ニュース

薄型ノートパソコンでもPUBGが1080pでプレイできるようになる!

~Intelが第11世代Coreの内蔵GPUの性能をアピール

第11世代Coreプロセッサー

 Intelは9月2日(現地時間)にオンラインで記者会見を開催し、これまでTiger Lakeの開発コードネームで開発してきた第11世代Coreプロセッサーを正式に発表した。通例であれば、オンサイトで盛大に開催される新しいプロセッサの発表だが、今回はCOVID-19による感染拡大などの影響を受けてデジタルで開催された。

 発表された第11世代Coreプロセッサーの概要やSKUなどに関しての情報は、別記事(Intel、第11世代Coreプロセッサーを正式発表。「Intel Evo platform」のブランドも導入)をご参照いただくとして、本記事ではその発表会のデモなどについて紹介していきたい。

 このなかでIntel上級副社長兼クライアントコンピューティング事業本部長のグレゴリー・ブライアント氏は「Iris Xeにより、描画性能を要求されるPUBGのようなゲームでも薄型ノートパソコンを利用して1080pでプレイできるようになる」と述べ、新しいIntelの内蔵GPUの性能をアピールしている。

CPU、GPU、AIそれぞれが強化された第11世代Core、年末までに50のシステム、最終的には150以上に採用

Intel上級副社長兼クライアントコンピューティング事業本部長 グレゴリー・ブライアント氏

 IntelのクライアントPC事業を率いるIntel上級副社長兼クライアントコンピューティング事業本部長のグレゴリー・ブライアント氏は「COVID-19の感染拡大で、パソコンは重要なプラットフォームだと再認識された。今は多くのユーザーがパソコンをコンテンツを作成したり、家族や友人、同僚とのコラボレーションに利用している、今日はパソコンのプラットフォームを一から作り替えるようなアップデートを紹介したい」と述べ、これまで同社がTiger Lakeの開発コードネームで開発してきた第11世代Coreプロセッサーを正式に発表した。

第11世代Coreプロセッサー搭載システムを紹介するブライアント氏

 ブライアント氏は第11世代Coreプロセッサーを「薄型ノートパソコン向けとしては世界最高のプロセッサだ」と述べ、その性能や魅力には自信をもっているとした。その上で最高4.8GHzに達するCPU、新アーキテクチャGPU「Xe」から派生した統合型GPU「Iris-Xe」、Thunderbolt 4/USB 4に対応したI/O、Wi-Fi 6に対応したWi-Fiコントローラの対応などの第11世代Coreプロセッサーの特徴を紹介。

 そして「ASUS、Acer、Dell、HP、Lenovo, Samsung」などのOEMメーカーから50のデザインが年末商戦までに登場し、最終的には150のシステムに採用される見通しだ」と述べ、年末までに50の第11世代Coreプロセッサーを搭載した薄型ノートパソコンなどが登場すると説明した。

1080pのPUBGが、dGPUを搭載していない薄型ノートパソコンでプレイ可能になる

生産性向上ツールでは20%の性能向上

 ブライアント氏は第11世代Coreプロセッサーの性能に関して、「生産性ツールを使った性能は競合と比較して最大4倍になり、新しいIris-Xeのグラフィックス性能は、市場にある単体GPUを搭載した薄型ノートパソコンの90%を上回っている」と説明。CPUもGPUも競合や単体GPUを搭載した薄型ノートパソコンよりも高くなっていると述べた。

CPUは20%、GPUは2倍、AIは5倍性能が向上している
Thunderbolt 4などの強化点

 Intelによれば、第11世代Coreプロセッサーは、従来製品(Ice Lake)と比較して、CPUは20%、GPUに関しては2倍に、そしてAIの推論を行なう場合の性能は5倍になっているとのことで、それらを組み合わせて利用すると、高い性能を発揮することができるという。

 Intelはこの記者会見のなかで、直接の競合となるAMD Ryzen 7 4800Uという第3世代Ryzen Mobileとの比較データを公開した。

Premiere Proなどを利用したベンチマークでは、AMD Ryzen 7 4800Uと比較して倍の性能に(ただしソフトウェアの最適化分を含む)

