エプソン、景気悪化が全事業に影響し1,113億円の赤字

4月30日 発表



 セイコーエプソン株式会社は4月30日、平成21年度(2008年4月1日~2009年3月31日)の決算を発表した。

 これによれば、売上高は前年比16.7%減の1兆1,224億9,700万円、営業損失は15億8,800万円の赤字、経常利益は91.6%減の53億100万円の黒字、純損失は1,113億22万円の赤字となった。

 事業別セグメントの売上高は、プリンタを含む情報関連機器事業が7,698億5,000万円、ディスプレイや半導体、水晶を含む電子デバイス事業が3,116億2,600万円、時計とICハンドラーを含む精密機器事業が726億9,700万円だった。

 同社は2009年度中に、インクジェットプリンタ事業において、競争力の高い商品の投入と、プリントボリュームの拡大を意識したマーケティングにより、販売数量の増加を目指したが、急激な景気後退の影響を受け、前年割れの傾向が顕著となった。円高による影響のほか、低価格品の構成比が上昇したことや、数量が減少した影響を受けた。

 中/小型液晶ディスプレイ事業については、経営資源をアモルファスシリコンTFT液晶と低温ポリシリコンTFT液晶に集中させ、携帯電話端末への依存度を引き下げる戦略を採った。しかし急激な景気後退により、現状の枠組みでは採算の改善が困難であると判断し、新たな長期ビジョン「SE15」に基づき、より踏み込んだ方向付けを行なった。この結果、事業構造改善費用と減損損失を合計762億4,400万円計上した。

 今後の見通しとしては、いずれのセグメントにおいても景気後退の長期化により減収が進み、2010年の通期売上高1兆300億円、純損失60億円を見込む。

(2009年 4月 30日)

[Reported by 劉 尭]