イベントレポート

399ドル以下のノート市場に注力するAMDの第7世代APU

~搭載ノートが8モデル展示される

 AMDは1日(日本時間)、台湾・台北で開かれているCOMPUTEX TAIPEI 2016において記者会見を開催し、Bristol Ridgeこと第7世代AシリーズAPUを正式発表した。発表されたSKUなどに関しては、速報記事を参照されたい。本記事では発表会の模様をお伝えする。

 第7世代APUはCarrizoと同じExcavatorコアを採用しながら、シャドウPステートの導入やプロセスの成熟などにより、従来と同等のTDPでありながらより高い動作クロックを実現し、絶対性能および電力効率を高めた。

Jim Anderson氏

 発表会で第7世代AシリーズAPUの解説を行なったSVP AND GM,Computing and GraphicsのJim Anderson氏は、「現在、1日あたりユーザーがPCを使う時間を全世界で合計すると、10兆秒(約31万7,100年)にも上る。我々はその膨大な時間の中で、PCユーザーに良い体験を与えることを使命としている。それを担う最新製品が第7世代AシリーズAPUである」と語った。

 第7世代AシリーズAPUの最大の特徴としては、ゲームへの最適化、オフィスへの最適化、そして電力効率の最適化の3つ。Anderson氏は、APUの最大の強みである内蔵GPUについての説明で終始し、HEVCコーデックの4Kビデオのデコードへの対応、3D性能の強化によるLeague of Legendといったゲームへの最適化、GPGPUを利用したOpenOffice CalcやAdobe Photoshop、WinZipなどのオフィスアプリの性能向上に伴う生産性の向上、そして電力効率の最適化などを挙げた。

 さらに、世界の4人に1人は、399ドル以下のノートPCを購入しているとしており、その市場向けには「A9」シリーズが最適であるとする。同価格帯向け前世代APUの「A8-7410」からはCPUで150%、GPUで140%性能が向上していることを紹介した。

1日あたりユーザーがPCを使う時間を全世界で合計すると10兆秒にも上る
最新の第7世代AシリーズAPU
第7世代AシリーズAPUの特徴
強力なグラフィックスをアピールする
4K HEVCデコードへの対応
ビデオの解像度の比較
4K HEVCデコード対応でスムーズに動画を再生できる
YouTubeでもデコーダが動作する
ゲームにも注力
IntelのCore i7-6500Uよりもグラフィックス性能が20%高いことを謳い、League of Legendといったゲームを快適にプレイできる
ディスプレイ解像度以上で3Dをレンダリングできる仮想超解像度をサポートし、綺麗なグラフィックスを実現する
オフィスアプリの性能も向上する
ビデオチャットといったアプリケーションでもGPUが使われる
マルチタスクへの最適化により、電力効率を最適化
全世界で4人に1人は399ドル以下のノートPCを選んでおり、その分野にはA9が最適だとした

 発表会には、MicrosoftのPartner Group Program ManagerのMatt Perry氏が招かれ、AMDとのパートナーシップにより、Windows 10におけるAPU向けの最適化が、この夏登場予定のWindows 10 Anniversary Updateで提供されるとした。また、HPのVP, Consumer Product Management, Notebook and PremiumのJosephine Tan氏、DellのVP, Consumer Product GroupのRay Wah氏も登壇し、第7世代AシリーズAPUを搭載したノートPCを披露した。

MicrosoftのMatt Perry氏
Windows 10でAPU向けの最適化を図っていく
HPのJosephine Tan氏は、HP ENVY x360をアピールした
DellのRay Wah氏は、Inspiron 15 7000での搭載をアピール。同機種には、Radeon R7 M440という未発表のディスクリートGPUも搭載される
発表会場に展示されたHP ENVY x360
液晶が回転し、タブレットとしても使える
HP Pavilion 15というスタンダード機種も展示。赤のラインが入ったパームレストが印象的
さらにサイズが大きいHP Pavilion 17
DellのInspiron 15 7000
LenovoのYoga 510。A9-9410を搭載し、液晶が360度回転する
ASUSのX555Q。FX-9800Pを搭載する
AcerのAspire E5-523