現れ、正面からHDDの交換が可能。加えて、5インチベイと3.5インチシャドウベイも1個ずつ備えており、豊富なドライブが搭載可能だ。電源は220WのSFX電源を搭載し、フロントに8cm角ファン、背面に5cm角ファンが2個搭載されているため、発熱の大きなハイパワースペックのシステムも十分搭載できそうだ。ただし、CPUクーラーはロープロファイルのみが利用可能とされている点には要注意。本体サイズは、200×317×205mm(同)。

 もう1つは「CFI-A5869」で、こちらは、CFI-A9849からホットスワップ対応HDDベイを省いたモデルだ。それでも、3.5インチシャドウベイが3個用意されているため、ドライブの拡張性は同じと考えていい。また、大型のファンが搭載可能なので、より高いスペックのシステムも搭載可能だ。本体サイズや搭載電源など、その他のスペックはCFI-A9849と同じだ。

 発売時期は、双方とも6月末を予定しており、日本ではセンチュリーから発売される可能性が高い。日本での価格は未定だそうだ。

2基の3.5インチホットスワップベイを搭載する「CFI-A9849」フロントパネルを開くとホットスワップベイが現れる。また、フロントパネルには8cm角ファンが取り付けられているホットスワップベイはトレイ式だ
内部の様子。5インチベイと3.5インチシャドウベイも用意されている。ホットスワップベイの奥行きがあるため、CPUクーラーはロープロファイルのみが利用可能となる背面。5cm角ファンが2個搭載されている。電源は220Wと余裕がある。また拡張スロットも1スロット用意されている
こちらは、3.5インチホットスワップベイを省いた「CFI-A5869」内部の様子。3.5インチシャドウベイが3個用意され、多数のHDDを搭載可能。また、CPU上部に大きな空間が確保され、大型のCPUクーラーも搭載可能だ背面。搭載ファンや電源などの仕様はCFI-A9849と同じ。フロントの8cm角ファンも搭載されている

●LIAN LI

 LIAN LIは、3種類のMini-ITXケースのコンセプトモデルを展示していた。

 3種類ともスリムタイプのケースで、大きさや搭載電源、ドライブベイの仕様が異なっている。まず、最も大きなタイプは、横幅が大きいかわりに奥行きが短い、HTPC向けのモデルだ。300WのSFX電源を搭載しており、ハイエンドスペックにも対応。ドライブベイは5インチと3.5インチシャドウベイが1個ずつで、Low Profile対応の拡張スロットも用意。8cm角のケースファンも搭載される。

 次に、比較的コンパクトなモデル。こちらは、小型の300W電源を採用しており、先ほどのモデル同様にハイエンドスペックにも対応。ドライブベイも5インチベイと3.5インチシャドウベイが1個ずつで、同じくLow Profile対応拡張スロットも用意される。8cm角ケースファンも取り付け可能となっている。サイズ以外の仕様面は先ほどのモデルとほぼ同じだが、小型の電源を採用しているため、やや騒音が大きいそうだ。

 最後に、最もコンパクトなモデル。120WのACアダプタを利用するモデルで、ミドルレンジクラスのCPUに対応。ドライブベイは、スリム光学式ドライブと2.5インチHDDベイが1個ずつだ。また、非常に薄いにも関わらず、Low Profile対応拡張スロットが1本用意されている。ケースファンは、4cm角ファンが搭載可能だ。

 どれも、まだ型番も付いていないコンセプトモデルではあるが、発売は7月を予定しているそうだ。価格は未定。

最も大きなHTPC向けのケース内部の様子。5インチベイと3.5インチシャドウベイを1個ずつと、Low Profile対応拡張スロットが用意されている300Wの電源を搭載し、ハイスペックにも対応。リアに8cm角ケースファンが取り付けられている
サイズ的に中間に位置するモデル。スペック的には、HTPC向けモデルを小型化したものとなる内部の様子。ドライブベイは5インチベイと3.5インチシャドウベイが1個ずつ。奥行きが長いため、光学式ドライブを取り付けても大型のCPUクーラーが余裕で搭載できそうだ背面。Low Profile対応拡張スロットを用意。小型電源は、容量は300Wだが、騒音はやや大きいそうだ
3つの中で最もコンパクトなモデル。高さが低く、省スペースマシンに最適だ内部の様子。ドライブベイはスリム光学式ドライブと2.5インチHDDが1個ずつ。薄いものの、Core 2 Duo付属のリテールCPUクーラーは十分搭載可能のようだ電源は120WのACアダプタが付属。Low Profile対応拡張スロットも用意されている

