【COMPUTEX 2009レポート】
【ストレージ編】JMicronとSanDiskからキャッシュ搭載の新SSDコントローラ
~日立ブランドの外付けHDD/NASなど

会期:6月2日~6日(現地時間)
会場:Taipei World Trade Center Nangang Exhibition Hall
   Taipei World Trade Center Exhibition Hall 1/3
   Taipei International Convention Center



JMF612搭載製品のプロトタイプ

 SSDにコントローラを提供しているJMicron Technologyは、新製品「JMF612」を展示した。現行製品で、アクセスが4chの廉価な製品向け「JMF601」は、転送速度は読み込み110MB/sec、書き込み90MB、上位となる8chアクセスの「JMF602」は、それぞれ170MB/sec、135MB/secとなっている。JMF612は、JMF602の上位にあたり、新たにDRAMキャッシュ(DDR/DDR2)を搭載。これにより、MLCでも読み込み240MB/sec、書き込み200MB/secという高い性能を発揮するという。また、キャッシュの活用によりNANDフラッシュの寿命も延びる。展示品は、東芝のNANDとエルピーダのDRAMを搭載していた。出荷開始は6月下旬を予定する。

 こちらはコントローラでなくSSDとしてだが、SanDiskもキャッシュにより高性能化を図った「pSSD P2」および「同S2」を発表した。この新製品はキャッシュにDRAMではなく「nChache」と呼ばれる不揮発メモリを採用しているのが特徴。

 キャッシュ容量は最大で320MBと大容量で、ランダムアクセス性能がキャッシュなしの第1世代のpSSDに比べ、最大50倍も高速化されるが、DRAMよりも価格は安いという。シーケンシャルの性能は読み込み、書き込みとも70MB/sec。

 性能はハイエンド製品から見劣りするが、ネットブックを含む組み込み向けであり、価格を抑えながら従来よりも性能を向上させている。サイズはハーフ1.8インチ、インターフェイスはP2がPATA、S2がSATA 3Gbps。容量は8~64GB。

SanDiskの第2世代pSSDこのシリーズはもともと廉価な製品向けで、第1世代はHPのネットブックに採用されていたnCacheはサイズが大きいので、効果の出る「幅」が広い

 

 このほか目に付いた製品としては、Super Talentが4月に発表したPCI Expressスロット用SSD「RAIDDrive」を展示し、性能情報を公開した。4月の時点では読み込みが1.2GB/sec、書き込みが1.3GB/secだったが、最終的に公称値は両方とも1.3GB/secとなり、CrystalDiskMarkによるベンチマークでは、読み込みは1.5GB/secに達していた。製品名の通り、内部でSSDをRAID接続しており、DRAMキャッシュも活用し、高速化を実現している。

 Silicon Powerは読み込み250MB/sec、書き込み240MB/secと、理論値の限界に近い速度を実現した「Extreme SSD」を展示。これはSLCの性能だが、MLCでも読み込み240MB/sec、書き込み200MB/secと十分速い。最大容量は256GBで、8月中旬より量産開始予定。SATA 3Gbpsに加え、USBでの接続にも対応する。

 InnoDiskは、産業向けだが、業界最薄を謳う「nanoSSD」シリーズを展示。SATAコネクタに直づけするタイプで、本体サイズは32.5×25×6.5mm(幅×奥行き×高さ)。SATAコネクタにしっかりと固定するラッチがあり、振動の多い環境での使用にも耐えるという。「i100」は読み込み100MB/sec、書き込み70MB/sec、第3四半期投入予定の「i160」はそれぞれ160MB/sec、140MB/sec。

Super TalentのRAIDDriveその製品概要ベンチマークでは読み込み1.5GB/secを達成
Silicon PowerのExtreme SSD。SLCモデルでは読み込み250MB/sec、書き込み240MB/secを謳う世界最薄を標榜するInnoDiskのnanoSSD
PRETEKの1TB SSD。といっても、256GBのSSDをケースに4台入れたものSSDのHDDに対する性能や信頼性の高さをデモするメーカーは少なくないが、Memorightというメーカーは、お湯と氷という非常にわかりやすいものを使って実演していた

Thecusの3.5インチ/2.5インチ両対応NAS「N0503」

 HDD製品としては、Thecusが3.5インチと2.5インチHDDの両方に対応できるNAS「N0503」を展示した。外見からすると3.5インチHDDが3台入るように見え、実際にそうできるのだが、2.5インチ用のマウントが付属し、これを内部につけると2.5インチHDDを5台搭載できるようになるという変わり種だ。一般的にSSDは2.5インチのものが多いので、SSDでNASを構築したいユーザーにもうってつけだ。

 HDDインターフェイスはSATA。RAIDレベルは0/1/5/6/JBOD、ネットワークプロトコルはCIFS/SMB、AFP 3、NFS v3、FTP、HTTP、SSLに対応し、iTunesサーバー、写真用Webサーバー、UPnP AVサーバー機能も搭載。外部インターフェイスはGigabit Ethernetで、外部ドライブやプリンタ、無線LANアダプタなどの接続用にeSATAとUSB 2.0×2も備える。対応クライアントOSは、Windows NT 4.0/2000/XP/Vista/Server 2003、UNIX、Linux、Mac OS 9以降。

 HDD関連でもう1つ紹介しておきたいのが、「日立」ブランドの外付けHDDだ。日立グローバルストレージテクノロジーズが内蔵HDDを手がけているのは周知の事実だが、同社は外付けHDDを手がける米Fabrikをこの2月に買収した。そして、今回のCOMPUTEXではもともとFabrikの製品だった「G-Technology」ブランドの製品に「by HITACHI」のブランドが添えられる形で、ブースに展示されていた。

 いずれも金属を使ったシルバーの筐体が特徴で、USB/eSATA/IEEE 1394などに対応する外付けドライブから、高機能なNASまで幅広いラインナップを揃える。日本でもすでに販売されているのだが、日立製品と言うことはあまり前面に出されていないようだ。

 これとは別に、Hitachi-LG Data StorageブランドのBlu-ray Discドライブを内蔵したNAS「N2B1」と「N4B1」も展示されていた。この製品は1月に米国で開催されたCESにも展示され、そのときはLG電子のブースにあったのだが、今回は日立ブースにG-Technology製品などと一緒くたに並べられているのがおもしろい。

G-Technologyブランドの外付けHDD。これはRAIDモデルHitachi-LG Data StorageブランドのBlu-ray Discドライブ内蔵NASも展示

(2009年 6月 4日)

[Reported by 若杉 紀彦]