【MWC 2012レポート】【Huawei編】
独自クアッドコアCPU搭載世界最速スマホを発表
~“Tegra 3より高速で低消費電力”。搭載タブレットも公開

「Ascend D quad」

2月26日(現地時間)発表



 中国Huawei DeviceはMWC 2012開幕前日の26日(現地時間)、独自開発したクアッドコアCPU「K3V2」を搭載するスマートフォン「Ascend D quad」シリーズを発表会を開催。同社会長のRichard Yu氏が説明を行なった。

 K3V2について、発表会では詳細な説明はなかったため、どのようなアーキテクチャなのか、どれくらいのプロセスルールを採用しているのかなどは不明であるが、4基のCPUコアと16基のGPUコアを内蔵するハイエンドプロセッサとなる。CPUのクロックは1.2GHzと1.5GHzの2種類が用意。GPUについてはパートナーが開発したIPを採用しているという。

 高速なコアを複数搭載することで、従来のデュアルコア搭載スマートフォンはもとより、同じクアッドコアであるNVDIAのTegra 3に比べても通常の操作で約49%、グラフィックスに至っては2倍以上高速というベンチマーク結果を示し、Yu氏は「Ascend D quad」シリーズを“世界最速のスマートフォン”と表現した。

 なお、前述の通り、プロセッサの詳細は不明だが、64bitメモリアクセスに対応し、チップサイズは世界最小クラスとしている。

Richard Yu氏K3V2の概要通常アプリケーションのベンチマーク結果
グラフィックスベンチマークの結果3Dゲームにおけるフレームレート64bitメモリアクセスにも対応

 性能を引き上げるのと同時に、新製品ではバッテリ駆動時間の延長にも配慮。「AI(人工知能)技術」と呼ぶ省電力機能を実装し、コア管理をインテリジェントに行なうほか、リーク電流制御や、500μs単位でのリアルタイム電力スケーリングにより、CPUレベルで50%の省電力化を図った。

 また、同社のインフラ事業で培ったノウハウを活かし、より短い時間で電波信号を検知するアルゴリズムを搭載し、電波状況が悪く、消費電力が上がるというケースを減らした。これらにより、他社製品に比べ本体の消費電力を最大3割削減した。

 Ascend D quadの標準モデルは1,800mAhのバッテリを搭載するが、バッテリ駆動時間は1~2日に及ぶ。さらに、「Ascend D quad XL」は、2,500mAhの大容量バッテリを搭載し、最大で2~3日間の使用が可能という。なお、XLモデルについては、将来的にサイズを変えないままで3,000mAhに近い容量にまでさらに増やす予定があるという。

プロセッサの消費電力を半減より早く電波を捕まえて無駄な電力消費を減らす結果1~3日程度の運用が可能という

 性能面以外でも、音質・画質、そして扱いやすさにも注力した。液晶は720×1,280ドット表示対応の4.5型と、画素密度は330ppiとiPhone 4(326ppi)をわずかに超えながらも大型であるため、高精細な画面を頻繁な拡大/縮小を行なわずに閲覧できる。また、32bit True Color表示可能なIPS+パネルを採用し、高画質を実現。太陽光下でも見やすいとしている。また、背面カメラには裏面照射型800万画素CMOSセンサーを採用する。

 音質については、5.1chのDolby Mobile 3.0 Plusに対応。また、「earSmart」と呼ばれるノイズキャンセリング機能を搭載し、通話の音声品質も向上させた。発表会では、この音質についてもベンチマーク結果が数値で示され、GALAXY NuxesやiPhone 4Sよりも高品位な通話が可能だとした。

32bit表示対応IPS+パネル採用送出および受信音声のベンチマーク結果左から、雑踏、公園、カフェ、ライブハウスでのS/N比

 このほか、OSはAndroid 4.0、メモリ1GB、ストレージ8GB、130万画素前面カメラ、IEEE 802.11b/g/n無線LAN、Bluetooth 3.0+HSなどを搭載する。

 なお、ほぼ同じ構成でTI OMAP 4460(デュアルコア1.5GHz)を搭載する「Ascend D1」も用意される。

 本体サイズと重量は、D quadとD1が64×129×8.9mm(幅×奥行き×高さ)/約130g、D quad XLが64×129×10.9mm(同)/約150g。この64mmという幅は、従来の4.3型よりも狭く、片手で十分に扱うことができるという。本体色はブラックとホワイトの2モデル。

上面。電源ボタンとイヤフォン端子左側面。microHDMIはMHLに対応下面
右側面背面ホワイトモデル

 4月末頃より量産を開始し、夏前頃から出荷を開始予定。グローバルモデルとなり、Yu氏は、中国、欧州、米国のほか日本でも発売を行なうことを明らかにした。

 D1については、LTEモデルも用意され、こちらも日本での発売が予定されていることを明言した。D quadのLTEモデルは第3四半期以降の予定。

 発表会の終了後は実機が展示されたが、これと一緒に、K3V2を搭載するフルHDの10型タブレット「MediaPad 10 FHD」が参考展示された。

参考展示されたMediaPad 10 FHD液晶はフルHD
側面。十分薄型に見える背面

(2012年 2月 27日)

[Reported by 若杉 紀彦]