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SnapdragonのDNAを引き継いだ「SQ1」を搭載した「Surface Pro X」

Surface Pro X

 Microsoftは、アメリカ合衆国ニューヨーク州ニューヨーク市の会場において記者会見を行ない、同社のSurfaceシリーズの最新製品を発表した。そのなかでMicrosoftは、同社としては初めてのPC向けプロセッサとなる「Microsoft SQ1」を搭載したWoA(Windows on Arm)デバイス「Surface Pro X」(サーフェスプロエックス)を発表した。

 Surface Pro Xは、これまでQualcommのSnapdragonシリーズを搭載したWoAデバイスとは異なり、メモリ、SSDがそれぞれ最大16GB、512GBとなっており、従来はミッドレンジ向けとされてきたSnapdragon 850などを搭載する製品とは一線を画すハイエンド仕様となっている。

 Microsoftによれば、バッテリで13時間の駆動が可能になっているほか、LTEモデム(Snapdragon X24 LTE modem)を搭載しており、幅広いLTEバンドに対応するなどグローバルにビジネスに使える仕様になっている。

MicrosoftとQualcommが共同で開発したMicrosoft SQ1を搭載しているSurface Pro X

Microsoft Surface Pro X

 Surface Pro Xは、MicrosoftがPC向け製品向けとしては初めて投入するSQ1というSoCが採用されている。SQ1はQualcommとMicrosoftが共同開発された製品とされているが、GPUはAdreno 685になっており、Snapdragon 8cxをベースにしているものだと考えられる。

 Snapdragon 8cxに搭載されているGPUはAdreno 680となっているので、SQ1に搭載されているAdreno 685はその強化版と考えられる。

 一方、CPUに関してはどのArm IPが採用されているかは明らかにされていないが、実機で確認したところ8コアとなっていた。Microsoftによれば、GPUの性能は2TFLOPSの性能だという。

CPUはFabrikams XY9と表示されている3GHzのベースクロックで8コア、メモリは16GB
デバイスマネージャーの表示

 SoCだけでなく、メモリやストレージも従来のWoAデバイスに比べて強化されている。たとえば、日本で販売されているLenovoのWoAデバイス(Yoga C630、Snapdragon 850搭載)は、メモリ4GB、ストレージも128GBとなっており、ハイエンドユーザーのニーズを満たす仕様になっていないが、このSurface Pro Xはメモリは8GBないしは16GB、ストレージは128GB/256GB/512GBとなっている。

 ストレージはNano SIMカードと同じく、ユーザーがアクセスできる場所にあり、とりはずし可能になっている(ただし、実際は取り外すと補償外となる、あくまでエンタープライズなどの企業ユーザーが管理するときなどに活用する)。

キックスタンドに隠れているSIMカードスロットストレージ
ストレージは蓋を外した部分にある、SIMカードスロットの上なのでユーザーもアクセスできる
SIMカードスロット(Nano)、スライドして押し込む

Surface Proシリーズとしては初めての狭額縁ディスプレイを採用

キーボードを手前に引き出すと、ペンが出てくる

 ディスプレイは13型2,880x1,920ドットの解像度で、最大の特徴は狭額縁ディスプレイ。このため、狭額縁ではないSurface Proシリーズに比べてディスプレイは大きいのに、本体のサイズは横方向でSurface Pro 7よりも小さくなっている。

ディスプレイは2,880×1,920ドット
Windows Helloの顔認証に対応

 キーボードは、従来のSurface Proシリーズと同じく別売りでワンタッチで取り外しが可能な、いわゆるタイプカバーキーボードになっている。ただし、従来のSurface Proシリーズ(具体的にはSurface Pro 3以降)とは端子の形状が異なっており互換性がない。

 また、タイプカバーキーボードと本体の間にペンを収納できるようになったため、ペンが鞄の中で行方不明になることを防ぐげる。ペンに関しては従来のMPPペンに比較して、レイテンシなどが改善されており、書き味が向上している。

タイプカバーキーボードをつけると、従来のSurface Proシリーズと同じに見える
キーボードとタッチパッド
キーボードを使うときにはこのように見えない
ペン
本体側の端子、2つある足のうち1つにピンが見える
キーボード側の端子

 I/Oに関しては、USB 3.1 Gen1に対応したUSB Type-C(USB PD対応)とSurface Connect端子が用意されている。充電はSurface Connect端子からでも、USB Type-Cからでも充電出来るが、Surface Connect端子経由で充電した場合には80%を1時間で充電出来る。

本体の右側面、Surface Connect端子
本体の左側面、USB Type-Cが2つ

 無線関連はWi-Fi(Wi-Fi 5)、Bluetooth 5.0のほか、LTEに対応している。SoCにSnapdragon X24 LTE modemが内蔵されており、1/2/3/4/5/7/8/12/13/14/19/20/25/26/28/29/30/38/39/40/41/46/66という非常に幅広いバンドのLTEに対応している。

バッテリのデザイン容量は38Wh、実際には40Whあった

 バッテリ駆動時間は公称13時間となる。実機で確認したところ、バッテリの容量はデザイン容量は38Wh、実際には40Wh近くあることが確認できた。Surface Pro 7では43Whのデザイン容量となっているのに公称10時間であるのに比べると、省電力性が高いといえる。

 Microsoftによれば、Surface Pro Xは、米国では11月5日から販売開始予定で、すでに予約が開始されており、価格は999ドル~となる。なお、Microsoftの日本法人となる日本マイクロソフト株式会社によれば、日本での販売も予定されているが、現時点では価格や発売時期は未定とのことだ。

製品名Surface Pro X
CPUMicrosoft SQ1
GPUAdreno 685
メモリ8/16GB(LPDDR4X)
ストレージ128/256/512GB
ディスプレイ13型2,880×1,920ドット(227ppi、3:2)
タッチ/ペン10点マルチタッチ/ペン(4,096段階)
カメラ(Windows Hello対応有無)FHD(顔認証対応)
USB Type-C(USB 3.1 Gen1 or Gen2)2(3.1 Gen1)
Wi-FiIEEE 802.11ac
BluetoothBluetooth 5
WAN対応(Snapdragon X24 LTE modem)
対応LTEバンド1/2/3/4/5/7/8/12/13/14/19/20/25/26/28/29/30/38/39/40/41/46/66
キーボードフルサイズバックライトキーボード(1.3mmストローク)
ポインティングデバイスPrecision TouchPad
ACアダプタ65W(Surface Connect)
バッテリ公称13時間(38Wh)
カラーマットブラック
サイズ(幅×奥行き×高さ)287×208×7.3mm
重量774g
OSWindows 10 Home/Pro