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インテル、ワイヤレス化をさらに推める第5世代Core vPro

~多人数で使える「Pro WiDi」やワイヤレス・ドッキングを投入

記者会見で説明を行なったトム・ガリソン氏

 インテル株式会社は2日、都内で記者会見を開催し、第5世代Coreプロセッサ(Broadwell)をベースとした企業向けPCプラットフォーム「第5世代Core vPro」を発表した。

 vProは企業向けのPC管理プラットフォームで、高いセキュリティ性に加え、容易な統一管理性を管理者に提供する。第5世代では、モバイル化が進む企業の変革のニーズを捉え、さらにワイヤレス化を推める。

 具体的な要素は3つ。1つは新たに投入されるワイヤレスディスプレイの「Pro WiDi」技術。これまで同社は独自の「WiDi」を展開してきたが、Pro WiDiではビジネスで必要な機能を追加した。

 Pro WiDiでは、デュアルバンドによる接続で、アダプタが最適なバンドを自動的に選択して接続するようになった。これにより管理者が利用バンドを設定する煩わしさを解消する。また複数のアダプタの管理を1つのUI上から行なえ、企業内に導入されている全てのアダプタのファームウェアアップデートなどを適用できる。

 無線によるディスプレイ接続では、隣の部屋のプロジェクタに接続してしまう失敗も起こりうるのだが、Pro WiDiでは接続時にIDによる確認機能を追加し、誤接続を回避できる。また、最大16人までが1つのアダプタに接続して、管理者がプロジェクタに映したい人のPCを指示して接続するモードや、クライアントから管理者に自分の画面をプロジェクタに映し出すよう要求できる機能を追加した。

本日より発売されるActiontecのPro WiDi対応ディスプレイアダプタ
ディスプレイインターフェイスはHDMI。USBも備えており、マウスやタッチパネル付き液晶を接続すれば、本体を操作できる
Pro WiDi対応PCが1台プロジェクタと接続していれば、そのほかのクライアントはPro WiDi対応である必要はない
管理者の指示でPro WiDi非対応クライアントを接続したところ
パナソニックのPro WiDi対応プロジェクタ「PT-VX425N」
Pro WiDiのロゴシール
HP製のワイヤレス・ドッキング

 vProのもう1つの要素は、WiGig技術によるワイヤレス・ドッキング。既にHewlett-Packard(HP)やDellなどが製品化しているのだが、利用者がワイヤレス・ドッキングの近くまでノートPCを持って移動するだけで、ドッキングに接続されているマウスやキーボード、ディスプレイ、Gigabit Ethernetなどを利用できるようになる。

 従来のドッキングは、機種ごとに形状や機能が異なり、そのため資産管理が大変で、なおかつ後継機種への移行で使えなくなってしまったりした。一方でインテルのワイヤレス・ドッキングを使用すれば、他社のPC間でも共有でき、オフィスのロケーションフリー化を推める上でも有利である。

 最後はBroadwellの採用によるバッテリ駆動時間の向上で、これはHaswell世代と比較して平均1.5時間延長できるという。これにより1日の業務をバッテリ駆動のみで賄えるようになるとしている。

4年の買い替えサイクルに最適なチャンス

 記者会見では、米国本社から来日したコンピューティング・クライアント事業本部 副社長 兼 ビジネス・クライアント・プラットフォーム事業部長のトム・ガリソン氏が、第5世代Core vProを投入した背景について説明した。

 先述の通りvProの各機能は、企業内にセキュリティ性と利便性、管理性をもたらすものとして開発されたものだが、その最終目的は、これらの機能が組み合わさることで、社員がITのセットアップそのものに関わる時間を減らし、その分の時間をアイデア創出に費やせるようにし、さらにはITによってもたらされるメリットを最大限に享受し、生産性向上に繋げていくことである。

 「企業の利益は社員各々のアイデアによって生まれるものである。そのアイデアは独立してしまっては実とならない。社員各々のアイデアがぶつかり合い、最終的にプロジェクトとなって初めて利益となる。そのためには、社員各々がコミュニケーションできる環境が必要である」とガリソン氏は説明する。

 そのため、現在中小企業を中心に、職場に変革がもたらせつつあるという。「自席を廃し、ロケーションフリー化をする。これは近年のトレンドだ。ロケーションフリー化することでオフィスの面積を減らせ、これにより経費削減の効果が得られるのはもちろんのことだが、副次的な効果によって、社員同士のコミュニケーションが増え、新しいアイデアが生まれやすい環境、最終的に利益を上げられた企業も多い」と語る。

 その一方で、ロケーションフリー化のためには、PC機器のさらなるワイヤレス化と、管理の容易性を実現する必要がある。そこでインテルはvProの導入を勧めようとしているわけだ。

 「企業は一般的に4年に1度IT機器の買い替えが発生するが、4年前のPCが未だ約1億7,000万台ほど企業内で使われているとの試算もある。これはインテルにとっても企業にとっても大きなビジネスチャンスだ。インテルは常にトレンドの最先端であると自負しているのだが、そのトレンドを各企業にももたらしたい」などと語った。

企業の利益は社員のアイデアから生まれる
オフィス環境の変化
アイデアを現実にするためのオフィスが必要
オフィスの進化による社員同士のコラボレーション
第5世代Core vProがもたらすメリット
第5世代Core vProのコアコンポーネント
vProはこれまで約1億個の導入実績があるという
各社のvPro対応状況
HP製の2-in-1
着脱式で、タブレットとして利用可能
東芝の12.5型2-in-1「dynabook R82」は世界最軽量で、タブレット利用時は700gを切る
富士通製の2-in-1。こちらも着脱式
パナソニック製のTOUGHPADは防塵防滴耐衝撃仕様
ケーブルから解放する第5世代Core vPro
ケーブルを不要にするPro WiDi
発表会場では第5世代Coreプロセッサ搭載製品が一斉展示された

 なお同日、インテルはHDMIスティック型PC「Compute Stick」を発表した。価格はオープンプライスで、4月30日より主要家電量販店や代理店を通して販売開始する。プロセッサはAtom Z3735F(1.33GHz、ビデオ機能内蔵)を採用。OSにWindows 8.1を採用し、メモリ2GB、ストレージ32GB搭載モデルと、OSにLinuxを採用し、メモリ1GB、ストレージ8GB搭載モデルの2種類が用意される。

 インターフェイスは共通で、microSDXCカードスロット、IEEE 802.11b/g/n対応無線LAN、Bluetooth 4.0、USB 2.0などを搭載。本体サイズは37×103×12mm(幅×奥行き×高さ)。

こちらは同日発表したAtom Z3735F(1.33GHz、ビデオ機能内蔵)搭載のスティックPC「Compute Stick」。
これを展示したのはアイ・オー・データ機器。アイ・オーでは今後、同社が発売するディスプレイや、キーボード/マウスをセットにソリューションとして提供していく。単体での税別店頭予想価格は20,500円前後。
左側面には、電源ボタン、Micro USB(給電)、USB 2.0ポートを搭載
右側面にはmicroSDカードスロットを備える
ファンを内蔵しており、発熱時に回る仕組み

(劉 尭)