KDDI、ISシリーズのスマートフォン5機種を発表
~「iida」初のスマートフォン「INFOBAR A01」も登場

5月17日発表



 KDDI株式会社、沖縄セルラー電話株式会社は17日、都内で携帯電話の新製品発表会を開催した。2011年夏モデルとして発売されるのは全15機種。内訳は、スマートフォンが6機種、フィーチャーフォンが6機種、データ通信端末が2機種、フォトフレームが1機種となる。このうちスマートフォンはISシリーズとして5モデルとiidaブランドの1モデルに分類される。スマートフォンはすべてAndroid 2.3を搭載するが、いずれの製品でもテザリングは提供されない。各スマートフォンの詳細は下記のとおり。

・「G'z One (IS11CA)」

 耐衝撃と防水、防塵性能を備えたタフネススマートフォン。これまで日本国内ではフィーチャーフォンに向けに展開されていたG'z Oneシリーズのスマートフォンバージョンとなる。先行して米Verizon向けにNECカシオモバイルコミュニケーションズが提供していた製品をベースに、おサイフケータイ、赤外線通信機能など日本市場向けの仕様を追加してある。ただしワンセグ機能はない。G'z Oneシリーズに搭載されていた各種センサーアプリ「G'z GEAR」はスマートフォン向けに大画面対応とウィジェット化が行なわれている。グローバルパスポートはGSM/CDMAのデュアルローミングに対応。カラーはレッド、カーキ、ブラックの3色。

「G'z One(IS11CA)」展示の様子。左側にあるのが、米Verizon向けの製品。右が国内向けモデルタフネスさでアウトドア用途そしてセンサーマニアに人気のG'z Oneがスマートフォンで登場背面の様子。防水性、防塵性、耐衝撃性能などを示すさまざまなマークが見える

・「AQUOS PHONE IS11SH」

 フィーチャーフォンライクなテンキー入力を搭載する3D表示対応スライド型スマートフォン。Android端末標準のタッチパネル操作に加えて、フィーチャーフォンと同じテンキー入力を搭載する移行期と言われる現在のニーズに応えた仕様。またスライド型の特徴を生かし、スライドと同時にTwitterなどが起動するといった連動機能も持っている。こうしたスライド機能の連動は、着信時には本体のスライドで通話を開始、スライドを閉じることで終話といった従来のスライド型フィーチャーフォンのわかりやすい特徴も引き継いでいる。

 ディスプレイは約3.7型で960×540ドット。3D表示対応の「NewモバイルASV液晶」を搭載する。ワンセグ、おサイフケータイ、赤外線通信の全部入り。カラーも従来のフィーチャーフォン並みに多く、ストロベリーピンク、アクアホワイト、ラピスブルー、アッシュブラックの4色展開となる。

スライドさせてテンキーを引き出した様子既存のフィーチャーフォン所有者にとっては、このスタイルの文字入力が速いスライドメニュー。mixi、Twitter、メールなどスライド後に呼び出したい機能が一覧

・「REGZA PHONE IS11T」

 モバイルレグザエンジン4.0搭載で高画質を謳うモデル。スライド式のフルキーボードはIS02譲りだが、ENTERキーの大型化、PCと同じ数字配列の変更など操作性の向上を図ったとされる。高画質化という点は多いに期待を寄せられるが、今回は残念ながら電源を入れない状態でのみ展示されていた。DLNA機能に対応。東芝製のTVやレコーダとクラウド上に集約されたデータを結びつける「レグザ App コネクト」を搭載するなど、家庭内のAV機器との連携を強く意識した製品。ワンセグ、おサイフケータイ、赤外線通信の全部入り。カラーはラスターブラックとコフレピンクの2色。

スライド式のフルキーボード。IS02に比べ大きくなったEnterキー。数字の配置もPCと同じになったカラーはラスターブラックとコフレピンクの2色。今回は電源オフ状態での展示

