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Intel「Broadwell-K」ベンチマーク速報

~Core i7-5775CとCore i5-5675Cを検証

 既報の通り、Intelは第5世代Coreプロセッサのデスクトップ向けCPU「Broadwell-K」を発表した。

 今回、Broadwell-Kの「Core i7-5775C」と「Core i5-5675C」を検証する機会を得られたので、詳細な検証や考察は後日掲載とし、ここでは簡単なベンチマーク結果をお届けしたい。

 Broadwellは、基本アーキテクチャはそのままに、Haswell(22nm)からプロセスルールを14nmへ縮小。デスクトップ向けとなるBroadwell-K 2製品は、その微細化分をGPUコアへとつぎ込んだ形となっており、GPUに上位となるIris Pro Graphics 6200を採用しているのが特徴。CPUソケットは、Haswellと同じLGA1150を採用し、チップセットも現行のIntel 9シリーズが利用できる。検証には比較対象として、Haswell世代のCore i7-4770Kを用意した。

Broadwell-Kの「Core i7-5775C」
「Core i7-5775C」の裏面
Core i7-5775C(左)とCore i5-5675C(右)
Core i7-5775CのCPU-Z
Core i5-5675CのCPU-Z
【表1】CPUの主なスペック
Core i7-5775CCore i5-5675CCore i7-4770K
製造プロセス14nm14nm22nm
開発コードネームBroadwellBroadwellHaswell
コア数444
スレッド数848
CPU定格クロック3.3GHz3.1GHz3.5GHz
CPU Turbo Boostクロック3.7GHz3.6GHz3.9GHz
L3キャッシュ6MB4MB8MB
GPU名Iris Pro Graphics 6200Iris Pro Graphics 6200HD Graphics 4600
GPUコアクロック(最大)1,150MHz1,100MHz1,250MHz
TDP65W65W84W
倍率アンロック
対応ソケットLGA1150LGA1150LGA1150

 実施したベンチマークは、CINEBENCH R15(グラフ1)、3DMark(グラフ2~5)、ファイナルファンタジーXIV: 蒼天のイシュガルド ベンチマーク(グラフ6)、PCMark 8(グラフ7)の4つ。検証で使用した機材は下記の通りだ。

【表2】テスト機材
CPUCore i7-5775CCore i5-5675CCore i7-4770K
マザーボードASUS H97-PRO(BIOSバージョン2802)
メモリSanMax SMD-4G28CVLP-16KK(DDR3-1600 4GB×2(11-11-11-28、1.50V)
ストレージSamsung SSD 830 256GB
ビデオカード内蔵GPUを使用
グラフィックスドライバIntel Graphics Accelerator Driver V10.18.14.4206
電源Enermax EPM1200EWT(1,200W 80PLUS Platinum)
CPUクーラーCore i7-4770K付属リテールクーラー
OSWindows 8.1 Pro Update(64bit)

CINEBENCH R15

CINEBENCH R15

 CINEBENCH R15は、CPUのシングルコアおよびマルチコア性能を計測できるベンチマークソフトだ。単一のコアのみ使用するSingle Coreの結果では、Turbo Boostで最大3.9GHzまで上昇するi7-4770Kがトップに立った。次点はi7-5775Cで、Turbo Boostによる最大クロックは3.7GHz。クロック差による順当な結果と言える。

 All Coreでは、i7-5775Cとi7-4770KがHyper-Threadingにより、8スレッド処理が可能なため、i5-5675Cはかなり不利な結果が出た。興味深いのは最大クロックで劣るi7-5775Cがi7-4770Kよりも成績上位になったことだ。ベンチ中は前者が全コア3.6GHzで、後者は全コア3.7GHzと0.1GHz高く動作していたのだが、Single Coreの時とは逆の結果が出た。稼働コア数が増した分、Broadwellアーキテクチャによる処理の優位性が現れたと考えられる。

【グラフ1】CINEBENCH R15

3DMark(v1.5.8930)

3DMark(v1.5.8930)

 3DMark(v1.5.8930)での注目点は、i7-5775Cおよびi5-5675Cが搭載している内蔵GPU、GT3e世代の「Iris Pro Graphics 6200」の実力だ。i7-4770Kは「HD Graphics 4600」でGT2世代となる。GT3eは演算ユニットを48基備え、128MBのeDRAMも実装。GT2の演算ユニット数は半分の24基で、eDRAMは実装されていない。

