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キヤノン、24,000fpsの高速撮影可能な100万画素SPADセンサー

100万画素SPADセンサー

 キヤノン株式会社は24日、100万画素での撮像が可能なSPADセンサーを開発した。同種のセンサーでこの解像度を実現したものとしては世界初だとしている。

 SPAD(Single Photon Avalanche Diode)センサーは、画素に入射した光子1個を雪崩のように増幅し、大きな電子パルス信号として出力する構造の素子を並べたもの。高感度の撮像や高精度な測距などを得意とする。

 一方で、発生したパルス数をカウントし信号として出力するため、画素ごとにメモリやカウンターを装備しなければならない点や、増幅時に高い電圧を利用することため、絶縁破壊防止用の耐圧構造が必要な点から、画素サイズの微細化や多画素化が困難だった。

CMOSセンサー(左)とSPADセンサー(右)の画素構造

 今回同社では、光子の数を数えるフォトンカウンティングの原理と新たな回路技術を採用し、100万画素と高画素なSPADセンサーを開発。グローバルシャッター機能を備えるほか、露光時間を3.8ナノ秒まで短縮可能で、歪みのない正確な形状を撮像できる。1bitの出力で24,000fpsの高速撮影もサポートし、極めて短時間に起こる現象のスローモーション撮影も行なえる。

 加えて、100ピコ秒までの時間分解能を持ち、光子が画素に到達した時刻を非常に高い精度で認識可能。発光装置からパルス光を照射し、反射光が返ってくるまでの時間で対象との距離を計測するTime of Flight(ToF)方式の測距にも利用できる。

 開発されたSPADセンサーはこれらの特徴を生かし、人間の目では正確に捉えられない化学反応や自然/物理現象の撮影/観測や、自動運転やXR(VR/AR/MRの総称)関連デバイスにおける3次元空間情報の計測などに活用できるとしている。