・「AQUOS PHONE IS12SH」

 通信方式の違いを除いた基本仕様は、NTTドコモ向けに発表された「AQUOS PHONE SH-12」とほぼ同一のau向け製品。3D映像が撮影できる約805万画素のツインカメラを搭載。3Dコンテンツを本体で見る、作る、3D対応AQUOSディスプレイに出力できるといった特徴を持つ。ワンセグ、おサイフケータイ、赤外線通信の全部入り。カラーはディープブルー、アイスホワイト、レッド×ブラックの3色。

「AQUOS PHONE IS12SH」。本体カラーはドコモ向けの製品とは異なる背面には3D映像が撮影できる約805万画素のツインカメラを搭載インターフェイス部分。USB端子とHDMI出力端子がみえる

・「XPERIA acro(IS11S)」

 通信方式の違いを除いた基本仕様はNTTドコモ向けに発表された「XPERIA acro SO-02」とほぼ同一のau向け製品。ワンセグ、おサイフケータイ、赤外線通信の全部入り。カラーはRuby、Black、Whiteの3色。NTTドコモ向けのモデルではAquaがメインカラーとされていたが、au向けはRubyがメインカラーとなる。光沢感のあるWhite、マットな質感のBlackは見たかぎりNTTドコモ向けもau向けも同等の質感と思われる。

au向けのXPERIA acroは、Rubyがメインカラーとなる「XPERIA acro(IS11S)」の背面

●iidaブランド初のスマートフォン登場。独自UIとなる「iida UI」を搭載

 iidaブランドで発売される初めてのスマートフォン「INFOBAR A01」。フィーチャーフォンとして2003年に発売された初代モデルから受け継がれているタイル状のキーを、本体下部にあるHOME、MENU、BACKキーそれぞれに取り入れた。Android 2.3搭載のスマートフォンだが、独自UIとなる「iida UI」を搭載して、高い操作性とデザインを両立させたとしている。

 UIとしては縦スクロールが基本で、ホーム画面上にアイコンがタイル状に表示されるのが特徴。アプリケーションだけでなく写真やウィジェットなども同一面にタイル状に配置できる。本体デザインは初代INFOBARと同じ深澤直人氏。UIは中村勇吾氏によるもの。

 本体仕様は日本市場向けで一般的ともいえるワンセグ視聴、おサイフケータイ、赤外線通信などを搭載している。ただしワンセグ視聴に必要なアンテナは内蔵せず、USB端子に装着する3.5mmのヘッドフォンプラグアダプタをアンテナとして使用する。そのため本体そのものに3.5mmのヘッドフォン端子は用意されていない。液晶サイズは約3.7型。小さく薄いスタイルは女性ユーザーのニーズも満たしそうだ。

 カラーはKURO、NISHIKIGOI、HACCA、CHOCOMINTの4色。7月中旬以降の発売を予定している。同時に専用の周辺アイテムやスマートフォン用のACアダプタ「JUPITRIS」なども発売される予定となっている。

「INFOBAR A01」。カラーはNISHIKIGOI「INFOBAR A01」。カラーはCHOCOMINT「INFOBAR A01」。カラーはKURO
「INFOBAR A01」の背面。おサイフケータイに対応。約805万画素のLEDフラッシュ付きリアカメラ底面にあるカバー付きのUSB端子。ここにUSBから35mmヘッドフォンプラグに変換するアダプを付けることで、それがワンセグのアンテナにもなる仕組みINFOBAR A01の左側面。電源ボタン、ボリューム上下、そしてSAERCHボタンが配置されている
INFOBARの歴史。最初の製品化は2003年9月独自ユーザーインターフェイスの「iida UI」は、タイル状にアプリのアイコンやウィジェットが並ぶ。写真なども配置可能。プリセットされるのは6つのテーマカラー
スマートフォン用のACアダプタ「JUPITRIS」専用の周辺アイテム。シリコンジャケットとなる「INFOBAR A01 COVER」(左下)と「INFOBAR A01 LEATHER CASE」(右上)