 ベンチマークは負荷の軽い順に、Cloud Gate、Sky Diver、Fire Strike、Fire Strike Extremeを実行し、全てのテストで同じ傾向が出た。各ベンチのScore(総合スコア)とGraphics Scoreでは、i7-5775Cがi7-4770Kに対して倍近い性能差を見せ、大きく水をあけている。

 i5-5675CはHyper-Threading非対応のため、CPUテストのPhysics Scoreが影響して総合スコアを下げてしまっているが、それでもグラフィックス系の成績はi7-4770Kの1.5倍以上は出ている。これにより、Iris Pro Graphics 6200の優秀さを見せ付ける結果となった。i7-5775Cとi5-5675Cの差については、前者の最大GPUクロックが1,150MHz、後者が1,100MHzのため、主にその点に起因していると推測できる。

【グラフ2】3DMark - Cloud Gate
【グラフ3】3DMark - Sky Diver
【グラフ4】3DMark - Fire Strike
【グラフ5】3DMark - Fire Strike Extreme

ファイナルファンタジーXIV: 蒼天のイシュガルド ベンチマーク

ファイナルファンタジーXIV: 蒼天のイシュガルド ベンチマーク

 ファイナルファンタジーXIV: 蒼天のイシュガルド ベンチマークでは、グラフィックス設定を初期状態の「高品質(ノートPC)」にし、DirectX 11を選択。解像度はHD(1,280×720ドット)とフルHD(1,920×1,080ドット)の2種類をウィンドウモードで実行した。結論から先に言うと、こちらのベンチマークも3DMarkと同様に、Broadwell勢が大きくスコアを伸ばす結果が出た。

 HD解像度ではBroadwell勢に「快適」の判定結果が下され、Haswellのi7-4770Kは「普通」だった。フルHDでは3つのCPUとも「設定変更を推奨」の判定に。ただ、どちらの解像度でもBroadwell勢はHaswellより1.7倍以上スコアが上だ。Iris Pro Graphics 6200搭載のCPUなら、DirectX 9などグラフィックス処理の軽いカジュアルなゲームは余裕で遊べそうで、フルHDでもかなり快適にプレイできるのではないだろうか。

【グラフ6】ファイナルファンタジーXIV: 蒼天のイシュガルド ベンチマーク。グラフィックス設定: 高品質(ノートPC)

PCMark 8(v2.4.304)

PCMark 8(v2.4.304)

 PCMark 8(v2.4.304)では、PCの一般的な用途を想定した処理を実行する「Home」を測定した。処理内容を大まかに説明すると、Webブラウジング処理、テキスト処理、画像処理、映像処理、軽めのゲーム処理が行なわれる。なお、ベンチマークではGPU機能が関係してくる「Run Accelerated」を選択している。

 結果は、Broadwell勢がほぼ横並びで、スコア差は25しかない。一方、Haswellのi7-4770Kは500点ほどスコアが低い。ベンチマークの内訳表を見ると分かるが、これはグラフィックス性能が求められるCasual Gamingの結果が強く影響したためだ。それ以外の項目で大差は付いておらず、やはりCPU性能に関して言えば、Haswell世代からの進化を感じることは難しそうだ。

【グラフ7】PCMark 8 - Home(Run Accelerated)
【表3】PCMark 8 - Homeのスコア内訳
Core i7-5775CCore i5-5675CCore i7-4770K
Web Browsing-JunglePin0.313s0.315s0.312s
Web Browsing-Amazonia0.134s0.134s0.134s
Writing3.55s3.60s3.49s
Photo Editing v20.197s0.201s0.250s
Video Chat v2 / Video Chat playback 1 v230.0fps30.0fps30.0fps
Video Chat v2 / Video Chat encoding 1 v250.7ms53.7ms51.0ms
Casual Gaming59.8fps61.8fps29.4fps
Benchmark duration34min6s34min24s34min23s

 以上、駆け足でベンチマークを行なったが、Broadwell-KのCPU性能に関しては、前世代との差を感じられず、むしろ最大クロックの低さから不利になることも多そうだった。もちろん、今後の検証で新たな側面が見えてくる可能性も十分考えられる。

 一方、グラフィックス性能の高さは特筆すべきところで、Iris Pro Graphics 6200を搭載したBroadwell-Kであれば、エントリークラスのビデオカードに対抗し得るだけの能力を備えているのではないだろうか。詳細な検証結果は、後日掲載の記事で改めてお伝えしたい。

CPU-Zで「Iris Pro Graphics 6200」に表記を確認できた

(中村 真司)