ファーウェイ、タブレット・スマートフォンの国内積極展開を明言
~国内向け機能も順次実装へ

ファーウェイの日本向け製品

5月24日 開催



 華為技術日本株式会社(ファーウェイ・ジャパン)は24日、都内で事業説明会を開催。端末本部 端末営業統括部 統括部長のチン・ヨウ氏は、今後同社が端末事業に注力するとともに、日本市場に特化した端末も展開していくことを明らかにした。

 まずチン氏は中国に本社を置くHuaweiの沿革を説明した。同社は1988年に中国のシンセンで設立し、通信事業を専業としている。1997年には海外展開を始め、現在では15の地域本部の下、140カ国以上で事業を展開。通信ソリューションプロバイダとしては、Ericssonについで世界2位のシェアを誇る。

 キャリア向け通信事業以外にも、現在同社では企業向けビジネス、および端末事業なども手がけているが、中でも今後は端末事業に世界全土で力を入れていき、2013年までに世界5位の端末メーカーになることを目標に掲げている。

 もう1つ同社が注力するのが日本市場での展開だ。その注力ぶりは、日本を1つの地域本部とし、R&Dセンターも設置していることからも見て取れる。

 ファーウェイ・ジャパンは2005年に社員数約20人でスタートしたが、翌2006年にはイー・モバイルのHSDPA基地局ベンダーに選定されたのを皮切りに、Pocket WiFiや、ソフトバンクモバイル、KDDI、NTTドコモへのデータ通信アダプタおよび通信機能付きデジタルフォトフレームの提供など、順調に実績を積み上げ、現在では社員数は267人を数え、2011年には中国企業として初めて経団連に加盟した。

チン・ヨウ氏Huaweiは世界140カ国で事業を展開売上も年平均29%で成長
今後は端末事業を主要事業の1つに日本法人の沿革日本でもモジュール、通信アダプタ、スマートフォン、デジタルフォトフレームなど幅広く展開している

 日本でも今後、端末事業を拡大していくが、チン氏は、単にグローバルな端末を日本に持ってくるだけではなく、日本独自のニーズに合わせた機能を搭載した、日本向けの端末を投入していくことを明らかにした。

 日本のR&Dセンターには2つの役割があり、1つは日本の優れた部材を発掘、調達すべく、本社へとフィードバックすること。もう1つが、日本独自の商品企画を行なうことにある。中心となるのはスマートフォンで、下半期以降に投入される端末では、日本独自の要求事項である、赤外線通信や、おサイフケータイといった機能が盛り込まれることになると見込まれる。また、チン氏は「どのように差別化を行なうかは難しいのだが」と前置きしながら、タブレット端末を投入していくことも明言した。

 同社が初めて国内投入したデータ端末は、海外向けのものを周波数だけを変えて持ち込んだものだったが、直近の「Pocket WiFi」では、ハードのみならず、ソフトの全般的なUIなど深いレベルにまでカスタマイズを行なっており、日本独自の開発を行なう下地はすでに整っているとする。

 また、データ通信アダプタについても、キャリアとともにLTEやモバイルWiMAXといった高速通信規格への対応を協議していくほか、デジタルフォトフレームのような新しいカテゴリの製品も検討中という。

 国内には強力な競合メーカーが多数あるが、チン氏は「インフラ事業を手がけていることによる相乗効果や、これまでのデータ通信アダプタで培ったノウハウを活かすことで、特徴ある端末を出せるだろう」と述べ、海外メーカーが苦戦する国内市場での自信を覗かせた。

 課題となるのは、ブランドの認知度向上。これについては、3年をかけて、世界規模で徐々に訴求を行なっていく。同時に国内でも、日本人社員の増加や、R&Dセンター、コールセンターの強化、端末事業専用のホームページの開設などを通じ、エンドユーザーへの浸透を図っていく。

以下は参考展示された海外のAndroid端末。7型タブレットのIDEOS S7 SlimU9000(右)とC8500(左)
U8300IDEOS X5

(2011年 5月 24日)

[Reported by 若杉 紀彦]