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富岳でゲリラ豪雨を予測、スマホアプリなどに配信。7月20日から2度の実証実験

今回の実証実験で表示される「3D雨雲ウォッチ」アプリイメージ

 理化学研究所(理研)情報・システム研究機構 国立情報学研究所情報通信研究機構大阪大学株式会社エムティーアイらによる共同研究グループは、スーパーコンピュータ「富岳」を利用した超高速高性能降水予報のリアルタイム実証実験を実施する。

 期間は7月20日から8月8日までと、8月24日から9月5日までの2回。得られた予報データは気象業務法に基づく予報業務許可のもと、理研 天気予報研究のWebページ、およびエムティーアイの提供するスマートフォン向けアプリ「3D雨雲ウォッチ」にて公開する。

 ゲリラ豪雨は、短時間で状況が急変することから前もって予測しにくく、近年脅威となっている。これに対し2016年、理研の三好建正チームリーダーらが100mの解像度で30秒ごとに更新する30分後までの天気予報としてゲリラ豪雨予測手法を開発。2020年にはこの手法に基づき、スーパーコンピュータのOaskforest-PACSを利用した実証実験も行なわれた。

 今回は同様の手法を利用しながら、富岳の強力な演算能力を活用し、2020年実験時の20倍に相当する1,000個のアンサンブル計算を実施することで精度の向上を図る。さらに、30分後の予報を10通り計算し、大雨の確率や最悪なシナリオの算出を可能としたり、リアルタイムのワークフローの大幅見直しやシステムの簡略化も施している。

 過去の観測データを用いた動作確認では、ゲリラ豪雨の予測が可能だったという。一方でどのような雨に対してどの程度高精度な予報ができるかについては、実験結果を詳細に解析する必要があるとしている。研究グループでは、今回の実証実験やさらなる研究を通じてゲリラ豪雨予測手法の実用化を目指す。

過去の観測データを利用した動作確認の様子。上は2020年9月2日15時54分52秒の観測データ。下はどちらも同日15時45分時点のデータに基づく予測。左下は10分後の予報、右下は10個のアンサンブル予報から10分後に30mm/h以上の強い雨の確率を予測した結果