 AdobeのPhotoshop ElementsとTopaz Gigapixel AIを組み合わせたベンチマークでは、IntelのAI向けの開発ツールキットであるOpenVINOにより最適化されているPhotoshop Elementsの処理と、IntelのOpenVINOや内蔵GPUに最適化が行なわれているGigapixel AIを利用すると、2倍処理が速く終わるとアピールした。

 同じように、Premiere Proを利用した場合には、Premiere Proが第11世代CoreプロセッサーのハードウェアビデオエンコーダのQSVに対応しているのに対して、Ryzenのハードウェアエンコーダには対応していないため、2倍速いという様子がアピールされた。

 いずれも、Intelのソフトウェアへの最適化が行なわれているソフトウェアを利用しての比較となり、Intelとしてはそうしたソフトウェアの最適化も含めての性能差であるということを強調したい狙いがあるものと考えられる。

左がRyzen 7 4800U、中央が第11世代Core、右が第10世代Core+NVIDIA GeForce MX 350
GRIDのフレームレート。Ryzen 7 4800Uが36fps、第11世代Coreが58fps、GeForce MX 350が31fps

 内蔵GPUの性能に関しては、GRID 2019を利用したフレームレートのベンチマークが行なわれた(解像度はいずれも1080p)。比較対象となったのはRyzen 7 4800Uと内蔵GPUと、第10世代Coreプロセッサー+GeForce MX 350で、Ryzen 7 4800Uが34fps、GeForce MX 350が31fpsであるのに対して、IntelのIris Xeは58fpsとなった。

Gear TacticsではRyzen 7 4800Uが31fps、第11世代Coreが58fps、GeForce MX 350が50fps

 Gear Tacticsを利用した場合にはRyzen 7 4800Uが30fps、GeForce MX 350が50fpsであるのに対してIris Xeは58fpsとなっており、いずれもIntelが上回って見せた。

 ブライアント氏は「ベンチマークの結果からもわかるように、Iris XeはGear Tacticsのようなポピュラーなゲームもプレイできるようになっているし、より性能を要求されるPUBGのようなゲームでも薄型ノートパソコンで1080pでプレイできるようになったのだ」と述べた。PUBGのような従来は内蔵GPUではとてもプレイできなかったゲームでも、第11世代Coreプロセッサーに内蔵されているIris Xeでプレイ可能になると強調した。

IntelのコーポレートロゴとIntel Evoのロゴマークなどが公開される

新しいIntelロゴ

 会見の最後には、Intelの新しいコーポレートロゴと、従来はProject Athenaの開発コードネームで呼ばれてきたIntelとOEMメーカーのノートパソコンモダン化プロジェクトの新しいブランド名「Intel Evo platform」のロゴが公開された。

 Intelの新しいコーポレートロゴは、小文字で「intel」だけのシンプルなロゴで、iの「・」の部分がアクセントになっているというデザイン。2006年にオーバルで囲まれたデザインになって以来14年ぶりに更新されることになった。

Intel Evo platformのロゴ

 Intel Evo platformのブランド名は、従来はProject Athenaとコードネームで呼ばれていた取り組みになる。Project Athenaは、Intelとノートパソコンベンダーが共同で行なっているもので、OSやアプリケーションの起動時間、バッテリ駆動時間、スリープからの復帰時間などの仕様を策定し、それに合致するようなノートパソコンの設計をノートパソコンベンダーに促すことで、ノートパソコンのモダン化を目指している。

 2019年9月のIFAで、IntelはProject Athenaに対応したノートパソコンに貼れるロゴシールを提供することを明らかにしていたが、具体的なブランドに関してはとくに用意してこなかった。

 今回第11世代Coreプロセッサーの登場に合わせて、Project Athenaも第2世代となることで、Intel Evo platformというブランド名が導入されたかたちになる。今後はノートパソコンベンダーはこうしたロゴを製品やカタログなどにつけることができるようになるため、ユーザーもどれが対象の製品であるのか一目でわかるようになる。

CoreプロセッサやXeonのロゴなども新しいIntelロゴに切り替わる