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リコー、世界初の「インクジェット印刷できるバッテリ」技術

~IoTデバイスなどへの直接印刷実装目指す

二次電池のデジタル印刷製造の概念図

 株式会社リコーは、世界初となる、インクジェット技術を用いてリチウムイオン二次電池(リチウムイオンバッテリ)を自由な形状で製造する技術を開発したと発表した。

 従来、電池の電極は、セラミックスなどの電極材料を混ぜ込んだ高粘度ペーストをスリットから押し出して塗布したあと、必要な大きさや長さにそれらを切り出すことで製造されている。そのため、形状や性能の異なるバッテリを製造するには、それらに応じた複数の製造ラインを持つか、時間のかかる製造プロセスの組み換え生産が必要となっており、電極を切り出すさいに、電極以外の部分に塗布された電極材料が廃棄されるという無駄が発生していた。

電池の多品種生産プロセスの比較

 今回リコーが開発したのは、同社がプリンティング領域で培ってきた材料技術とインクジェット技術を活かした、セラミックスの微粒化および独自分散技術で、これによって、インクジェットヘッドから吐出できる、低粘度かつ高濃度な電極材料インクの製造を実現したとする。

 リチウムイオンバッテリに用いられている、ほとんどの種類の電極材料のインク化に成功しているほか、電池内で電極の短絡を防ぐセパレータもインクジェットで形成できる技術も同時に開発。正極と負極、セパレーターの3層をインクジェット法により形成した二次電池としては世界初の技術であるとしている。

 電池部材をインクジェットヘッドから吐出することで、さまざまな形状の電池の製造が可能となり、製造プロセスの簡易化と、複数の製造ラインを持たずに多品種生産を実現。また必要な部分だけに電極材料を印刷するため、電極材料の無駄もなくなるという。

 同社では、2019年度から電池メーカーに向け本技術を用いて製造した電池部材の提供、本技術によるデジタル製造の提案を開始し、将来的にはデバイス上にバッテリを直接印刷する実装技術の実現を目指すとしている。