【CES 2011レポート】Microsoft & CyberLink編
~Microsoft初のマルチタッチ対応マウス「Touch Mouse」登場

Touch Mouse

会期:1月6日~9日(現地時間)
会場:Las Vegas Convention Center/The Venetian



 Microsoftは、CESブース内で製品担当者による、タッチセンサー式マウス「Touch Mouse」の説明を行なった。

 Touch Mouseは従来のボタンやホイールを廃し、代わりにタッチセンサーでカーソル移動を除く全ての操作を行なうマウス。発表はこのCESに合わせて行なわれたが、実際の発売は6月(日本含む)を予定しており、まだ細かな仕様は未定の部分も多く、今回撮影した製品の外観も製品版では変更になる可能性がある。

Mouse 2.0プロジェクトで試作された各種マルチタッチマウス。全て違うセンサーを内蔵する

 同社は2009年10月に「Mouse 2.0」に向けたマルチタッチ対応マウスを開発中であることを発表。その中には、赤外線カメラを使ったり、ボタン部分が自在に動くことでマルチタッチを実現するなど、各種のアイデアが披露されていた。

 最終的に製品化されたのは、その中で「Cap Mouse」と呼ばれていた静電容量式タッチセンサー搭載機をベースとしたもの。Windows用として初めてマルチタッチに対応する製品である。

 タッチセンサーの利用方法は、大きく指の本数によって3種類ある。1本指はドキュメントの操作。右クリック、左クリックは1本指のタップで、画面のスクロールについては1本指のドラッグで行なう。

 従来ホイールがあるあたりには溝が掘ってあり、そのあたりを縦になぞることでスクロール操作となるが、そこからずれた場所をなぞってもスクロールする。それどころか、溝がない横方向になぞっても横スクロールが行なわれる。

 最近の一部のホイールは横方向のチルト操作に対応するが、そのスクロール速度は一定で、かつ遅いため使い勝手が悪い。これに対し、Touch Mouseの操作は指の動きに追随して360度にスクロールするので、大きな写真やスプレッドシートの操作などで役に立つ。

 加えて、親指を上下にフリックすると、戻る/進む操作となる。

 2本指はウインドウの操作となっており、2本の指で同時に下方向にフリックするとアクティブウインドウが最小化。上方向にフリックすると元の大きさに戻る。また、左右にフリックすると、Win+カーソルキーのように、アクティブウインドウを画面の左右半分の大きさで並べる。

 3本指はデスクトップの操作。3本指で下方向にフリックすると全ウインドウが最小化。逆に上方向にフリックすると、起動している全アプリケーションの縮小画面が一覧表示され、アクティブにしたいアプリケーションを選ぶことができる。

 これらの操作を行なうと、指の本数分のポインタが画面に現われフリックされた方向にすっと動いて消えるようになっており、タッチの認識が視覚的に分かるようになっている(非表示の設定も可能)。

Touch Mouseで実行可能な操作/ジェスチャージェスチャー実行時は小さな起点が瞬間的に表示される3本指で上方向にフリックするとこのような画面になり、ウインドウの切り替えを行なう

 センサーはBlueTrackを採用。解像度は1,000dpi。スキャン速度は未定だが、他のBlueTrack搭載メインストリームマウスと同程度になる予定。

 通信は2.4GHz帯の無線で、USBナノレシーバは、本体底面に収納できる。また、底面には電源スイッチを装備。電池の駆動時間は検証中だが約4~6カ月間を目標としている。

 開発に携わったMicrosoft ResearchのHrvoje Benko氏によると、Touch Mouseでは使い勝手の良さにこだわった。例えばスクロール操作を行なうのは、1本指だが、実際には薬指などがマウスを握っているので、センサー側では2~3本の指が検知される。いちばん単純な解決策は、ほかの指を離して、1本指で操作した時だけスクロールとなるようにすることだが、これでは使い勝手が削がれる。そのため、ユーザーが望む動作が自然に行なわれるようアルゴリズムを開発した。

 ちなみに、搭載のセンサーは、5本指までを検知するが、製品でサポートされるのは、3本指までの規定のジェスチャーのみとなる。

 形状は左右対称だが、左手で持った際に自動的に切り替える仕組みは導入されていない。1つには、右手の親指が当たる部分は、左手の薬指などが当たるので、センサーでそれを判別するのは難しいというのもあるが、左手で持っても、右クリックは人差し指で行なうユーザーも少なくないため、切り替えは手動とした。

