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シャープが31.5型120Hz駆動の8K液晶やDynabookの8K一体型PCなどを披露

~スマホ向けの曲がる有機ELも展示

初めて公開した8K All In One PCの写真

 シャープ株式会社は4月10日、東京・芝浦のシャープ東京ビルで、新技術および製品の展示会を行ない、その内容を報道関係者に公開した。

 会場には、シャープ傘下のDynabook株式会社が製品化を検討する8Kディスプレイ搭載の一体型PCの写真を初めて展示したほか、8KディスプレイとPCを接続して、8K映像の再生などを行なった。

 また、CES 2019などで展示してきた小型8Kビデオカメラを日本で初公開。曲げることができるスマートフォン向け6.18型のフォルダブル有機ELパネルも展示した。

 8Kディスプレイ搭載の一体型PCは、現在Dynabookが開発を検討しているもので、今年(2019年)1月に本誌が行なったDynabookの石田佳久会長(兼シャープ副社長)のインタビューでも、「Dynabookのプレミアム機において、8K動画の編集がスムーズに行なえる製品に仕上げ、デスクトップの領域でやっていく」とコメントしていた(PCはバナナと同じ。早くもシャープとのシナジー効果を生み成長を目指すDynabook参照)。

 展示会では、「8K All In One PC」の名称で初めて写真を公開。スペックについてはふれなかったが、「一画面でタブレットの16倍の情報を得ることができる高性能PCで、AIを活用した最適化画面分割技術を採用。ビデオカードやメモリなどをアップグレード可能な機構にしている」という。

 登場時期や価格などについても公開していない。写真を見ると、狭額縁の8Kディスプレイを採用。直線的なデザインのスタンドとしており、キーボードやマウスのサイズから見ると、ディスプレイは32型相当になりそうだ。

 また、31.5型の8K HDRディスプレイを展示。ピーク輝度800cd/平方mの2D HDR対応と、IGZO技術と低抵抗配線プロセスを採用した120Hz駆動により、世界最高画質を実現できることを強調。分割した画面表示のデモンストレーションを行なっていた。

 製品化に向けては、写真展示した一体型PCの形状のほか、31.5型の8K HDRディスプレイの背面に、PCユニットを接続するかたちで、製品化を図ることも検討しているようだ。

31.5型の8K HDRディスプレイを展示。分割して複数の映像を表示していた
8K映像の編集のためのワークステーションも展示されていた
モバイルエッジコンピューティングのdynaEdgeも展示
dynaEdgeはインテリジェントビューア「AR100」とセットで展示

 一方、今回の展示会では、約50のテーマでさまざまな技術や製品が展示されていた。 写真を通じて紹介しよう。

展示会での展示物を写真で紹介

5Gによる8K映像の配信実証実験の様子も公開
8K映像を4Kにダウンコンバートして送信し、TVのAI機能で8K映像に再現するデモ
米ラスベガスで開催されたCES 20197や上海のAWE 2019でも展示された小型8Kビデオカメラ
右が開発中の広視野角フィルムを使用したもの。参考展示していた
8Kディスプレイを医療分野に活用する例を紹介
セキュリティ対策などにも利用できるインターネット対応の8Kネットワークカメラも展示していた
レーザー光源を使用した小型プロジェクタを参考展示
曲げることができる6.18型のフォルダブル有機ELパネル。30万回の折り曲げ試験をクリア。画面が折り畳めるスマートフォンなどに利用できる
6.18型のフレキシブル有機ELパネル。こちちらは曲がったままで利用するものだ
車載用の12.3型フレキシブル有機ELパネル
車載用のフレキシブル有機ELパネルの下部分をスイッチにした事例
車載用の61.6型超横長ディスプレイ。インパネ部分に利用するという
マイクロ流体デバイス。微量な液滴の移動や処理を自動化するという
フレキシブルX線センサー。自由に曲げられるため、空港の検査などにも小型化した装置として導入できる
90型のシースルー液晶を参考展示した
複合機で取り込んだ映像をディスプレイに表示。その上に書き込んだものをプリントすることができる
TEKION LABによる蓄熱技術の展示
今後は物流領域にも利用するという
カメラの前に立つだけで血圧を計測できる非接触血圧ディスプレイ。AQUOSのカメラやロボホンのカメラを活用しても血圧が測れる
Foxconnが出資しているSmartDriveのデバイス。クルマのソケットに接続して運転状況のデータを収集。保険の契約などに利用できる
SHARP Beautyの製品群を展示
AIoTに対応した白物家電製品。すでにAIoTには、200万台が接続されているという
サウンドパートナーにスワロフスキーを施したモデルを参考展示。発売は未定だ

 なお、今回の新技術および製品の展示会には、4月9日に、広東省の馬興瑞省長をはじめとする広東省の高官12人が来訪。来日中だった鴻海精密工業の郭台銘会長や、シャープの戴正呉会長兼社長、シャープの劉揚偉取締役などが出迎え、8KやAIoTに関する技術や製品、5Gに関するデモストレシーションなどを視察した。

 広東省の馬興瑞省長は、「視察した技術やソリューションは、今後間違いなく必要とされるものだ。今回の視察により、8Kや5Gの可能性の拡がりを確信した」とコメント。シャープでは、「広東省における8K、IoTおよび5Gの普及、発展に向け、今後も幅広いテーマに関する議論を深め、緊密に協力を進めていく」としている。

広東省の馬興瑞省長をはじめとする広東省の高官による視察の様子
視察の様子。中央が郭台銘会長
鴻海精密工業の郭台銘会長や、シャープの戴正呉会長兼社長が出迎えた。左手前が戴会長兼社長