●Winsis

 こちらは、Winsisの小型Mini-ITXケースだ。正確なサイズは不明だが、Mini-ITXマザーボードをひと回りほど大きくした程度と、かなり小さい。ドライブベイはスリム光学式ドライブと2.5インチHDDが1個ずつで、当然拡張スロットは存在しない。電源は65WのACアダプタを利用するそうだ。左右側面及び上部天板にメッシュ状の大きな吸気口が設けられており、ファンレス仕様前提かと思ったものの、右側面にケースファンが取り付けられている。電源容量からも、Atomマザー向けのケースと考えた方がいいだろう。発売時期は7月を予定、価格は未定だそうだ。

Winsisの小型Mini-ITXケース。型番は不明内部の様子。Mini-ITXマザーボードよりひと回り大きい程度で、かなりコンパクトだ
ドライブベイはスリム光学式ドライブと2.5インチHDDが1つずつで、マウンタごと取り外しが可能だ。また、内部右側面にケースファンも見える背面。サイズが小さく、拡張スロットは用意されない

●akasa

 akasaのスリムMini-ITXケースだ。製品は2種類展示され、いつは「Enigma」、もう1つは「Crypto & Virgo」。CryptoとVirgoは、正面パネルによって呼び名が異なるだけで、その他の仕様は全く同じとなる。

 どちらもかなりスリムなケースだが、Enigmaのほうがよりコンパクトだ。Enigmaのサイズは、230×210×65mm(同)。対するCrypto & Virgoは、240×220×68mm(同)。内部の仕様はどちらもほぼ同じで、スリム光学式ドライブと2.5インチHDD用のドライブベイが1個ずつ用意され、拡張スロットは用意されない。また電源には80WのACアダプタが付属する。双方とも空冷ファンが取り付けられているが、Enigmaは4cm角ファン、Crypto & Virgoは6cm角ファンとなるため、静音性を気にするならCrypto & Virgoのほうが良さそうだ。

 ちなみに、ヨーロッパでは既に発売されており、イギリスでは60ポンド前後で販売されているようだ。ただし、日本での発売は未定だそうだ。

akasaのスリムなMini-ITXケース「Enigma」内部の様子。スリム光学式ドライブと2.5インチHDD用のベイが1つずつ用意され、4cm角のケースファンも取り付けられている。電源は80WのACアダプタとなるこちらは、Enigmaより若干大きな「Crypto & Virgo」。正面パネルの違いで名前が変わる。内部の仕様は、Enigmaとほぼ同じだが、ケースファンは6cmとなる

●OrigenAE Technology

 HTPC向けPCケースを多数発売しているOrigenAE Technologyのブースで、HTPC向けのMini-ITXケースを発見。「M10」という製品で、240×250×106mm(同)とコンパクトなケースだ。ただし、肉厚アルミボディのため、重量は約3kgと見た目とは裏腹にかなり重い。

 拡張ベイは、スリム光学式ドライブが1個と2.5インチHDDベイが1個で、Low Profile対応の拡張スロットも1本備える。3.5インチHDDは取り付けられないが、これに関しては、サイズ的に搭載が無理ということと、静音性を重視するためとの説明だった。空冷ファンは、右側面に6cm角の静音ファンが取り付けられており、左側面にも6cm角ファンが取り付け可能。本体前面には、再生データなどの表示機能も搭載されている。電源はACアダプタで、容量は150Wと比較的余裕がある。展示品にはCore 2 Duoが搭載されていたが、比較的パワフルなスペックも十分収納できそうだ。

 アルミ筐体ということもあるが、デザイン性に優れ、成形も申し分なく、今回見つけたMini-ITXケースの中では最も魅力のある製品に思えた。発売時期は7月頃、価格は200ドル前後を予定しているそうだ。

OrigenAEのHTPC向けMini-ITXケース「M10」。サイズはコンパクトだが、肉厚アルミボディで、重量は約3kgとかなり重い。正面にはデータ表示機能を搭載内部の様子。ドライブベイはスリム光学式ドライブと2.5インチHDDが1個ずつ。6cm角の空冷ファンを左右に1個ずつ(標準は1個のみ)搭載可能。電源は150WのACアダプタが付属背面。Low Profile対応の拡張スロットも1本備えている

(2009年 6月 4日)

[Reported by 平澤 寿康]