マイクロソフトとハーマンミラーが考える
人間工学製品とワークライフスタイルの関係

Arc KeyboardとArc Mouse

2月25日 開催



 マイクロソフト株式会社とハーマンミラージャパン株式会社は25日、共同で報道向けの説明会を開催し、人間工学に基づく製品がもたらす重要性や変革などについて解説した。

 ハーマンミラージャパンは家庭およびオフィス向けの家具メーカーで、22日にマイクロソフトと共同でキャンペーンを行なうことを発表している。今回の説明会はそれを受けてのもの。

 キャンペーンでは、エンボディチェアを正規販売代理店または正規取扱店で購入したユーザーに対し、マイクロソフトのエルゴノミクスデザインマウス「Arc Mouse」、キーボード「Arc Keyboard」(いずれも本体色はブラックまたはホワイト)、およびハーマンミラーロゴ入りのオリジナルドキュメントケースをプレゼントする。数量は300脚で、完売次第終了となる。

ハーマンミラージャパン代表取締役社長の松崎勉氏

 まず始めに、両社を代表してハーマンミラージャパン代表取締役社長の松崎勉氏が挨拶した。松崎氏は、同社とマイクロソフトとは、人間工学に基づいたワークライフスタイルの追求という共通したテーマを持って製品開発に取り組んでいることを紹介。また、今回のイベントを通じて、この春から新しい生活を始める人達に、それらの製品がもたらすワークスタイル、ライフスタイルの変化を知ってもらいたいと述べた。

 両社の担当者からの説明の前に、ゲストとして招かれた建築家で東北芸術工科大学准教授などを務める馬場正尊氏がスピーチした。馬場氏は、この5年ほど、古い建物の再生に力を入れているという。具体的には廃墟同然のような建物でも、使える部分を残しつつ、リフォームすることで、古いものの良さを引き出しつつ、新しいものと共存させる。

 そういったことを行なう中で馬場氏は、良く目につくものや触れるもの、そして空間が、人間と“対話”できることが重要だと気づいたという。ここでいう対話とは、使う人が望むように調整できたり、快適に使えるといったような意味合いを持つ。

 馬場氏は、「新しい郊外の発見」というテーマを元に、房総半島に建築した自宅で、実験的生活を行なっているが、そこでエンボディチェアや、Arc Mouse、Arc Keyboardを試用した感想を述べた。

 エンボディチェアについては、微調整に敏感に反応し、背もたれの幅が短いため肩がつかれた時に用意に腕を動かせる点などを挙げつつ、「従来製品はプロダクトに座っている感覚だったが、この製品は人間ぽさがある。反応がリニアで、デジタルさが無い」と評価。

 Arc製品については、キーボードの“カチカチ”した機械っぽさがなく、質感も良く、軽くて無線なので手軽に動かせると述べ、人間にとって距離が近い感覚だと説明した。

建築家の馬場正尊氏馬場氏が手がけた建物の例。使われてない倉庫の古い部分も活かしつつ、シューズショップのオフィス兼ショールーム兼倉庫を作り出した
自宅の仕事環境でエンボディチェアとArc製品を試用し、“対話”する製品であると評価会場にも実際の製品が並べられ、Arc製品の機動性の良さなどを紹介した

 続いて、ハーマンミラージャパンの前澤恵子氏が、同社製品について補足した。同社は常に、オフィスや家庭をもっと良い空間にするためには、どういった問題があるかを考え、それを解決するために設計された製品を開発しているという。

 エンボディチェアは、PCユーザー向けのオフィスチェアで、6年の歳月をかけて開発、2008年に発表された。背もたれ、アーム、座面などを細かく調整でき、成人の98%にフィットする設計になっているという。前澤氏は、エンボディチェアを使うことで、PCに向かった時の負荷が減るだけでなく、むしろ健康を増進させる効果があると説明した。さらに、座っても体が自由に動かせることで、血流が良くなり、脳も活性化し、リラックスしたまま作業に集中できるとした。

ハーマンミラージャパンの前澤恵子氏エンボディチェアの設計目標エンボディチェアの特徴

 最後に、マイクロソフトの島田真有美氏と北川美由紀氏が同社のハードウェア製品の歴史や、開発思想などを説明した。

 同社のハードウェアグループにはすでに27年の歴史があるが、その中でコンピュータを取り巻く環境は大きく変化。当初、固定された場所に置かれ、皆で共有して使うというスタイルだったものが、今では1人1台のノートをどこにでも持ち歩いて使うようになった。また、PCを利用する時間も増加した。こういった理由から、キーボードやマウスは、手軽に使え、かつ体への負担が少ないことが重要だとした。

 Arc Keyboardは、小さいながらもキー配列や、筐体になだらかな曲線を持たせ、構えた時に手首や腕にかかる負担を抑えた。Arc Mouseも、一見しただけでは単純な半円形に見えるが、どんな手にもフィットするよう絶妙なカーブを描いているという。

 また、両製品とも本体に収納可能な小型の無線レシーバが付属し、手軽に持ち運べるほか、工場出荷時にレシーバと本体のペアリングが済んでいるので、原理上混信しないといった特徴を紹介した。

 なお、今回の協業は、マイクロソフトから打診したもの。同社の人間工学設計製品の認知度を上げるため、その点で知名度、品質、評判の高いハーマンミラージャパンへ共同キャンペーンを申し出たところ、快諾を受け、今回のキャンペーンに至ったという。

マイクロソフトの島田真有美氏マイクロソフトの北川美由紀氏。手に持つのはマイクロソフトの初のマウスArc Keyboardの特徴
Arc Mouseの特徴エンボディチェアとArc製品の実際の利用シーンエンボディチェアもカラーバリエーションがある

(2010年 2月 25日)

[Reported by 若杉 紀彦]