【COMPUTEX 2012】SSD編
~Link_A_Media製コントローラ搭載製品や、mSATA、PCI Express型など

会期:6月5日~6月9日(現地時間)
会場:Taipei World Trade Center Nangang Exhibition Hall
   Taipei World Trade Center Exhibition Hall 1/3
   Taipei International Convention Center



●OCZ Technology

 OCZ Technologyは2.5インチサイズのSSD新モデルを3製品展示した。まず1製品目は、「Agility 4」。4月に登場した最新SSD「Vertex 4」と同じ、Indilinx製コントローラ「Everest2」を採用する廉価モデルで、非同期型MLC NANDフラッシュメモリを採用することでコストを抑えている。

 接続インターフェイスはSATA 6Gbpsで、転送速度はシーケンシャルリード/ライトともに最大400MB/sec、4KBランダムリード最大58,000IOPS、4Kランダムライト最大85,000IOPSと、Vertex 4より若干遅くなっている。容量は64GB、128GB、256GB、512GBが用意される。日本では既に販売が始まっている。

 2製品目は、「Vertex 3 Low Profile」。製品名のとおり、高さが7mmと薄型ボディを採用するVertex 3のバリエーションモデルで、Ultrabookなど薄型ノートPCに対応する。また、今後は他の製品でも厚さ7mmのモデルを順次投入していく予定。SSDとしての仕様は、Vertex 3と同じ。夏以降の発売を予定しており、価格は未定。

 3製品目は、「Vertex Plus R2」。コントローラにIndilinx製の「Barefoot 2」と、非同期MLC NANDフラッシュメモリを採用するエントリーモデル。接続インターフェイスはSATA 3Gbpsに対応し、転送速度はシーケンシャルリード/ライトともに最大255MB/sec、4KBランダムリード最大22,000IOPS、4Kランダムライト最大12,000IOPS。

 次に、エンタープライズ向けのPCI Expressカード型SSD「Z-Drive R5」。Marvell製コントローラとOCZのファームウェアを組み合わせた、PCI Expressインターフェイス対応の「Kilimanjaro」プラットフォーム「88NV9145-OCZ」を採用。

 ベース基板には8個のコントローラを搭載、追加基板を搭載することで最大16個のコントローラが搭載され、RAID 0構成で動作する。NANDフラッシュメモリの種類は固定されておらず、SLC、eMLC、MLCなどユーザーの要望によって柔軟に対応し、容量は最大12TB。接続インターフェイスはPCI Express Gen3で、Gen3対応は世界初としている。

 転送速度は、シーケンシャルリード/ライト最大3GB/sec、4Kランダムライトは最大775,000IOPSに達する。またブースでは、実際にZ-Drive R5の稼働デモも行なわれ、実測でシーケンシャル3,146MB/sec、ランダム4K 768,000IOPSを記録。ファームウェアは現在も改良中で、今後さらに高速になるとしている。Z-Drive R5は年末頃の発売を予定しており、価格は未定。市販の予定はなく受注生産となる。

 最後に、ポータブルSSDドライブ「Lightfoot」。Z-Drive R5と同じ88NV9145-OCZを採用し、内部は2コントローラのRAID 0仕様となっている。またPCとの接続インターフェイスはThunderboltを採用。ボディは肉厚の金属製で、手に持ってみるとずっしり重く感じる。シーケンシャルリード/ライトは最大750MB/sec、ランダムIOPSは100,000IOPSに達する。容量は128GB、256GB、512GBを用意。発売時期や価格は未定だ。

Everest2を採用するOCZ製最新SSD「Agility 4」。非同期型MLC NANDフラッシュメモリを採用することで低価格化を実現シーケンシャルリード/ライト最大400MB/sec、、4KBランダムリード最大58,000IOPS、4Kランダムライト最大85,000IOPSと、Vertex 4より若干遅い厚さ7mmのボディを採用する「Vertex 3 Low Profile」。SSDとしての仕様はVertex 3と同じだ
厚さが7mmとなり、Ultrabookなどの薄型ノートにも搭載可能SATA 3Gbps対応のエントリークラスSSD「Vertex Plus R2」。Indilinxの「Barefoot 2」と、非同期MLC NANDフラッシュメモリを採用し低価格化を実現SATA 3Gbps対応ということもあり速度はそれほど速くないが、HDDのリプレース用としては十分な性能を備える
世界初PCI Express Gen3対応SSD「Z-Drive R5」Marvell製コントローラとOCZのファームウェアを組み合わせた「Kilimanjaro」プラットフォーム「88NV9145-OCZ」を、最大16個搭載しRAID 0構成で動作するブースでは、Z-Drive R5の稼働デモも行われた
シーケンシャル3,146MB/sec、ランダム4K 768,000IOPSと圧倒的な速度を発揮ポータブルSSD「Lightfoot」。Z-Drive R5と同じKilimanjaroプラットフォームを採用、2コントローラのRAID 0構成で動作するため非常に高速PCとの接続インターフェイスはThunderboltを採用