 なお「INFOBAR A01」と周辺アイテムについては、5月18日からKDDIデザイニングスタジオ(東京都・原宿)およびau NAGOYA(愛知県・名古屋)にて順次展示を開始する予定となっている。質疑応答では、これまでiidaブランドは数量限定で提供されていたが「INFOBAR A01」については、特にそうした数量的な制限を設けていないとコメントされた。また搭載されている「iida UI」に関しては、今のところiidaブランドの専用となる。ただしAndroid向け限定ではなくスマートフォン広義とのこと。また、海外から同端末の引き合いがあった場合はどうするかという質問については「やりたいという海外パートナーがあれば、KDDIとしても本望」と田中孝司社長が回答している。

●無料で利用できるWi-Fiスポットを2011年度内に10万カ所設置へ

 サービス面では、スマートフォン向けに無料で利用できる公衆無線LANサービス「au Wi-Fi SPOT」の提供を開始する。対象ユーザーはパケット定額サービス「ISフラット」もしくは「プランF(IS)シンプル」「プランF(IS)」の契約者。サービスの開始は2011年6月末で、当初は全国1万カ所からスタート。2011年度末(2012年3月末)までに全国10万カ所の設置を目指すとしている。

 接続に利用する「au Wi-Fi接続ツール」が対応端末向けに用意され、ID、パスワードなどの入力をしなくとも接続できる。このツールは、電波の強さに応じてWi-Fiと3Gの自動切り替えを行なえるのが特徴で、今回発表された夏モデルにはプリインストールされるほか、対応端末ではau one MarketやAndroidマーケットからダウンロードできる。質疑応答では10万カ所拡大への予算規模も問われたが、田中社長は「数百億円単位の前のほう」と回答。また、Wi-Fiアクセスポイントのインフラとしては有線のほかWiMAXも利用されることを明らかにしている。

Wi-Fiを利用したい理由のNo.1は(3Gに比べて)接続速度が速い。使わない理由としては「設定が難しい」、「切り替えが面倒」など「au Wi-Fi SPOT」のサービス概要。専用のアプリケーションで簡単設定。ID、パスワードは不要。電波の強さに応じて、Wi-Fi接続と3G接続を自動切り替え夏モデルのスマートフォン全製品にプリインストールされる「au Wi-Fi接続ツール」。ウィジェットとして設定や接続状況が表示される
スマートフォンにおける国内向けサービスの対応。秋をめどにCメールやezweb.ne.jpメール、auカンタン決済、au oneマーケットなどのサービスが利用できるようになる。また緊急地震速報もすべてのモデルで対応予定洋楽を中心に約100万曲がストリーミングで聴き放題となるスマートフォン向けの「LISMO unlimited powered by レコチョク」を6月中旬より開始する。月額1,480円FMのサイマルラジオ「LISMO WAVE」の音楽映像チャンネルとして、ミュージッククリップを専門に配信する「Musiclips」を追加。月額315円で、6月1日にサービスを開始予定
KDDIの田中孝司社長とFacebookの日本支社代表の児玉太郎氏

 今日の製品発表会ではFacebookの日本支社代表を務める児玉太郎氏も登壇。現在5億人を超えるFacebookへの月間アクティブユーザー数のうち、半分となる2.5億人分がモバイルからのアクセスで占めていることをグラフで示し、KDDIをはじめ全世界の約300キャリアと今後も連携を深めていくという方向性を明らかにした。

 また、KDDIは同日付でFacebookに国内キャリアとしては初めてとなるFacebookページをオープンさせている(iidaも同日にオープンした)。また具体的な取り組みとして、ソーシャルアドレス帳「jibe」とFacebookの連動させるほか、INFOBAR A01にFacebook対応のオリジナルウィジェットを追加する。今後は個人認証などのアカウントを使った、より強固なサービスの連携も視野に入れて、auのサービスにFacebookを活用した新しい付加価値を提供していくとしている。

 質疑応答では、今回発表されたスマートフォンのすべてでテザリングが行なえないことと、春モデルのHTC EVO 4Gに搭載されているWiMAX機能の更なる搭載機種の拡大についての質問が出た。田中社長は「テザリングで接続する機器はPCを想定している。そうなると(速度面で)WiMAXが前提になると思う。具体的には秋以降。秋まで待ってください。秋にどかんと出てきますので!」と回答して、秋モデルにおけるWiMAX搭載端末の存在を示唆した。

(2011年 5月 17日)

[Reported by 矢作 晃]