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Arm、プロセッサ内でOSを動作可能にした「Cortex-R82」

~64bit化されたArmv8-Rのストレージコントローラ

Coretex-R82

 Armは4日、組み込み向けプロセッサ「Cortex-R82」を発表した。おもに同社が約85%のシェアを持つとするHDDやSSDといったストレージデバイスのコントローラなどとして利用される。

 Cortex-R82は、Cortex-R8の後継となるリアルタイムプロセッサで、Armv8-Rアーキテクチャを採用。Cortex-Rファミリとしては初の64bitをサポートする。最大8コアで設計でき、Cortex-R8と比較して性能は最大2倍に向上した。また、最大1TBのDRAMにアクセスできるようになっている。

実装されている機能

 オプションとしてメモリ管理ユニット(MMU)が用意されており、ストレージのコントローラ上でLinuxといったリッチなOSを動作させることが可能になっているのも特徴。

 MMUによってストレージデバイスは「コンピューテイショナルストレージ」に昇格でき、これまでホスト側で行なっていた処理を、ストレージ側で完結させるといったことが可能。データ処理の効率化を図れるとともに、制御と分析を1つのコントローラで行なえるため、ストレージ利用のピーク時間はその処理に割り当て、ピーク外ではデータの分析を進めるといったことが行なえるようになる。

 たとえば、駐車場での映像監視では、日中にナンバープレートのデータを収集して大半のコアをストレージに使用し、夜間には請求用データ処理を実行。必要に応じてデータ分析とマシンラーニングも行なえる。

コントローラ内でOSを動作させ、これまでにはできなかった処理の仕方が可能に

 また、SIMD(Single Instruction, Multiple Data)演算のための命令「Neon」もオプションで利用でき、処理をさらに高速化することも可能。データ保護を行なうArm TrustZone技術も用意されている。

 Cortex-R82では、2021年初頭から出荷開始予定となっており、同年の後半から2023年にかけて搭載製品が登場する見込み。