マイクロソフト、2011年度経営方針記者会見を開催
~2011年には社名を変更。Kinectの実機も公開

マイクロソフト樋口泰行社長

7月6日 開催



 マイクロソフト株式会社は6日、2011年度経営方針記者会見を開催。その場で、同社代表執行役社長の樋口泰行氏は、クラウドを主軸に据えた戦略を採っていくことを改めて確認したほか、年度内に社名を変更することを発表した。

 マイクロソフトは、7月1日を会計年度の初日としており、例年この時期に新年度に向けた経営方針記者会見を開催する。樋口氏はまず、2010年度を振り返り、「世界不況が底を打ち、顧客の意識が変化したことで、クラウドのような軽くて柔軟なITが求められるようになった。そんな中我々は、信頼される企業を目指し、社内の組織力を高めるとともに、パートナーとの連携も強化することで、飛躍を目指した」と説明。

 その実績はと言うと、Windows 7が同社OSとして過去最高の勢いで普及。これはコンシューマだけでなく、企業においても、すでに5,000社以上が導入を表明。また、Office 2010も、パッケージ版は前バージョンの2倍以上の売れ行きを示し、やはり100以上の企業/団体が導入表明するなど、幸先の良い出足を切った。クラウド、ソリューションビジネスについても、パートナーにおける採用や連携が決まるなど、成果を出した。

 こういった状況を踏まえ、樋口氏は2011年度の目標として「中長期視点での日本市場への戦略とコミット」を掲げた。過去2年は、4半期単位での目標達成を使命としてきたが、3年後までを見据えた戦略を展開する。

製品・サービスおよびクラウドでの2010年度の成果ソリューションビジネスでの2010年度の成果2009年度から2011年度の経営方針。2011年度は中長期的戦略を実行

 この戦略の背景には、日本におけるパートナーおよびその製品の価値が非常に高く、また、若年層における携帯電話中心の文化をPCへと振り向けることで、PCのさらなる普及、ひいては教育レベル向上や国力増強にも貢献したいとの考えがある。言い換えるなら、これまで以上に日本市場に根ざした事業を行なっていくという考えの表われでもある。

 それを最も色濃く、そして簡潔に表わすのが、2011年2月1日付けで行なう社名変更だ。同社はすでに、2月に日本本社を今の新宿から品川に移すことを発表しているが、樋口氏は、それと同時に、社名をマイクロソフト株式会社から、日本マイクロソフト株式会社に変更することを明らかにした。なお、2011年で同社は設立25周年を迎える。

 2011年度の具体的な注力分野としては、経営資源の大半をクラウドへと注ぐ。米国では全エンジニアの7割がクラウド事業に関わるが、日本では9割以上の社員をクラウド関連事業に従事させ、100人規模の専任部隊も設ける。また、クラウド認定パートナー数を現在の350社から、年度内に1,000社に、3年後までには7,000社にまで引き上げるとの数値目標を打ち出した。

2011年2月1日付けで社名を日本マイクロソフトへ変更2011年は名刺や印刷物などに25周年のロゴを刷る予定2011年度はクラウドビジネスを一層加速する

 クライアント/コンシューマについては、Xbox 360向けセンサーインターフェイス「Kinect」について紹介。樋口氏は、まずXbox 360用として投入するが、その応用範囲は広く、今後PCやビジネスにも展開が考えられるとした。会場には、ほぼ製品版と思われる実機も用意され、デモが行なわれた。

 ソフトウェア関連でのニュースは、Windows 7やOffice 2010が出荷されたことで、大きなものは少ないが、検索エンジンBingが日本でも7月13日付けで正式版となる。これに合わせ、すでにBingには新しい機能や、インターフェイスが順次追加実装されており、より少ないクリックでユーザーの希望する結果にたどり着けるよう改良が図られている。

会場に展示された新型Xbox 360とKinect(液晶上部に設置しててあるもの)。対応ソフトも用意され、実際に遊ぶこともできたBingは正式版への移行に向け、新機能が随時追加。例えば、有名人の名前で検索すると、入力エリアの下に、画像や動画のタブが表示。左側には関連カテゴリや、キーワード、また検索結果上部には、人物の概略なども表示されるこの日の樋口氏のネクタイはOfficeロゴ入りだった

(2010年 7月 6日)

[Reported by 若杉 紀彦]