●Corsair

 Corsairは、SSDの新モデルを「NEWTRON」と「NEWTRON GTX」2製品を展示。この2製品は、Link_A_Media Devicesの「LM87800」というコントローラを採用する点が最大の特徴。Link_A_Media Devicesは、主にエンタープライズ向けのストレージ用カスタムSoCを開発しているメーカーだが、LM87800はコンシューマ向けSSD用コントローラとして新たに開発されたもので、エンタープライズレベルの安定性と高信頼性、高速なアクセス速度を実現している点が特徴。Corsairに独占供給されるという。信頼性の高さから、製品の保証期間は5年と、従来の製品より長期間の保証が設定されている。

 上位モデルとなるNEWTRON GTXでは、東芝製のToggle MLC NANDフラッシュメモリを採用し、アクセス速度はシーケンシャルリード最大555MB/sec、シーケンシャルライト最大500MB/sec、ランダムリード/ライト最大90,000IOPS。下位モデルのNEWTRONでは、通常のMLC NANDフラッシュメモリが採用され、やや速度は遅くなるそう。2.5インチサイズで厚さは7mm、接続インターフェイスはSATA 6Gbps。7月中旬の発売を予定しており、価格は未定。

Corsairの新SSD「NEWTRON GTX」。Link_A_Media Devices製コントローラ「LM87800」と東芝製のToggle MLC NANDフラッシュメモリを採用し、高い信頼性と安定性、高速アクセスを実現。保証期間も5年と長いこちらは下位モデルの「NEWTRON」。コントローラはNEWTRON GTXと同じだが、通常のMLC NANDを採用し若干速度が遅い
本体の高さは双方とも7mmで、Ultrabookなどの薄型ノートにも対応ランダムアクセス速度は実測で86,000IOPSを超える

●ADATA

 ADATAは、同社SSDの最上位モデルとなる「SX910」を展示。すでに発売中のSX900同様、コントローラにSanForce SF-2281、Intel製MLC NANDフラッシュメモリを採用し、データ転送速度もシーケンシャルリード最大550MB/sec、シーケンシャルライト最大530MB/sec、ランダムライト最大85,000IOPSと同じ。ただ、製品品質が高められているそうで、SX900では保証期間が3年なのに対し、SX910は5年となっている点が相違点だ。容量は64GB、128GB、256GB、512GBが用意され、7月発売予定。価格は未定。

 また、mSATA SSDの新製品「XGP SX300」と「Prime Pro SP300」も展示されていた。XGP SX300は、SandForce SF-2281採用でSATA 6Gbps対応のmSATA SSDだ。速度は、シーケンシャルリード最大550MB/sec、シーケンシャルライト最大520MB/sec、ランダムライト最大86,000IOPSと、SF-2281採用の2.5インチSSDとほぼ同等。容量は64GB、128GB、256GBを用意。

 Prime Pro SP300は、SandForce SF-2141を採用する、SATA 3Gbps対応のmSATA SSD。SATA 3Gbps対応のため、速度はシーケンシャルリード最大280MB/sec、シーケンシャルライト最大260MB/sec、ランダムライト最大46,000IOPSと若干低速。こちらは24GB、32GB、64GBを用意し、XGP SX300よりも安価に販売される。

 これらmSATA SSDの2製品は、OEM用ではなく一般向けに販売される製品だ。ADATAがmSATA SSDをリテール販売するのはこれが初となる。最近では、mSATA採用のノートPCやマザーボードが多く発売されるようになっており、今後はそういった製品に対するSSDの搭載用途としてmSATA SSDの需要が増えると判断しての参入だそうだ。発売時期は7月頃で、価格は未定。

ADATA最新SSD「SX910」(左)。基本的なハードウェア構成は右のSX900と同等だが、品質が高められているそうで、保証期間も5年となっているADATA初のリテール向けmSATA SSD「XGP SX300」。SATA 6Gbps対応で、2.5インチSSDと同等の速度を発揮SATA 3Gbps対応のエントリー向けmSATA SSD「Prime Pro SP300」。Intel Smart Response Technologyでの利用がメインとなるだろう

●PLDS

 PLDS(Philips & Lite-On Digital Solutions)は、PLAEXTORブランドのSSD新製品「M5S」を展示した。高速SSDとして人気の高い「M3P」の下位に位置付けられる、メインストリーム向けの製品。コントローラにはM3と同じMarvellの「88SS9174」を採用。また、Micron製のMLC NANDフラッシュメモリを採用する。

 速度は、シーケンシャルリード最大520MB/sec、シーケンシャルライト最大380MB/sec、ランダムリード最大73,000IOPSとランダムライト最大70,000IOPSと、M3Pより遅くなっている。メインストリーム向けながら保証期間が5年と長い。容量は64GB、128GB、256GBの3モデルをラインアップ。6月下旬から7月にかけて発売を予定しており、価格は未定。

PLDSのPLEXTORブランドSSD新モデル「M5S」。M3Pの下位に位置付けられる、メインストリーム向けの製品だMicron製のMLC NANDフラッシュメモリを採用しており、M3Pよりやや速度が遅くなっている保証期間は5年とM3Pと同じ

(2012年 6月 11日)

[Reported by 平澤 寿康]