 センサーが反応する先端部分には、小さな+印が多数レーザーエッチングで刻印されている。これは、指が触れる部分がセンサーの対応範囲であることを分からせる、指先が多少油っぽくても適度に滑走する、印刷と違って長期間使っても剥がれないといったことを考慮してのことという。

静電容量式が決まってからも、形状の決定のために多数のモックサンプルを作り、テストを行なった基本的な形状はArcシリーズと似ている最終段階のサンプル
ほぼ製品版。+のエッチングが入っているところがセンサーの反応範囲正面から見たところUSBレシーバは、底面に収納可能

●BDの3D変換に対応したPowerDVD 11

 CyberLinkは会場となるLas Vegas Hilton内のスイートルームで、次期BD/DVD再生ソフトの「PowerDVD 11」のプレビューデモを行なった。

 同ソフトの発売は第2四半期の予定だが、すでに動作するベータ版が用意されており、主要機能がデモされた。やはり、目玉機能の1つは3D関連のようで、バージョン10ではDVDおよび動画ファイルの2D-3D変換機能が実装されたが、11ではBDでもこれができるようになった。

 BDのデコードは、最新のGeForce、Radeon、Intel HD Graphicsシリーズに内蔵されたハードウェアを活用し、3Dの変換はCPUで行なう。負荷が大きそうに思えるが、クアッドコアCore i7が搭載されたデモ機でのCPU負荷は10%程度で、Core i5クラスのCPUでも十分に処理できるという。

 CyberLinkでは各種の3Dパネルを積極的にサポートしていくことを表明しており、その実演も行なわれた。

 1つは、Chunghwa Picture TubesのLC Retarder Displayと呼ばれるもので、2枚の液晶パネルを2枚の偏光フィルムで挟み込む構造となっている。120Hzの周波数で右目用と左目用のフィルムを交互に切り替えることで、メガネが安価、画面が暗くならないといった偏光式の利点を保ったまま、縦方向の解像度が半分になるという従来の弱点を克服した。

 このほか、同社の2Dモードとレンズバリアによる裸眼立体視モードを切り替えられるパネルや、SpatialViewによる顔追跡機能を使った見る位置を問わず最適な立体視ができる3DeeFlectorを用いたパネルもデモされていた。

 また、PowerDVD 11では、静止画の写真についても3D変換ができるようになった。前後のフレームを参照できる動画と違い、静止画では1枚の画像しかないため、例えばパースや、肌の色の変化の具合など緻密なアルゴリズムに基づいた、より高度な処理が必要とされる。

PowerDVD 11BDも2D-3D変換できるようになったGPUでデコードすれば、変換にかかるCPU負荷は低い
写真の3D変換機能も搭載2枚の偏光フィルムを重ねることで、偏光方式でもフルHDを実現カメラで顔(目)を追跡して、それに合わせてレンズバリアの方向を調整するSpatialViewの3DeeFlector技術

 3D以外では、Android端末およびiPhone/iPadを使ったリモコン機能が追加される。これは、写真のスライドショーや、動画再生時のリモコンとして各種ハンドヘルド端末を利用するもの。特に一部のBDタイトルは、再生ソフト上での右クリックを禁止しており、一部のメニュー操作はリモコンGUIを呼びだして行なう必要がある。そういった際にこのリモコン機能は便利に利用できる。また、写真のスライドショー実行時は、端末がリモートタッチパッドになり、フリックによる画像切り替えや、マルチタッチによる回転、拡大/縮小操作が行なえる。

 さらに、端末に保存された写真および動画をPC上のディスプレイで表示する、一種のワイヤレスディスプレイ機能も搭載する。動画を再生する際には、PowerDVDの機能を使って、2D-3D変換や、画質補正、手ぶれ補正、アップスケールなども適用できる。

 このほか一般的なWebカメラを使ったジェスチャーによる、再生操作機能も追加された。

Android端末やiPhone/iPadをリモコンとして利用できるアプリを提供一般的Webカメラを使ったジェスチャー制御も可能に

(2011年 1月 11日)

[Reported by 若杉 紀彦]